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勢いよく開いたドアの先に立っていたのは、慌てふためいた夜勤の看護師だった。
「冬馬先生!すみません、強風で救急外来のガラスが割れて、破片で怪我人が……っ」
「……すぐに行く」
私を抱きしめていた熱が、一瞬で離れる。
冬馬先生は、さっきまでの脆さが嘘のように、鋭い眼差しで白衣を羽織った。
けれど、立ち上がったその足元が、わずかに、けれど確実にふらついたのを私は見た。
「先生、私も行きます!」
「……来るな。お前はここで待機してろ」
冷たく突き放す言葉。
けれど、それは私を危険にさらしたくないという、彼なりの不器用な庇護なのだと今の私には分かった。
一時間後
応急処置を終えて戻ってきた冬馬先生は、雨と汗、そして微かな血の匂いを纏っていた。
医局のドアを閉めた瞬間、彼は力なく壁に背を預け、そのまま床に座り込んだ。
「先生……っ!」
「……海老名。……もう、限界だ」
駆け寄った私の腕を、彼は驚くほど強い力で引き寄せた。
弾むように彼の胸の中に飛び込む形になり、見上げた先には
眼鏡を外し、剥き出しの熱を宿した冬馬先生の瞳があった。
「先生、熱があるんじゃ……」
「……うるさい」
震える指先が、私の頬を包み込む。
いつもは冷徹にメスを振るうその指が、今は、壊れ物を扱うように、酷く愛おしげに私の肌をなぞる。
「……お前のせいで、俺の計算がすべて狂う。仕事に私情は持ち込まない。そう決めていたというのに…お前が、俺の聖域にまで土足で踏み込んでくるから……」
掠れた声が、私の耳元で熱く爆発する。
冬馬先生の顔が近づき、鼻先が触れ合う。
「海老名。……お前を、俺だけのものにしていいか?」
それは、問いかけという名の「宣告」だった。
私が答える間もなく、冬馬先生の唇が、私の唇を塞いだ。
嵐の音さえ聞こえなくなるほどの、深い、深い、窒息しそうなキス。
鉄のような自制心が崩れ去り、ドSな仮面の裏側に隠されていた
狂おしいほどの独占欲が私を飲み込んでいく。
「……んっ、…ふあ、……せん、せい……っ」
「……逃がさない。お前が、俺をこうさせたんだからな」
深夜の医局、落雷の光が部屋を一瞬だけ白く染める。
その光の中に浮かび上がったのは、獲物を捕らえた獣のような、冬馬先生の美しくも恐ろしい瞳だった。
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