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まぁ安定のゾム様贔屓ですね。はい。へへ。
母様との買い物を終え、父様が大きくなったなぁと涙ぐみながら抱きつこうとしたところをしっかりと躱し(鳩尾に蹴りもいれて)いつも持ち歩いている釘バットを持ち鬱お嬢様の家へ向かった。
大袈裟な程に大きな門の横にある、小さなベルを鳴らすとリンリンという鈴の様な音が鳴る。そして、どなたか存じ上げませんわ…という鬱お嬢様の声から始まりノリノリでエミお嬢様はハゲだ!!と叫ぶという不思議なやりとりを交わした後、ゴゴゴ…という音を立てて重厚な門が開いていく。
「これ楽しいですわw」
「よく合わせられましたわね貴女www」
「エミお嬢様とは長い付き合いですもの」
「私は?」
「……」
え?という声が上がるも無視をし、鬱お嬢様のご両親に挨拶に向かう。何度もお世話になってきた相手なので丁寧に接する、毎回挨拶なんてしなくていいのよと言ってくれるがそうはいかない、一度挨拶をしなかった事があるが反抗期かしら?と界隈がザワついたので挨拶は欠かせない。
鬱お嬢様が先程から煙草を吸っているのに全くとめないのはどうかと思いますわ。
長い中央階段を上がり、2階の端にある鬱お嬢様の部屋にお邪魔して雄英について語る。当然、受かっているはずなのでそんな話はどこかへ放っておいた。
「………マ?」
「マ」
「…えー、いや飲み込めませんわ!?どゆことやねん!?」
「オールマイト様と緑谷様を監察しようと」
「それは理解いたしましたわ、てか個性受け継げんの!?」
度々具が出ている鬱お嬢様に具、と言いながらも簡潔に分かりやすく説明してあげた。理解力は無いのかとも思ったが鬱お嬢様曰く、内容が内容なくせに雑談として話してきたことに困惑しているらしい。仕方ないだろう、エミお嬢様から聞いていると思って話していたのだから。
というかエミお嬢様も朝からハードな話ぶつけて来るな
「あー……まぁ、何となくは把握しましたわ」
「大先生もやらん?」
「素出とぉで」
「ええやん面倒くさなってきた」
段々と崩れていくお嬢様言葉に、大先生は苦笑しつつもせやなと同意してくれた。プライベートでまでお嬢様する気は元々無いのだ、母様がお嬢様同士なら素でも良いよと妥協してくれたおかげで彼女らとは地元の関西弁で話せる。大先生側もそっちのが楽だろ好きにしろと言われているらしい。相変わらず自由やなホンマに……
「雄英じゃずっとお嬢様やんキツッ」
「まーゾムは元々おしとやかでは無いもんな」
「そんなん全員やろ」
「おん、アイツらがお淑やかとか笑えるわ」
お淑やかなショッピを想像して、想像しておいてなんだが本当に誰だコイツと思う程かけ離れていた。やっぱり彼女には大先生とおニコチン摂取しながらコネシマを罵倒していて欲しい。本来お嬢様はお淑やかで慎ましく華やかでいるべきなのだが私達はというと、血気盛んで男臭くて暑苦しい正反対の位置に居るのです。
さて、我々は本当にお嬢様といえるのだろうか
大先生が、呼んだメイドさんにお菓子やジュースを持ってくるよう指示している中私は一つ疑問に思っていたことを口にした
「…鬱お嬢様のメイドさんは何故こんなにも露出度が…」
「ん?あー私の趣味ですわ、皆可愛らしい顔でしょう」
「私でも流石に引きますわよ…?」
「何でですのん!?」
まさかとは思っていたが本当に趣味だったとは。メイドさんに趣味を押し付けるなんて、とんだ変態さんだ。ドン引きながらサッと距離をとって、マカロンをつまむ。あ、美味しい。同時に運ばれてきた紅茶もバッチリ合う、紅茶はあまり詳しくないけれど。
「距離取らなくてもよろしくてよ?」
「貴女好みの女になりそうで怖いんですの私」
「…そ、そんな事しませんわ!私のお友達ですもの」
「なんですか今の間!辞めてくださる?」
しませんてー、など薄っぺらい言葉をつらつらと並べていく大先生を横目にスっと立ち上がる。こういう時の大先生は大抵嘘をついているので本当に鬱お嬢様好みの女にされそうでシンプルに怖い。ロボロお嬢様も連れてくれば良かったかしら、彼女背が低いから生贄に出来そうだし。あぁでもチビすぎて見えないんでしたわねそれは不便だわ。
