それから私たちは黙々と曲を作り上げていった。発表まで一週間をきっていた。
曲に熱中しすぎてしまい、睡眠時間をあまり取れていなかった。頭がとてつもなく痛い。
でも、今回は成田くんと成功させたい気持ちが溢れていた。
「今日の体育の授業はバレーボールです。スポーツ大会も近くなってきので怪我なく一生懸命やりましょう。」
私の大嫌いなスポーツ大会がやってきた。球技は特にやりたくない。手は痛いしボールは当たらないしクラスのみんなに迷惑かけてばかり。申し訳なさでいっぱいだった。
女子はバレーボールだが男子はサッカーという種目だった。少し疲れたため、休憩がてら体育館の外を見ると、男子の熱血サッカーが始まっていた。もちろん周りには一軍の女子が大声で応援していた。
「がんばれ〜成田くん」「あっき〜!!」大体の女子は秋くん目当てだった。私とは住む世界が違いすぎて正直オリジナル曲発表が心配だった。成田くんはサッカーも上手くて誰にでも優しくて自分で自炊しているなんて完璧すぎると改めて思った。私が特別なんかじゃなくて、成田くんはみんなの特別なんだよね。私が少し期待していたのは間違いだったよね。と自分に言い聞かせた。
ボールに手が当たりすぎて腫れたため水道で手を冷やした。すると、激しい動機や頭痛に襲われた。言葉も出せないし、立ち上がることも動くこともできなくなってしまっていた。とても苦しい。誰か。助けて。
「菜々、菜々!、菜々聞こえる?!菜々!!」 誰か来てくれたんだ。
目が覚めると、病院だった。手に温もりを感じた。妹か両親だろうか。
「菜々?おはよう」 そこには成田くんがいた。
「え、なんでここに、?」起き上がった瞬間また痛みが走った。
「菜々ちゃん安静にして、3日も目覚まさなかったんだよ。すごく心配だった。外の水道のところで急に倒れて意識を失ってたんだよ。ゆっくり休んでね。お医者さん呼んでくるよ。」
病室から成田くんは出ていった。成田くんがあんなに心配しているなんて予想もできなかった。もしかしてずっと私の手を握ってくれていてのかな。それはないよね。なんかの勘違いだよね。
お医者さんの問診を受け明日には帰れる準備をしていた。
「オリジナル曲全然練習できなくてごめんね。あと4日なのに。」
「謝らないで。しっかり休んで。俺、全部演奏できるようにしたし、ライトとかの準備も終わったから、菜々ちゃんはギターだけでもボーカルだけでもいいよ。俺は歌詞作り手伝えなかったからさ、、」
「ありがとう。成田さんは優しいね。誰にでもそうしてるの、?無理してない?」
「俺は大丈夫だよ。この間一人暮らしっていったけど家族とは仲良いし、電車で30分ぐらいで実家に帰れるから。菜々さんは大事な存在だよ。俺に優しく部活内容教えてくれたし。そろそろ家帰るわ。おやすみ。」
「おやすみ」うそやろ。普段女子に塩対応な成田くんが私に甘い。
菜々ちゃんかわいすぎるやろ、、
でも心配やな。
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