テラーノベル
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夜はまだ終わっていなかった。
時計はもう日付を越えている。
テレビはいつのまにか消えていて、部屋には薄いオレンジ色の間接照明だけが残っていた。
らんはソファにもたれたまま、うとうとしている。
毛布は肩から少し落ちていた。
いるまはそれに気づいて、立ち上がる。
足音を立てないように近づく。
(起こすなよ…)
そっと毛布をかけ直す。
そのとき、らんのまつげが揺れた。
「……いるま?」
寝ぼけた声。
「寝ろ」
「……うん」
でも、らんは目を閉じない。
ぼんやりした視線で、いるまを見ている。
「まだ、いる?」
「いる」
即答だった。
らんの表情がゆるむ。
「そっか…」
安心したみたいに、息を吐く。
その無防備さに、いるまは少しだけ困る。
(信用しすぎだろ)
胸の奥が、静かに熱い。
離れて自分の部屋に戻るつもりだったのに。
足が止まる。
らんが、毛布の端を軽く掴んでいる。
無意識。
でも、確かに“ここにいて”の形。
いるまは小さく息を吐いて、ソファの前の床に座った。
「……ガキかよ」
小さく言う。
でも声は優しい。
「いるま」
「なに」
「今日ね」
らんの声は、眠気で輪郭がぼやけている。
「倒れたとき、来てくれてうれしかった」
いるまは一瞬言葉を失う。
「……当たり前だろ」
「うん」
らんは目を閉じたまま、続ける。
「でもね、当たり前って言ってもらえるの、初めてだった」
静かな衝撃が胸に落ちる。
(俺は…)
何気なく言った言葉。
でも、それが誰かにとっては救いになる。
その事実に、まだ慣れていない。
「……そうかよ」
それしか言えない。
でも、その声はさっきより低くて、柔らかい。
「いるま」
「ん」
「……ありがと」
返事はない。
代わりに、らんの頭にそっと手が置かれる。
ほんの一瞬。
撫でる、というより、触れただけ。
でも、それで十分だった。
らんの呼吸が、すぐに深くなる。
眠った。
いるまは手を引っ込める。
心臓がやけにうるさい。
(これ以上は、まだ早い)
自分に言い聞かせる。
でも、ソファから離れなかった。
背中を預けて、床に座ったまま目を閉じる。
同じ空間で眠る。
それだけのことが、少し前の自分には考えられなかった。
夜は深く、静かに包む。
触れなくても伝わる体温。
言葉より先に、安心がそこにある。
境界線はまだある。
でも。
その線の上で、二人はもう背中を預け合っていた。
コメント
3件
きょうもてぇてぇですわ... sにそうΩ\ζ°)チーン
いいせんいってますね((おい これは…えいがかしましょう((おいだめだろ、だれがこえやんねん さいこうです、ありがとうございm…0(:3 )~ ※ほんじつにかいめのしょうてん