テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
黒のパーカーを被り、デニムのズボンを履く
初出勤でこんなラフな格好が許さるのはRoblox社ぐらいだろう
Taphは爆弾作りの才能を買われ、 BANされたRobloxianの家を爆破する 解体作業員の仕事をすることになった
今まで爆弾の威力を確かめるために、わざわざ瓦礫や廃材を集めた施設に通っていたTaphだが Roblox社ではその施設の代わりになるスペースが確保されているらしい
胸を踊らせながら身支度を整え、 カバンに作業用の道具を詰め込む
Taphはメールで送られてきた資料に再度目を通した
資料には会社へのアクセスやフロアごとの部署紹介、大まかな仕事の内容などが記載されている
建築にも興味あるし、仕事に慣れたら勉強してみようかな
早とちりかも…へへへ
これからの新しい生活についてあれこれ考えているうちに自然と笑みがこぼれた
作業部屋のドアを開け、
そのまま玄関へと歩き出した
TaphはRoblox社の建物を見上げた
太陽の光に照らされたビルが眩しく、思わず目を細める
今日からここに出勤するんだなぁ…
まだ夢見心地なTaphは正面に向き直り、Roblox社の入口へと歩みを進めた
控えめにRobloxのロゴが入った自動ドアをくぐると、大きく吹き抜けたエントランスが現れた
まだ出勤ラッシュ真っ只中のため、エントランスにはたくさんの人が行き来し、騒がしい空間だった
周りを見渡してエレベーターを探す
Taphがこれから行くのは、このビルの11階にある解体部署用のオフィスだ
出社初日はこれからの仕事についての説明があるらしい
エントランスの左奥に目をやると、エレベーターらしき扉が見えた
Taphは人を避けながら左奥へ進み、
エレベーターの中に入って11階のボタンを押した
ゴウンゴウンと音を立ててエレベーターが上がり、あっという間に目的のフロアへ到着する
Taphはスマホを取り出し、フロアマップを見ながら 緊張した足どりでオフィスに向かった
曲がり角を曲がるとガラス張りのオフィスが見えた
Taphはそこが自分の部署のオフィスだと確認したあと、緊張から来る手汗を滲ませながら扉に手をかけた
その瞬間、これから自分の上司になる人たちの視線が一斉に扉へ集まる
Taphは小さく開いた扉から恐る恐る顔を出した
「お!新入社員の子?」
「やあ初めまして〜」
「こんにちは!初めまして」
「初めまして〜!ようこそRoblox社へ」
温かい歓迎の言葉が飛び交う
Taphはしどろもどろしながら扉をくぐり、輪の中へ入った
「うちの部署に配属されるなんて珍しいですね〜!」
「ここの部署いっつも人手足りなくて…本当に助かります!」
「爆弾作りが得意なんですか?解体作業のときに使う重機の操作難しいので本当に助かります…」
「爆弾ってどんな種類作れるんですか?」
四方八方から話しかけられ、筆談が追いつかず先程とはまた別の手汗を握っていた
しかし、言葉が話せないことから敬遠されがちなTaphにとってとても嬉しいことだった
綺麗な字が焦りで崩れてきた頃、輪の外にいるスーツを身にまとった人がTaphの腕を掴んだ
「Taphさんと他の方々。すみませんがTaphさんを借りますよ」
「まだ仕事内容とエリアの説明は疎か、仕事着すら渡してないんですからね」
「Taphさんとお喋りするのはその後です 」
「ほら、散った散った!」
スーツの人は右手でTaphをグッと引き寄せ、左手でしっしとジェスチャーした
「は〜いすみませんした…」
「またお話しましょうねTaphさん!」
「覚えること多いですが頑張りましょーねTaphさん〜!」
「また後で〜!」
