‘母さん。俺たちは俺たち。良子と颯佑は良子と颯佑。何もかも一緒にして考えるのは良くない。二人はわざわざ俺たち4人が揃っているのを狙って電話してきてるんだ。どんな話でもしっかりと聞くべきだ’
忠志くんの強い口調に電話の向こう側が緊張するのが分かり、リョウは目を閉じて俺に凭れた。
その背中を撫でながら早く済ませるべきだと思う。
「ありがとう、忠志くん。いい話だよ。俺たち今日…忠志くんとチカさんと同じ日に入籍した」
‘キャー、すごいお祝いもらった気分。良子ちゃん颯佑くん、ありがとう’
‘チカの気持ちはわかるがありがとうより、おめでとうだろ?’
‘そうそう、そうだね。サプライズに興奮しちゃった…良子ちゃん颯佑くん、おめでとう。でもやっぱりありがとう。嬉しいっ’
チカさんのおおはしゃぎにリョウがクスリと笑ったようだ。
これだけ喜んでもらえたならサプライズ成功だな。
‘私たち証人にもなっていないんだけどどうやって婚姻届出したの?’
はしゃぐチカさんと対照的な、電話の向こう側が再び緊張するような冷めた声が聞こえてきた。
そう来たか…リョウの背中を撫でている手を止め、4本の指先だけをポンポンとゆっくり動かしグッと腹に力を入れる。
こんなくらいで苛ついたらリョウを守ることは出来ない。
「サプライズだから佐藤家には頼めなかったんだ、ごめんね」
‘じゃあ、誰に頼んだの?’
‘母さん、待ちなさい。颯佑くん良子、おめでとう’
「ありがとう、おっちゃんじゃなくお義父さんって呼ぶよ」
‘嬉しいよ。連絡してくれてありがとう。息子と娘と同時に結婚するなんて特別な日だ。幸せになってくれ’
「約束するよ。リョウが幸せになると俺も幸せだから幸せにする」
‘良子の証人はどなたにお願いしたかな?こちらからも礼をしないといけないから教えて欲しい’
「三岡先生なんだ。お義父さんからも礼を言っておいてくれる?」
‘必ず。明日にでもすぐに先生のところへ伺うよ’
「ありがとう」
‘娘が世話になったんだ、当然のことだ。良子’
話す気がなさそうだったリョウだが呼ばれては仕方ない。
コメント
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やった〜🙌サプライズ大成功!!!チカさんの喜びようが嬉しい〜⤴︎⤴︎🎶 お父さん!止めてくれてありがとうございます😭