タイに来て、向井のドラマの撮影が始まった。初めは軽いシーンからかなと思っていたら、予想に反してハードなラブシーンからの撮影だった。
際どいシーンから撮影させることで、役者たちを乗せ、慣れさせたいという監督のねらいらしい。
しかし、繊細な向井は、演技とはいえ好きでもない相手とキスをしたり、裸になって身体を重ねたりすることがだんだん辛くなって来てしまった。
異国の地でナーバスになっていた向井は、恋人の渡辺に電話をかけた。
🧡しょっぴーに会いたい
💙寂しくなっちゃった?
🧡おん…
💙楽しみにしてた撮影だろ
🧡それは、そうやけど…
💙何が問題?
🧡しょっぴーがおらんこと
ふは、っと渡辺が笑って、向井は胸がきゅっと締め付けられるのを感じた。
🧡俺がこっちで、しょっぴーじゃない男とイチャイチャしてるの気にならん?
💙だって、お芝居だろ?
🧡お芝居でも嫌なもんは嫌やないの?
💙うーん…
渡辺が考え込んで、向井は祈った。
嫌やって言って欲しい。
嘘でもええから。
💙嫌かな
🧡しょっぴー!!!!!
聞き間違えやない????
今、嫌って言ってくれた?????
向井は嬉しくなってにやにやが止まらない。
🧡嫌なんや…嬉しい!!!!!
💙でも、しっかり頑張ってほしい
🧡俺、頑張る!相手がしょっぴーだと思って、全力で愛してみせる!
💙それはお相手に失礼だろ
🧡しょっぴー!大好きやー!ほんまに愛してる!!
💙はいはい
向井と渡辺は国境を超えてもこんな調子。
向井のたっぷりの愛情と、渡辺のほんの少しの愛情表現と。
でも渡辺の愛の深さは、向井が思っているよりずっと深い。
なんだかんだバランスを取って、二人はこれからも続いていくだろう。
おわり。