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日本に来てはや3年の時が過ぎた。
もう3年も経つというのに未だに東京の忙しなさには慣れない。
ある日僕は神社の境内でのんびりしていた。
すると1人の少女が声を掛けてきた。
「あの、外国の方です、よね?」
いきなり何のことだか分からなかった。
当たり前だ。黒髪黒目の集団の中では僕は目立つ。金髪青目。この質素で厳粛な雰囲気の神社にもあまり合わない。いや、合わないと断言した方がいいか。
僕はひとまず返事をした。
「はい。そうですよ。」
「そうなんですね!あの、良かったら国のことを教えていただいてもいいですか?」
「なぜ?」
「興味があるんです。」
「そうですか。本ではダメなのですか?」
僕はそう言って少女の本を指差した。
「本でも…確かに面白いですが、国外に暮らす方の話を聞いてみたいんです。…だめでしょうか?」
そう言われたら仕方がない。
僕はしぶしぶ国のことを話した。
つまらない。この国と然程変わらないと言うのに少女は目を輝かせて話を聞いている。
「___と、まぁそんな感じですよ。」
「とっても面白いです!!貴重なお話聞けて良かったです!」
「そうですか。良かったです。」
「あの、失礼なのですが明日も此方に来たりしますか?」
「まぁ、恐らく。」
「でしたら明日、お礼の品をお渡しするので来てくれたらな〜っと…」
「お礼は結構ですよ。」
「私が満足しないので!!」
「はぁ…?」
…といったように半ば強引に約束をした。
「また明日!」
そう言って長い髪を揺らして笑顔で駆けていった。
翌日
いつも通りの道を歩き、言われた物を買って帰る途中だった。
「あっ!!」
「…?」
急に叫ばれてひどく驚いた。
「あの、あのあの!覚えて…ます?」
「はぁ…まぁ、一応」
「一応ってなんですか!」
周りを見ると他にも女学生が居る。
ただでさえ目立つと言うのに女学生に見られたらもっと目立ってしまう。
目立つのは得意じゃない。だから今すぐにもこの場を走り去りたい。
「あー…このあと用があるのでこの辺で」
「あっちょっと!」
「なんですか?用があると…」
「お礼!いつ渡せるんですか?」
「はぁ」
「今持って帰れそうですか?」
「一応…まぁ…」
「これ!持ってって下さい」
「だから、結構で…」
「私も結構です!!私が渡さないと満足できないので!」
強引に渡された包は軽かった。
家に帰って開けてみると中には袴が入っていた。
「んでこんなもん…」
だからといっても捨てるのは勿体無い。
折角なので明日から着ることにした。
箪笥を開けると中から軍服が出てきた。
「懐かし…」
ある意味色々な想い出が詰まった服だ。
戦場に出ろと言われると嫌だが。
そういえば名前も知らない少女に話をした挙句、袴まで貰ってなんか少し恥ずかしさを感じた。
何でか分からないが明日が何となく楽しみに感じた。