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大学の講義室でボーッとしていると、横から声がする。
「恭也」
「…快」
快は俺の隣に座ると、心配そうに俺を見る。
「恭也大丈夫?」
「んー…大丈夫…じゃないかも」
俺はそう言って苦笑いする。
「陽雅さんとなんかあったの?」
「うん、まぁ…」
俺の答えを聞いて、快は俺の首元を見る。
「それ、また付けられたの?」
「うん。こっちは陽雅さんが」
俺が陽雅さんに付けられたキスマークを指差すと、快は不思議そうに問う。
「こっちはってどういう意味?」
「それがこのキスマーク、誰が付けたか分かんないんだよね」
俺は首元のもう一つのキスマークを指差す。
「何それどういう事?」
快にそう問われた俺はすべてを話した。
快はすべての話を聞いた後、目を細めて俺を見る。
「恭也、ホントに心当たりないの?」
「うん。全く。気付いたらここに付いてて」
「陽雅さんが無意識に付けたとかじゃなくて?」
「だったら付けた後に気付くんじゃないかな。絶対に俺が付けたものじゃないって感じだったし」
「そっか…でも、誰かに付けられたとしたらその記憶が無い時って事だよね」
「そうだね。多分」
俺の返事を聞いて、快は考える素振りを見せる。
「…次陽雅さんに会うのいつ?」
「それが、誤解も解きたいし今日会いたいって言ったけど返事来なくて」
快は再び考える素振りを見せた後、口を開く。
「じゃあ俺が今日零斗さん家行って陽雅さんの様子見てくるよ。もう一人の人がやったかもしれないし」
「泰輝さんの事? それは無いんじゃないかな。あの人、陽雅さんのお兄さんと付き合ってるから」
「陽雅さんのお兄さん…」
快は考える素振りを見せて、ハッとした顔をする。
「陽雅さんのお兄さんって事はその人もドルって事だよね?」
「そうだと思う。俺、多分だけど使われた事あるし」
「へぇ。俺からしたらその人、すげぇ怪しいんだけど」
「そうかな。陽煌さん、陽雅さんの事大切にしてるからその恋人の俺に手出すなんてありえないと思うけどな」
「ふ〜ん。まぁ、俺が今日確かめてきてあげる」
「でも陽煌さん、たまにしか来ないよ? 最近は来る頻度上がったけど」
「じゃあとりあえずもう一人の人の尋問してくる」
「尋問…まぁ、でもありがとう」
「これくらい任せてよ。親友なんだから」
ドヤ顔でそう言う快を見て、俺はフフッと笑った。
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大学を出ると、門の前で待っていた零斗さんと合流する。
零斗さんは早く会いたいからと今日も迎えに来てくれたらしい。
零斗さんの家に着くと、中に入り、リビングに行く。
辺りを見回すと、ソファーに陽雅さんが座っていた。
俺は零斗さんに事情を話した後、陽雅さんに近づく。
「あの、陽雅さん」
俺が呼びかけると、陽雅さんはこっちを見る。
「快くん。いらっしゃい。どうしたの?」
「えっと…恭也の事なんですけど、恭也の事信じて欲しくて。恭也から話聞いたんですけど、恭也は嘘ついてないですよ。俺、オーラ見えるんで分かります」
「快くんは本当にフィールズなの?」
「えっ…そうですけど」
「悪いけど俺、快くんの事も疑ってるから」
そう言う陽雅さんには警戒と疑問のオーラが浮かんでいる。
「俺の事疑ってるって、俺が恭也に手出したと思ってるって事ですか?」
「そうだよ。快くんが一番怪しいから」
haru
46
ラムネ@夏目様教者
629
「いや。どう考えても一番怪しいのは陽雅さんのお兄さんじゃないですか」
「なんで?」
「恭也は陽雅さんの部屋から出て、家に帰るまでの記憶が無いんです。つまり、陽雅さんの部屋から出た後、恭也とお兄さんが会ったんじゃないかって俺は思いますけどね」
「何言ってるの。兄ちゃんはそんな事しないよ」
