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💛side
どうしよう、どうしよう、どうしようッ、
綺麗な澄み切った青空の下。
テントの方で俺は柔太朗の上に覆い被さることでしか守ることが出来なかった。
前々から柔太朗には何か人には言えない過去があるんだと察していた。
だから、無理に話そうとしなくてもこいつが少しでも楽になれるようにって寄り添ってきたはずだ。
そんな苦しい過去が消えるぐらい安心できるように、って。
🤍「ごめっ、ひゅぅ⸝⸝⸝、じんちゃっ、⸝⸝⸝」
💛「あ”ッ、謝罪なんていらねぇからっ!!」
それなのに、そんなことを知ってるのは自分なのに。
自分だけなのに。
柔太朗が苦しんでることも知っていたのに。
俺は何も動けなかった。
💛「勇斗ッ、お願いだからっ、目覚ませッ”!」
🩷「ふーっ”ッ、…ふぅーッ”っ、」
まるで薬を決めたかのような荒い息。
周囲が段々と柔太朗の匂いに気づき出す。
まずい、まずいっ、不味すぎるッ”!!!
Ω特有の発情期ことヒート。
その身体から発せられるフェロモンに耐えられるαなんているわけが無い。
理性なんて吹っ飛ばされるし、なんなら狂気的な怪物へと変身させてしまう一種の魔法みたいなものだ。
じりじりと数人が詰め寄ってくる。
今か今かと目の前の獲物に飛びつこうと周りは唾を飲み込んでいた。
💛「っ”、」
覆い被さるのにもきっと限界がある。
第一、俺もこいつと同じΩだ。
大切な”親友”である存在を守れるような力は持っていない、。
本能むき出しのαなんて勝てっこないのだから。
荒い息を繰り返す柔太朗の手は、ずっと震えていた。
きっと怖いんだと思う。
その恐怖を知ってるのは俺も同じだから。
💛「頼むっ、…だれかっ、、」
泣き叫びたかった。
そもそも、俺が勇斗なんかと喧嘩しなければ。
優しい柔太朗だけでも、どこか別の所にいてくれれば。
それよりも俺がこいつと話すこと自体ダメなことだった…のか、?
自分なんかよりも、もっと一緒に居て楽しい友達といた方がこいつもこんな目に遭わずにっ、
勇斗が俺の腕を引っ張り、柔太朗から強引に引き剥がされる。
💛「勇斗ッ”っ、!!」
結局、どれだけ好きと言おうが、
目の前にいる発情したΩになんて、かないっこないんでしょ?、
本能って所詮そんなもんだから。
勇斗が柔太朗の手首を掴み、押し倒した形となる。
🤍「せん、ぱっ、…い」
あぁ、見てることしか出来ない。
今目の前で大切な”親友”が襲われてるのに。
なんで、なんで、どうして、
何度恨んだだろうか。
この世界を何度拒絶しただろうか。
もう、…数えきれないや、
目の前にいるのに、
助けられないこの無力さに
俺は嫌ってほど痛感するんだ。ここで。
ごめん、なさい。
たすけて、あげられなくて
?「はいはい、すとーぷっ」
がばっ、と突然勇斗の身体が宙に浮く。
我を忘れたあいつは牙むき出しで空気を蹴飛ばしていた。
?「はよ、薬飲ませてや。俺もこの匂いちょっときついねん。」
と、苦笑いする何処の誰かも分からない男子生徒のおかげで一瞬で冷静になれた。
?「薬もってる?、」
ポケットからいつも離さまいと常時していた薬を急いで取り出し、
柔太朗の口に放り込む。
?「よしよし、おっけ。すぐ効いてくると思うねん。」
おんぶ出来る?、と聞かれたが俺は今さっきの出来事で腰を抜かし、到底動けそうになかった。
?「うごける、?」
🤍「ひゅぅ、⸝⸝⸝…はぁっ、⸝⸝⸝」
?「無理そうやな。」
宙に浮いていた勇斗から手を離し、軽々と持ち上げる。
?「うっわ、軽いな。」
💛「えっと、…えっとッ”、」
?「あぁ、保健室まで着いてきて欲しいねんけど」
あまりにも冷静に対処するものだから、咄嗟に頷く。
名前すら聞けてない何処の誰かも分からない優しい人。
🩷「あれ、、俺っ…」
?「佐野さんはそこおっとき。」
🩷「おまっ、」
?「……そこら辺におる大切な人の友達に何欲情してるん、」
🩷「……ッ”、」
ぼそっ、と呟いたみたいだが生憎俺は目の前の柔太朗に必死で。
薬を飲んでも未だ肩で呼吸する姿は見てられなかった。
?「大丈夫。もう襲われたりせんから。とりあえず、移動しよや。」
何とか立ち上がって、彼の頭を撫でる。
ごめんなさいっ。
そんな気持ちがいっぱいで。
2年生の一学期クラスが変わって初めての球技大会。
そんな行事は一瞬にして終わりを告げた。
?「よし、ありがとうな。運ぶの手伝ってくれて。」
感謝されるのはそっちの方なのに。
保健室に入れば、独特な消毒液の匂いが立ち込める。
扉を開けるなり保健室の先生が目を丸くしていた。
「もしかして、山中くん?、」
?「発情して倒れてもうたんよ。今は薬飲んで落ち着いてる。」
「そう、なら良かった。」
と、先生は手際よくベットの準備をし、親御さんに連絡すると言って足早に出ていった。
その速さは異次元で。
…てか、あの言い方だと柔太朗のこと知ってる口調だったな。
何気に俺は第二の性の事では細心の注意を払っているため保健室に来るなんてことが滅多にない。
