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___________________________蘇side
玄関でロシアが対応してくれている間、俺はその“元恋人”をフィンランドに近づけない為、
玄関から入った場合、最も家の奥になる物置き部屋の前で、
事が収まるのをフィンランドと一緒に待っていた。
フィンランドの様子が先程からおかしい。
その双眸が不安気に揺らめいていたり、顔色が悪かったり。
…無理もないだろう。
自身のトラウマをぎゅっと詰め込んだ様な人物が追ってきたのだ。
そんな状況になったら誰でも今のフィンランドの様になってしまうだろう。
…厭、逆にこれで収めているフィンランドが凄いのだ。
本人は強く不安や恐怖を感じているだろうに。
「ロシアなら屹度上手く追い払う筈だ。心配だろうが安心してくれ」
「…うん、」
俺がそう言うと、少し乱れつつあったフィンランドの呼吸音が、規則正しいリズムに変化した。
安心させる事が出来たのだろうか。
そんな事を考えていると、聞き慣れた声が鼓膜を震わす。
「無事に追い払えたぞ」
「…な?大丈夫だったろ?」
「うん、」
フィンランドの顔色は先程と比べ、少しは良くなっただろうか。
…俺が其れに安堵したと同時に、ロシアが口を開いた。
「彼奴、フィンランドにGPSを仕掛けてたって」
「…え、?」
「…は?」
「でも俺…っ、そんなの仕掛けられた覚えなんか…っ、」
「…ピアス、とか、」
「…えっ、?」
「ピアスなんて一度付けたら外すことなんてあんまりしないしな…、」
「…確かに、」
「…其れ、電磁波調査機器で調べてみようぜ。」
「…、」
「もしGPSだったら電磁波で分かるしな。」
「…分かった。」
そして俺はフィンランドの耳に付けられていた電磁波調査機器をピアスに翳した。
すると、無機質な高音が鳴った。
…このピアスにはGPSが仕掛けられている。
フィンランドは言葉を失っている。
そりゃそうだ。
…だって、自分がずっと身に付けていた物が、
自分の居場所が分かる様に監視する為のGPSだったなんて。
…信じたくもないだろう。
本当に怖いのは知能を持ってしまった生物だ。