俺への警戒のオーラが強くなって、遠くで信頼のオーラが浮かぶ。
陽雅さんはお兄さんの事、一ミリも疑ってない。
(なんか余計に怪しいな…)
「なんでそう言い切れるんですか?」
「だって兄ちゃんは…」
そこで後ろから知らない声が聞こえる。
「俺が何?」
振り向くと、男性が二人立っていた。
一人は会った事がある。確か泰輝さん。
そしてもう一人はきっと、陽雅さんのお兄さん。
お兄さんは俺に近づいて、ニコッと笑う。
「初めまして。俺、陽雅の兄の陽煌です。君は快くんかな」
「そうですけど…なんで俺の事知ってるんですか?」
「泰輝から聞いたの。零斗くんと付き合ってるんだよね」
「まぁ…はい」
なんだ。なんだかすごく気分が悪い。
この人のオーラは色々混ざってて、なんの感情なのか、全然見えない。
「なんか俺の話してたみたいだけど、何の話してたの?」
「あっ…いや…」
優しそうにニコッと笑っているけれど、オーラが負の感情しかない。
しかもそれが混ざっていて、真っ黒だ。
言えない。疑ってるなんて言ったら、俺がどうなるか分からない。
お兄さんは俺から目を逸らして陽雅さんを見る。
その瞬間、真っ黒なオーラの上に色んな感情が混ざっていく。
執着。妬み。好意。恨み。信頼。
こんなに色んな感情が混ざってる人は初めて見た。
(なんか…息苦しい…)
息がしづらい。たんだん、呼吸が荒くなってくる。
お兄さんは陽雅さんに近づいて何か言っている。
でも、声も遠のいて、よく聞こえない。
(やばい…なんか力が…)
足の力が抜けて、俺の体が倒れる。
そんな俺の体を、零斗さんが抱えた。
「おい快。大丈夫か」
「すみません…ちょっと…大丈夫じゃないかも…」
心配そうに俺の顔を覗き込む零斗さんにそう言うと、陽雅さんとお兄さんも俺の顔を覗き込む。
「体調悪くなっちゃったのかな」
「分かんねぇけど…ちょっとベッドで休ませとくわ」
「…もしかしたら俺が疑ってるなんて言ったからかも。ごめん」
陽雅さんと零斗さんからは心配のオーラが浮かんでいる。
でも、お兄さんにはそんなオーラは全く無くて、警戒のオーラが真っ黒のオーラの上に大きく浮かんでいる。
(この人、なんかやばいかも…)
意識が遠のいていく。
俺はそのまま、目を閉じた。
目を覚ますと、心配そうに俺を見る零斗さんと目が合う。
零斗さんは俺に気が付くと、慌てた様子で言う。
「快、大丈夫か?」
「零斗さん…」
好意のオーラと心配のオーラ。
さっきの事もあったからか、すごく落ち着く。
「熱はねぇみてぇだけど…まだ辛いか?」
「もう大丈夫です。でも、しばらく零斗さんと離れたくないです」
「いつまでも居てやるよ。水、飲むか?」
「飲みたいです」
「よし」
零斗さんは俺の体をゆっくり起こして、水の入ったコップを渡してくれる。
「ありがとうございます」
俺は受け取り、一口飲んだ。
「貰うぜ」
そう言って手を差し出す零斗さんにコップを渡す。
「ありがとうございます」
零斗さんはコップを受け取り、そばの机に置いた後、俺をゆっくり寝かせながら言う。
「寝とけ。ここに居てやっから」
「零斗さん、来てください。頭撫でて欲しいです」
布団を上げてそう言うと、零斗さんはすぐに布団の中に入ってくる。
そして俺を引き寄せたあと、頭を撫でた。
「大丈夫だ。俺がいっから」
落ち着く。
さっきまで少し怖かったけど、今はもう大丈夫だ。
(陽煌さん…)
あの人は何か裏がある気がする。
陽雅さんに対しての感情も色々混ざっていて気持ち悪かった。
とりあえず恭也に話してみよう。
俺は心地良い手に撫でられながら、ゆっくり目を閉じた。
コメント
1件
うわ、このエピソード、陽煌さんめっちゃ怪しいですね…! オーラが真っ黒で感情が読めないって描写がすごく不気味で、快くんの息苦しさが伝わってきました。零斗さんの優しいケアでほっとしたけど、あのラストの「この人、なんかやばいかも」はかなりの衝撃です。次が気になりすぎます!