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学パロ
短め
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大森元貴は誰にでも優しくて勉強もスポーツも万能、生徒会の副会長も務める完璧人間。
一方で、彼の恋人である藤澤涼架は目立たない文学青年。ふんわりとした空気をまとっているが、恋人に対する執着はちょっと重たい。
「お弁当、今日も作ってきたので、食べてください。あ、嫌じゃなかったらで……」
「ありがと涼架。すごく嬉しいよ」
――教室の隅、藤澤が大森に差し出す手作り弁当。周りのクラスメイトは、微妙な空気になる。
「またあの藤澤、手作り弁当とか……あの子、重すぎでしょ」
「大森くん絶対気を遣ってるよねあれ」
そんな噂が教室で流れるのも日常茶飯事。みんな大森が藤澤に「付き合わされてる」と思っている。でも――
放課後、生徒が誰もいない音楽室。大森は誰にも見せない顔でピアノに向かう藤澤の背中を見つめる。
「今日さお前が男子に話しかけられてたの、見てたんだけど」
「えっ? あ、あれは授業のことで」
「うん、知ってる。でもあいつの名前も趣味も、全部もう調べてあるから。二度と近づかないようにってさりげなく言っといた」
「も、もとき……?」
「俺さ、涼架が“重い”って言われるのすごい嬉しかったんだよ。俺も涼架と同じくらい、いや……それ以上に重いから。
お前は俺だけ見ててくれたらいい。誰にも触らせない、渡さない。ずっと俺の隣にいて?」
「……うん」
藤澤は嬉しそうに微笑んで大森のシャツの袖をそっと握る。
彼の執着も、独占欲も、優しさに包まれているから誰もその「本性」に気づかない。
可哀想なのは大森でも藤澤でもなく
ふたりの世界に踏み込もうとする「他人」なのかもしれない。
コメント
5件
物語全部見てるけど…語彙力たすぎね😘
す…………好きです……。