「今すっごいロボロがおもろい気がする」
「個性使ったんお前」
「え、ゾムが馬鹿にしてたん?あーどうりでw」
《ゾム殺すぞ!!!!筒抜けじゃボケ!!》
けらけらとロボロの身長いじりをしていると、脳内に爆音が響く。よろよろと座り込む私を見て大先生が心配していたが、多分これはロボロからのお叱りだ。声がデカすぎて誰の声が判別できなかったが、こんな大声を脳内で弾けさせれるヤツなどロボロしか居ないだろう。というか、いつから聞いていたんだロボロは、筒抜けって…普通筒抜けだとは思わないだろう。
「ろ、ロボロお嬢様…ごめんなさい」
《フンッ、今回は許して差しあげましょう!》
《次はケトルベルで殴り殺しますわよ!!》
「……ぅ、うるさ…」
「あら、聞こえてたんですのね彼女に」
「んー…え、いつから聞かれてたのかしら?」
「さぁ、彼女色々と未知数だものね」
私にとっては大先生も十分未知数だが、今はそれよりロボロはいつでも盗聴できるので全て聞かれているのかもしれないという恐怖でいっぱいだ。今度から一言一言にロボロへの悪口をいれよう、聞かれているか聞かれていないかがわかるはずだから。
そこから文房具や、教科書、授業について話し合うことになった。文房具は高そうなもの買おうとすると、要らない要らないと全力で止めるのはお嬢様界隈での常識なのだろう。大先生も全力で止めたらしい、私のハサミやカッターの持ち方が暗殺者のそれだと言われたので直している。何故か生まれた時から尖ったものは同じ持ち方をする癖?があるのだ。何とも不思議である。
教科書の内容をある程度確認し、予習復習の計画書を作成しコピーしてもらいそれぞれ鞄の中にしまった。エミさんのおかげで、何となく全部理解出来た気がする。流石にイーキーリだ、博識なところは尊敬しよう。
今年からオールマイト様が教師となるらしいので、授業の方式、勉強法、ヒーロー科の方針、トップヒーローの影響力など雄英から余すとこ無く吸収するつもりだ。勿論戦闘方法なども、自分にあった新しい動き方が見つかるかもしれないので他の生徒の方々の動きも参考にする。全員、プロの軍人を伸す程度には強いので対人は得意だ、主にスナイプなどの遠距離武器の強化を優先しよう、と2人で決めた。
私の特技は暗殺術なので隠密には長けている、大阪での騒動でも私は隠密行動を徹底しヴィランの本拠地に潜入した。そして隙を着いてボスを拘束、動揺した他のヴィラン共を制圧部隊が気絶させるという小学生では有り得ない戦略を実行した。
戦略的勝利、物量戦、自爆特攻。到底女の子から出るとは思えない程物騒なワードが次々と飛び交う。ヴィランのアドバンテージは〜、ヒーローのデメリットは〜、など時々バチバチと火花が舞う論争を繰り広げていった。
「私が得意とするのは情報戦や口撃ですわ」
「私は知っての通り隠密行動が得意ですわね」
「ゾムの隠密行動はスピードがあるから強い」
「大先生は情報を抜き取り有利に動かせる」
「ゾム基盤ならショッピと組んで基地攻めて」
「大先生基盤なら情報戦に備えロボロと戦況を」
あれはダメだ、これもダメだ。それはいけるか、いやでも…などのいくつものパターンの動きを構築していく内にいつの間にかもう夜の6時となっていた。オールマイト様に対抗する為の動きは既に10を越えている、が実践ではそう上手くいかないので二手三手も作り上げる。こちらを有利にする為の技などを考え、庭に出て実施。使えそうであれば採用し、使えなければ案だけ覚えておく。一歩二歩先を進んで、余裕をもって優雅に仲間とお茶会をする、お嬢様として、ヒーローの卵として美しくない、格好悪い姿は見せられないので。
門の前で待機していたユカリさんに車のドアを開けてもらい座席に座る。ひらりと手を振り見送ってくれる鬱お嬢様に、にこりと微笑み手を振り返す。次はチーノとショッピも合わせて語り合うことにしよう。次会う時はきっと雄英高校なので、しっかり気合いを入れて行かなければ。訓練も怠らない。
「また雄英高校で会いましょうね鬱お嬢様」
「ええ、楽しみにしておきますわ」
3000⌒ ͜ ⌒