Taphを取り囲んでいた先輩たちは各々の席へと戻り、各自仕事を再開した
スーツの人はそれを確認し、Taphから手を離した
「すみませんTaphさん…この部署に人が入るのが久しぶりだからみんな興奮してて…」
スーツの人はやれやれといった素振りでTaphに話しかける
Taphはこのやり取りだけで、この部署の人間関係が良好だということをなんとなく察した
素敵なところに来れたなぁ
自然とTaphから笑みが零れる
それをスーツの人がチラッと見て、すぐ視線をずらした
「そういえば自己紹介が遅れたね」
「私はこの部署の部長だ。好きに呼んでもらって構わないよ」
そう言って部長はニコッと笑う
「よし、それじゃあまず作業着を渡そうか。」
「着いてきてくれ」
部長はオフィスのドアを開けてTaphを呼ぶ
Taphは部長に続いてドアをくぐった
オフィスから出て左に曲がり、しばらく直進すると更衣室と書かれた扉が現れた
「Taphさんのロッカーは更衣室2にあるよ」
「部屋に入って右側、奥から3番目のロッカー名札が掛かってるから、そこを使ってくださいね」
「着替えはロッカーの中にあるから」
「はい、鍵」
部長はTaphと書かれた名札が付いたロッカーキーを手渡した
Taphは小さくお辞儀をして更衣室の扉を押した
「私は先に戻ってるから、着替え終わったらオフィスに戻ってきてね」
そう言い残して部長はオフィスの方へと歩いて行った
更衣室の中は暖房が効いており、照明も暖色だった
ロッカーは各々デコレーションされており、巨大なリボンが付いた扉やポラノイドやチェキが大量に貼られた扉など、個性的なロッカーが並んでいた
好きなようにロッカー飾り付けていいんだ…!
周りのロッカーと比べてTaphのロッカーは無機質に見えた
まだなんの飾りも付いておらず、ただパソコンで入力したであろう字の名札が掛かっているだけの灰色の扉だ
ふふふ、どんな風に飾り付けようかなぁ
そんなことを考えながら自分のロッカーに歩み寄り、ロッカーキーを挿す
鍵穴を回すとガチャリと音がしてロックが外れた
扉を開くと、きちんと畳まれた作業着らしき服が積まれていた
左斜め上に視線を動かすと、ロッカーの内側のフックに黄色のポーチが掛けられていることに気が付いた
これも作業着のうちに入るのかなと思い、ポーチを手に取った
そこそこ容量のありそうなポーチだ。腰に留められるようにクリップが付いている
Taphはポーチをフックに掛け直し、作業着を手に取った
伸縮性の良い タートルネックの黒シャツと黒ズボン、Roblox社のロゴが入ったジャケット、革手袋にヘルメット、防塵マスクやゴーグルなど一式揃えられていた
ズボンに足を通し、ベルトを締める
シャツを着て、 ジャケットを羽織り、 姿見の前でくるんと回る
サイズは若干大きいが作業の邪魔にはならないだろう
ロッカーの内側のフックに掛かっているポーチを取り、腰のベルトにポーチのクリップを挟んで固定した
手袋をはめ、隙間がなるべく出来ないようにシャツと馴染ませる
そして自分が着ていたパーカーとズボンをしまい、ロッカーに鍵をかけた
ロッカーキーはポーチの中に仕舞った
ヘルメットの中に防塵マスクやゴーグルなどを入れて手に持ったままTaphは更衣室を出た
来た道をそのまま戻り、オフィスのドアを開ける
「お!おかえりなさいTaphさん〜」
「うわそのジャケット懐かし」
「おかえり〜」
「迷わず行けたでしょ、分かりやすいから」
なんて賑やかな人たちなんだろう
うるさいとは少しも思わなかった
あいにく筆談用のメモ帳は自分のデスクに置きっぱなしだったので、Taphはニコッと笑って軽く会釈した
それを見てみんな満足したようで、各々自分のデスクに向き直る
Taphが顔を上げると、オフィスの奥から部長が歩いてきているのが見えた
