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以前一緒に来た遊園地とは違うところで、ここは園内に入ると可愛い動物のキャラクターたちが出迎えてくれていて、周りはみんな写真を撮ったりと動物たちに興味津々なのだけど、凜はあまり興味が無いようで、


「ママ、おにーちゃん、あれのりたい!」


入って一番初めに目についたらしいジェットコースターを指差しながら私と竜之介くんに『乗りたい』とせがむ。


前も一番にジェットコースターに乗りたがっていたけれど、今回もまたジェットコースターを選ぶところが凜らしい。


「凜は絶叫系が好きだよな。よしジェットコースターから乗るか」

「わーい!!」


こうして私たちは凜の希望通りジェットコースターの列に並ぶ。


並んでいる間も凜は『早く乗りたい』と言って終始わくわくしていて、そんな凜を見ると私までわくわくする。モヤモヤは沢山あるけれど、それを忘れるくらい楽しもうと思えてくる。


順番が回ってきて、竜之介くんと凜が先頭の席、私はその後ろの席に一人で着く。


楽しそうにはしゃぐ凜と、その様子を優しげな表情で見守る竜之介くんを前に、私は幸せな気分になった。


子供向けと言いつつも前回と違ってそこそこスピードもあるし、それなりに高さもあるから少しは怖がるのかなと思っていたけれど、凜は怖がるどころか終わった後、もう一度乗りたいと笑顔で言っていた。


けれど、せっかくだから他のアトラクションも乗っていこうという竜之介くんの言葉に納得した凜は他のアトラクションにも興味を示してくれて、それなりの数のアトラクションに乗る事が出来た。


それから混雑を避けてお昼をずらした私たちは、凜が食べたいと言ったハンバーガーのセットをみんなで頼み、飲食スペースで休憩しながら遅めのお昼を食べた。


朝、少し早起きだった凜ははしゃぎ過ぎて眠くなってしまったようで何だか元気が無い。


「凜、眠くなっちゃった?」

「ううん、へーき」


私の問い掛けに首を横に振りながら『平気』と口にするも、時折瞼が下がっている。


だけど、凜は分かっているのだ。


ここで眠いと口にすると帰らなければならない事を。


前回も凜が眠ってしまって帰る選択をしたら起きた凜が『まだ遊ぶ』と駄々をこねていた。


だけどこのまま眠気を我慢して歩き始めたところで必ず途中で限界を迎える事は分かりきっていた。


「凜、無理しないでいいんだよ?」

「やだ! まだかえらない!」

「凜、我侭言わないよ?」

「やだぁ!」


すると、そんな私と凜のやり取りを黙って見ていた竜之介くんが、


「凜、これから少し車の中で寝た後に嬉しい事があるよって言ったら、ママの言う事聞いて遊園地は終わりに出来る?」


そう凜に問い掛けてきた。


「竜之介くん?」


突然の彼の言葉に首を傾げながら問い掛けるも、「俺に任せて」と口にして凜へ向き直る。


「うれしいこと?」

「そう、嬉しい事」


凜は遊園地も諦められないようだけど、竜之介くんの言った『嬉しい事』が気になって心が揺れている様子だった。


少し考える素振りを見せた凜は少し不貞腐れつつも、


「ゆうえんち、おわりにする」


眠気もあったし、やっぱり嬉しい事の方が気になって仕方が無いのだと思う。


遊園地は終わりにするという選択をしたのだ。


「ちゃんと選べて、凜は偉いな。それじゃあ食べ終わって最後にあの観覧車に乗ったら、車に戻ろうな?」

「うん」


きちんとどちらかを選べた凜を褒めた竜之介くんは最後に観覧車に乗る事を提案すると、褒められた事と、もう一つアトラクションに乗れる事が嬉しかったらしい凜の表情は自然と笑顔に変わっていた。


竜之介くんのこういうところは、本当に凄いと思う。


我侭を言う子供相手に怒りもせず、きちんと納得させてしまうのだから。


凜にとっても竜之介くんは無くてはならない存在で、やっぱり離れる選択なんて私には出来ないと思ってしまう。


今日は考えないと決めたのに、事ある毎に頭にちらついて悩んでしまう。


そんな私に竜之介くんは何かを感じ取っているのかもしれないけれど、聞いてくる事はしない。


正直今はそれが有難かった。


お昼を食べ終えた私たちは観覧車の列に並ぶ。


途中まで頑張って起きていた凜も、睡魔に勝てなかったようで順番がくる少し前に眠ってしまった。


凜も寝ちゃったからこのまま乗るか少し迷ったけれど、もしかしたら起きるかもしれないし、観覧車なら凜が眠ったままでも問題ないという竜之介くんに頷いた私は納得してそのまま並び、順番がやって来てゴンドラに乗り込んだ。

頼れる年下御曹司からの溺愛~シングルマザーの私は独占欲の強い一途な彼に息子ごと愛されてます~

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