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時は大戦の最中。大国は互いに激しく争い、かつてないほどの混乱に包まれていた。その中でも、倭の地は力を蓄え続け、世界を圧倒する存在へと成り上がりつつあった。
だが、世界の流れは急速に変わりつつあった。ある日、伊吹丸の元に届いた情報が、倭を新たな危機へと導く。
「指導者様、緊急の報告です。アメリカが、新兵器を開発しました。これまでの武器とは桁違いの破壊力を持つ…その名も『原爆』です。」
報告を受けた伊吹丸は、一瞬その言葉を受け止めることができなかった。彼は、これまでの戦いで無敵の剣を誇り、異能を持ってしても敵を打ち倒してきた。しかし、「原爆」という名は、どこか異質な響きを持っていた。
「原爆…だと?それは、一体どれほどの威力なのか?」
報告者は、少し震える声で続けた。
「…今まで見たこともないような兵器です。都市を一瞬で灰に変えると言われています。広島という都市がこの新兵器で壊滅したと報告されています。」
伊吹丸は、しばし沈黙した。その報告は信じ難いものであったが、彼の胸に重く響いた。これまでの戦争の常識を覆す、未曾有の破壊力。それは、人間の力では制御できない何かであると直感的に悟った。
「…そうか。だが、たとえどれほどの破壊力を持っていようとも、我々はこの国を守らなければならない。」
伊吹丸は立ち上がり、剣を握りしめ、決意は揺るがなかった。しかし、この新たな脅威に対抗するためには、ただの力では足りないことも理解していた。
数日後、伊吹丸は戦場へ向かった。空を覆う黒い雲の下、遠くから見えるアメリカ軍の艦隊が、今まさに倭の領土に近づいていた。彼らの目的は明白だった。原爆を投下し、この地を壊滅させること。
伊吹丸は、高台からその様子をじっと見つめた。
「この地を破壊させるわけにはいかない…。」
彼は心の中でそう誓い、刀を抜いた。彼の異能の力をもってしても、原爆という脅威に立ち向かうのは容易ではない。だが、彼にはこの国を守るという強い意志があった。
突然、空が暗くなり、遠くで閃光が走った。それが、原爆の予兆であることを知る者はほとんどいなかった。しかし、伊吹丸だけは、その恐怖を真正面から見据えていた。
「来るか…!」
空高く上がった爆撃機が、原爆を投下した瞬間、伊吹丸は全力で剣を振り上げた。彼の異能の力が放たれ、空間を裂くように奔流が走る。だが、その力でも、原爆の破壊力を完全に封じ込めることはできなかった。
大地が揺れ、空が炎に包まれた。原爆は一瞬で広範囲を飲み込み、伊吹丸の目の前で爆発した。しかし、その場に立ち続けた伊吹丸の姿は消えていなかった。彼の異能が、最も危険な瞬間を耐え抜いたのだ。
しかし、被害は甚大だった。周囲は壊滅し、多くの人命が失われた。伊吹丸はその光景を見つめ、再び刀を握り締めた。
「これが…原爆の力か。この程度では我が国は滅びん。」
伊吹丸は、痛みを感じながらも前を向いた。彼の心に燃え上がる復讐の炎が、これからの戦いをさらに激しく燃え上がらせることを予感していた。