テラーノベル
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『照、大介、見ててね?行くよー…。』
澄み渡る秋空の下。涼太は音もなく靱やかに翔太の背後へ忍び寄ると、そのふかふかで長い尻尾の先にそっと魔力で静電気を流した。
パチッ!!
『いっっってぇ!?涼太てめぇッ!!』
甲高い放電音と共に、翔太の自慢の長毛が一瞬で重力を無視してブワッと逆立ち、まるで大きな毛玉のようになる。そのあまりの激しいリアクションと膨らんだ姿に、傍らで見守っていた幼い二匹──照と大介は足をパタパタとさせながら、きゃっきゃっと無邪気な声を上げて転がり回った。
『逃げんなコラァ!』
『ふふっ、ここまでおいでー。』
怒り心頭で追いかけてくる翔太を、持ち前の軽やかな機動力でひょいひょいと交わし、近くの巨木の上へと飛び登る涼太。木の上で後脚をぷらぷらと揺らし、余裕たっぷりに見下ろしてくる。
『…お前、そこ居ていいと思ってんのか?』
『んー?』
翔太の身体が、蒼く静かな魔力の輝きを帯びる。彼がガウッと鋭く一吠えすると、巻き起こった強烈な風の旋風が涼太の体を木の上から容赦なく押し上げた。
『うわあっ!?』
咄嗟に枝にしがみつこうとした涼太だったが、風の勢いに抗えず、その体は空高くへと吹き飛ばされてしまう。
『りょうたくん!』『りょうた!』
二匹の悲鳴のような叫びが響いたその瞬間、空間を突き破るように眩いオレンジ色の光が弾けた。
「あっぶなぁ…!しょった、やり過ぎやって…!」
背に燃え上がるような炎の翼を羽ばたかせ、空中で涼太の体をしっかりと両腕で抱きとめたのは康二だった。
無事に地表へと降り立ち、涼太を優しく下ろす康二の姿に、照と大介の目はキラキラと輝く。
『すごい…!ぼくもおそらとびたい…!』
『おれも!』
「んー?ええよ!こっちおいでや!」
わぁっ、と尻尾をちぎれんばかりに振って駆け寄ってくる二匹。康二は嬉しそうに破顔すると、両脇に二匹の体を優しく抱え上げた。
「ほな行くでー!」
バサッ、と大きな羽ばたきと共に、一気に上昇気流に乗って空へと舞い上がる。足元に広がる森の景色の大きさに、二匹は感動の声を上げた。
『たかい…!すごい!』
「大ちゃん怖ない?」
『ううん!すっごいたのしい!』
「あっはは、せやろ!照はー?」
『………。』
「?…照?」
尋ねられた照は、何故か耳をピンと後ろに伏せ、全身をガチガチに硬直させていた。
『ひかる…?』
『…やっぱり、おりる…。』
小さく絞り出すような声でそう呟いた照の表情は、心做しか引き攣っているように見える。
「あっ… と…ちょっと急に高く行き過ぎたかもやな?大ちゃん、一旦照下ろしてええ?」
『いいよ!』
地上へ着地し、無事に地に足をつけた瞬間、心底ホッとしたように長い溜息を吐く小さな銀色の狼。
その姿を見守っていた仲間全員の頭の中に、同じ言葉が浮かんでいた。
(──照でも、怖いものがあったんだ…。)
夕暮れ時。
一日中、広い森の中を全力で駆け回っていた二匹の瞼は、もう半分閉じかけていた。
『…ふぁ…ねむい…。』
白い毛並みの大介がぽつりと呟くと、隣にいた銀色の照も、眠気を誤魔化しながらも小さな口を大きく開けて欠伸をする。
『おれ、まだねむくない…。』
強がりを言ってみせた直後、こくん、と首が前へ重たく落ちた。
『…っふふ、』
そのあまりの愛らしさに、見守っていた蓮は思わず静かに微笑んだ。すっと人の姿へと変わると、地の上に胡座をかく。
「無理しなくていいよ。」
そっと腕を伸ばし、二匹の小さな体を自分の膝の上へと手繰り寄せた。
大介は迷うことなく、安心しきった様子で蓮の体へ体重を預ける。照は一瞬だけ迷う素振りを見せたが、やがて小さく鼻を鳴らすと、大介に寄り添うようにして蓮の膝へ体を預けてきた。
「今日もいっぱい遊んだからね。」
ぽかぽかと温かい二人分の体温を感じながら、蓮はふわふわとした二匹の背中を規則正しい一定のリズムで優しく撫で続ける。
「…おやすみ。」
もう返事はない。すやすやと聞こえてくる穏やかな寝息だけが、夕闇の迫る静かな森に優しく溶けていく。
膝の上で丸まり、互いにぴったりと体を寄せ合う白と銀の小狼。その二匹は、深く温かい眠りの中に落ちていっても尚、自然と互いの前脚をぴったりと重ね合わせていた。
蓮はその重なり合う小さな手と手を愛おしそうに見つめ、どこまでも優しく目を細めた。
(…今度こそ、この子たちの幸せが終わりませんように。)
願うように空を見上げると、夜風が二匹の毛並みをそっと撫でていった。
水瀬菜音
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#岩本照
絶対辰哉
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#BL
うさみみ
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コメント
1件
かわえぇ💛🩷 みんなに見守られて大きくなるんやねぇ😆♪