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番外編
菊葉家の茶飯事
― 魂の響き、脳内再生の完成形 ―
京都、東山の静かな午後。菊葉屋敷の縁側で、椿が手元の端末を眺めて珍しく首を傾げていた。
「ねえ、梅ちゃん。記録官 Xが、俺たちの『声』を決めてくれたみたいだよ」
「……声? 何言ってるんですか。私たちは今ここで喋っているでしょう。……どれ、見せなさい」
梅がフィッシュテールスカートを翻して隣に座り込む。画面に躍る名前を見て、彼女の銀色の瞳がわずかに見開かれた。
「……石川由依さん? ……凛としていて、それでいてどこか切ない響き……。ふん、記録官 Xも、たまには『的確』な選定をするものですね」
「ヤバい、ウチはあやねるじゃん! マジで分かってる〜☆ 記録官 X、天才すぎ! 桐っちは内山昂輝さんだって。……ねえ、なんか言ってよ、桐っち!」
蓬に急かされ、影から現れた桐が、深い群青の瞳を伏せてぼそりと呟いた。
「……諦めろ。……声質まで指定されたら、……もう俺たちに逃げ場はない」
その声は、なるほど確かに内山昂輝さんのような低体温で心地よい響きを帯びていた。
「あはは、みんな好評だね。……俺は中村悠一さんかぁ。……よし、それじゃあ『観測者』のみんなに、この声で挨拶してみようかな。……コホン」
椿が居住まいを正し、だらしなさを消して、低く艶のある中村悠一さんボイス(脳内再生)で囁いた。
「……俺たちの記録、最後まで聴いてくれるよね? ……おやすみ」
「……っ!! ……椿、 真昼間からそんな『色気』を出して……観測者さんの情緒が壊れたらどうするんですか! 早く、いつものだらしない声に戻りなさい!」
顔を真っ赤にした梅の叱咤が、屋敷中に響き渡る。
四人の「音」が、記録官 Xの手によって、より鮮明に京都の空へと溶けていった
記録官 X 観測余録:月下に響く四つの音色
|観測者の皆様、今宵は少しだけ耳を澄ませてみませんか。
古都の闇を優しく、時に鋭く彩る四人の声。
それは、一蓮托生の絆を謳う、世界で最も美しい音色。
菊葉 椿 穏やかなる紅の誘い
CV:中村 悠一 希望
響き: 絹のように滑らかで、どこか物憂げな低音。
一筆: 「あはは、いいじゃない。……おやすみ。君の魂、俺が綺麗に散らしてあげるよ」
菊葉 梅 | 銀月を映す解析の旋律
CV:石川 由依
響き: 清流のごとく澄み渡り、凛と背筋を伸ばす凛冽な声。
一筆: 「何度言えばわかるんですか。……死ぬときは、家族一緒だと。……復唱なさい、椿」
菊葉 蓬 | 桃花の如き無垢な叫び
CV:佐倉 綾音
響き: 陽だまりのような温かさと、最凶の末娘が秘める鮮やかな熱量。
一筆: 「マジ映え〜☆ ウチらの絆、世界で一番強烈だから! 誰も邪魔させないし!」
菊葉 桐 | 静寂の底、群青の吐息
CV:内山 昂輝
響き: 深い海の底で聴くような、低体温で透き通った独白。
一筆: 「……諦めろ。……この影からは、もう、誰一人として逃げられない」
この四つの調べが|一蓮托生の譜として重なる時、物語は真の夜明けを迎えるでしょう。
観測者の皆様、皆様の心に最も深く染み入ったのは、どなたの「響き」でしょうか。
「……記録完了。……月が沈むまで、余韻を噛み締めてください」
記録官希望の声優さん。あなたのイメージに合っていたでしょうか?
次なる記録:― 雨音の旋律、銀色の約束 ―
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