「Taphさんおかえりなさい」
「さっき言い忘れていたんだけど、その作業着は配給されたものってだけで制服とは違うからね」
「他の人を見たらわかる通り、自分の作業しやすい格好で仕事をしてもらって構わない。安全な範囲でね」
「その作業着はあくまで服装の基準と見てくれ」
Taphはこくりと頷き、先輩たちの服装を改めて観察した
つなぎを着ていたり、ローブのような服を着ていたり、服を何着も着込んでいたり、上下ジャージだったりと各々自分で準備したらしき作業着を着ていた
中にはキーホルダーやワッペンなどの装飾品を付けている先輩もいた
どこまでも自由な会社なんだなぁ…
「それじゃあ解体作業について説明しようか」
「…といっても言葉だけじゃなくて実際に現場へ行った方が理解が早い」
「一応詳しい資料を渡しておくけど、理解するのは明日でいいよ」
「そうだなぁ〜…今日は事務作業について説明しようか」
部長はTaphをTaphのディスクに座らせ、パソコンを開くと丁寧に仕事を教え始めた
よく使うアプリやサイトの使い方、報告書の作成方法などだ
時々通りすがりの先輩方がアドバイスをくれるお陰でTaphはすぐに仕事を覚えることができた
「覚えが早いね」
「新卒だったっけ?若いって素敵ね」
「ほら歳が出てるぞ」
「まだそんな歳じゃねぇわ」
周囲の賑やかさが逆にTaphの集中力を高めた、Taphはこの会社に入れてよかったと心から思った
「事務作業はこんなもんかな」
「覚えが早くて助かるよ…明日は現地作業について教えるから、作業着忘れないでね」
「今日は覚えることたくさんあっただろうし、新しい場所で疲れたでしょう」
「もうすぐ定時だから帰って大丈夫だよ」
(分かりました)
(ありがとうございます)
(お先に失礼します)
Taphは筆談に使っているメモ帳や事務作業に使ったパソコンをカバンに仕舞い、椅子から立ち上がった
「じゃあまた明日」
部長はそう言って手を振った
Taphも手を振り返して会釈する
扉の方へ歩いていき、扉の前に立つ
後ろを振り返り、声は出ないのでお辞儀をしてオフィスを出た
「Taphさんお疲れ様です〜!」
「Taphさんまた明日」
「お疲れ様です」
「お疲れ様ですー」
先輩方の声が聞こえ、また後ろを振り返り会釈しながら手を振ると、先輩たちも振り返してくれた
この砕けた雰囲気がTaphにとってとても心地良かった
あとがき(独り言なので読まなくていいです)
このシリーズを読んで下さりありがとうございます!
今回の話バカつまんねえな!すみません!!
今回でTaphが仕事に慣れて、一人でも作業できるようになる過程が要るかなって思って書き始めたんですけど
文字数が4000を越してしまい気力が死にました
とりあえずお家に帰せたんで、まぁいいかな…
次の話ではTaphが解体作業のやり方を習うのと、Taphの爆弾を使った描写を入れたいですね
それとTelamon、Builderman、Dusekkarに会わせたいです
欲張りすぎると絶対気力が尽きるのでせめてTelamonにだけは会わせたい…!!
なんならRobloxの世界の仕組みまで行きたい!!
…多分次回でここまで書くのは無理だと思います
小説書くの下手でリアルも忙しいのでいつになるか分からないですけど飽きないうちに書ききりたい
ここまで私の独り言に付き合ってもらってありがとうございました!!!!
コメント
4件
ああ”見るの遅れた!! 今回もめっちゃ好きです! 新作出てて嬉し過ぎるので地球一周でんぐり返しして来ますね(←?!)
読んでる間変な声がいっぱい出ました☆(?)taphが…可愛すぎて死にそうでしたね 寿命がそろそろヤバいなあ…!めちゃくちゃ続き楽しみにしてたので嬉しいですうううう!あそろそろヤb((殴