発情期以外は健康的な身体だし、別に特段怪我や熱が出る訳でもない。
だから無縁の場所でもあったこの教室。
そんな性格も相まって丁度薬を持っていて良かったと少しだけ安心した。
?「っと、よし。一旦一段落やな。」
💛「…!!、本当にありがとうございます、」
?「えぇよ。お互い様やし。前で困ってる人がおったら助けるのが普通やろ?、なんてカッコつけたこと言えへんけど、笑」
くしゃっ、と笑う彼を見れば本当に良い人で良かったなって思う。
💛「えっと、…何度お礼したらいいことかっ」
?「ええって、ほんまに!!、
てか、あんたが佐野さんが言ってた吉田さん?」
え、と思わず声が漏れる。
どかっ、と勢いよく席に座る彼。
うそ、俺のこと知ってんの??、
?「そんな目せんでええやん!、取って食ったりせえへんのやし!!」
💛「…………。」
?「ほんまに疑ってる?、ほんとやって!!」
なんて焦る姿を見れば、自然と笑みが零れる。
何この人、面白いんだけど。
?「あ、笑ってくれた。」
💛「オーバーリアクションすぎ。何か見てるだけで面白い、」
?「なら良かった!、俺一応吉田さんの年下やから!!」
てへ、と舌を出してあどける姿。
え、ほんとじゃん。
体操服の色違うじゃん。
💙「とまぁ、自己紹介してなかったな!、俺は一年の塩﨑太智!!、…えっと敬語の方がええよな??」
なんて小首を傾げる。
別に敬語とか年上とかあんま気にしないけど。
💛「敬語とかは任せるわ。えっと …自己紹介、。二年の吉田仁人。柔太朗と同じクラスの…、」
💙「あ!、この子、柔太朗くん言うんや!」
じゃあ遠慮なく敬語じゃなくてええんやね、とにかっと笑う憎めない顔。
なんか自然とこちらまで笑顔になれる。
って何笑ってんだろ、
……俺が柔太朗をこんな目に合わせたのに。
💛「………っ、。」
💙「…?、どうしたんよ、」
顔に出ていたのか分かりやすく聞いて距離を詰めてくるこの感じ。
…この子絶対、先輩から愛されるタイプだって直ぐにわかった。
💛「……俺のせいだ。柔太朗を苦しめてしまったのは。」
いても立っても居られない。
今も尚ずっと冷めない熱に苦しんでいるのだから。
それをまた見ることしか出来ない。
💛「…っ、俺がもっとちゃんとしてればッ。冷静な判断がとれて、…たらっ、」
あんな怖い思いも、苦しんだ過去も思い出させずに済んだのに。
俺がっ、俺が”っ、、!!!
💙「こらこら、力が入るのは分かるけど爪立てるのやめーや。」
そう言われて手のひらを見て見れば、
気付かぬうちに力強く握っていたため血が滲んでいた。
💙「…そうやって自分を責めたくなるのもわかるけど、あの状況で何か行動出来る方がすごいと思うねん。」
だって、Ωなんでしょ?、と言われて唖然としてしまう。
💙「そんなびっくりせんでも匂いに反応してないあたり絶対そうに決まってるやん。βの俺ですらキツかったのに。」
あ、と思わず口から漏れ出る。
Ω特有の発情期。
それは第二の性関係なしに誰でも引き寄せ魅了する。
人口の割合が高いβすらも理性を揺さぶられると言われているその匂いに、
反応しなかった俺は必然的に同じ部類か、番もちであることが決まるのだ。
💙「大丈夫。誰かに言うとか絶対せえへんから。」
今さっきの行動を踏まえれば、その言葉には完全な説得力があった。
💙「………佐野さんのこと嫌いになったりせんよな?、」
💛「……え?、」
💙「あれは完全なる本能で動いただけやから、」
なんて突然的外れな質問されてもどう返せば良いか分からないし、話の繋がりが見えてこない。
…そんなの知ってるよ。
発情したΩに耐えられるαが居ないことぐらい。
むしろ、あの場では良く耐えてたなって思うくらい。
柔太朗は未だ苦しそうに呼吸していた。
一時的に匂いや発情期は収まったが、結局それも抑えて蓋したことには過ぎない。
薬の効き目には限界があるし、何時か番を見つけなくてはいけない日が来る。
それはきっと俺も同じだから、。
布団の上にあった手をぎゅっ、と握る。
これぐらいしか出来ないから。
眠り続ける彼をただ永遠と見てることしか出来なかった。
コメント
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お久しぶりですっ!! しばらくテラー開いてなくて…😭 いやぁぁ…ほんとに、、もう好きです… なんかいつの間にか感情移入してました、、 マジでマジで天才ですっ…🫵 あっ、真・運命聴きましたかっ!? 結構思ってたのと違ってビビりました 笑 普通にめーっちゃかっこよかったです✨️
第5話、読み終えたよ……。 もう、なにこれ、心臓がギュッてなった。 仁人の「守りたいのに守れない」って無力感が痛いほど伝わってきて……自分を責める声がそのまま胸に刺さった。 柔太朗が震えてて、でも助けられなくて、そこに現れた塩崎くんの冷静さがすごく救いだったけど、それでもなお残る後悔がリアルで。 Ω同士の友情って、こういう切なさがあるんだね……。 重いけど、ちゃんと向き合いたくなる話だったよ。 仁人の気持ち、ちゃんと受け取ったよ。