テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
山中side
ーそうだ、佐野くんに教えてもらったら?ー
妹が放ったその一言が頭の中をぐるぐる回っている
ふとら気がついたら自分の最寄駅を過ぎていて、はやちゃんの家の最寄駅に降り立った
スマホを開いて深呼吸をして、はやちゃんとのチャットをタップする
🤍ー今、家いる?ー
緊張で送信を送る指が震える。
🩷ー帰ってきたとこー
思わぬ速度で返ってきた答えに嬉しさが滲み出す。
🤍ーお邪魔してもいい?ー
🩷ーいいよー
なんで?とかどうしたの?とか理由なんてひとつも聞かないで、自分を受け入れてくれているという事実が嬉しくて、二つ返事で走り出してしまう。
煌びやかな東京の一等地を全速力で走る20代の男性なんて変だと自分でも思うけど、そんなこと気にしてられないくらいに浮き足だっているんだ。
何度も妄想デートで押した彼の家のナンバー
余裕で突破してエレベーターに乗り込む。
心が落ち着かない!
これがお家デートに向かう彼女の気持ちなのかなぁ
なんて考えていると彼の家の目の前で…
深呼吸を大きく二回。
いざドアノブに手を伸ばしたタイミングで、ラフな服を着たはやちゃんが飛び出てきた。
驚いて仰け反ると、はやちゃんの大きな手が伸びてきて俺の背中を抱き寄せる。
待って待って!キャパオーバーすぎる!
🤍「はやちゃ…くるしぃ」
息が上がりそうになるが、微かな声を絞り出すと慌ててはやちゃんの力が緩まる。
🩷「急にどうしたんだよ
突然既読つかなくなるし、 めっちゃ息あがってるし
心配したぞ」
帽子を目深に被る自分の目を見る為に、腰を折って話すはやちゃんは自分の追い求める理想の彼氏みたいで、自分は照れてしまってそこから何を言ったかなんて覚えていない。
気づいたらリビングに二人並んで座って、ホットミルクを飲む
本当に理想のお家デートの空間で、こんなに近くにいたら高まる心臓の音さえ心臓の聞こえてしまうようだった。
そして、はやちゃんが本題について話し始めたんだ。
佐野side
🩷「フハッ」
差し出された少女漫画をみて、つい笑ってしまう。
🤍「何で笑うの?」
柔太朗はムッとしてこっちを見るが、その顔でさえ可愛かった。
🩷「いや、深刻そうだったからさ
とんでもなくエロいやつとか不倫系のやつかと思ったら少女漫画だし」
🤍「それならすぐに断ってる」
🩷「この漫画買ったの?」
🤍「実家から持ってきた」
妹のやつと言いながら手渡される。
🩷「怒られてもしらねぇぞ」
🤍「まだバレてないよ」
イタズラっ子のように笑う柔太朗が間接照明と相まってよく映えていた。
パラパラとページをめくると該当するであろうページに出会う。
なるほど、所謂恋敵や噛ませ犬ポジション。
でもそのキスシーンはとても繊細に描写されていて、主人公との関係性がただならぬものであることが分かるようなシーンだった。
🩷「メチャクチャいいじゃん、この役」
🤍「そうなんだよね…」
🩷「やるべきだよ
そりゃ柔太朗の事推してる子は少しショック受けるかもだけど、柔太朗がドラマに出るっていう事を何よりも喜んでくれるはずだし」
🤍「キスしたことないんだよね」
話を遮られ、沈黙が生まれる。
確かに柔太朗は小さい頃からサッカー一筋で中学三年生で事務所に入っている。
彼女がいた経験もないと前に話していたのも思い出した。
よからぬ感情が湧き上がる。
何とかして抑えようとするが、目の前でうずくまりホットミルクをちびちびと飲む柔太朗を見て俺は口を開いていた。
🩷「してみる?俺でいいなら」
柔太朗が俺を見つめる。
🤍「逆にいいの?俺でも」
🩷「なんでキスの練習付き合うのに柔太朗が許可貰う側なんだよ」
柔太朗がへにゃりと笑う。
🤍「だって、いきなりでビックリしたし」
さっきより柔太朗の頬が赤くなった気がする。
そして俺を見つめてモジモジと呟いた。
🤍「練習…付き合ってほしい…」
コメント
2件
最高すぎ3080お似合いやわ! じゅうちやん照れすぎ'((⑉• •⑉)❤︎ ほんまかわええ♡〜~
読了しました〜!もう、山中くんが慌てて走るシーンから胸がギュッてなった…「キャパオーバー」ってその気持ちすごくわかる。そして「練習…付き合ってほしい」ってあの言い方、破壊力ありすぎるよ🥀 二人とも不器用で真っ直ぐで、いちごミルクみたいに甘くて切ない距離感がたまらなかったです。m!kiさんの描く空気感、いつも刺さります。続き、すごく気になる…🤍