テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「・・・そうか・・・」
青年はやっと自分中にある感情の名に気がついたのか、青年は瞳を揺らした。そして、目を閉じ、開く。
「・・・なぁ・・・お願いがある。」
「・・・お願い?」
すまない先生の言葉に、青年は頷いた。
「・・・お前らのその力を見込んで、頼みがある・・・この子たちを“保護”してくれないか?」
「・・・保護?」
「あぁ、こいつらは確かにお前らたちより能力は劣っている。だが、他の奴らからしたら、欲しい存在だ。・・・こいつらが、成人・・・いや、クローンだから、成人するまで生きれるかは怪しい・・・どうか、こいつらの活動が止まるまで、こいつらを保護してくれ」
「・・・それは構わないけれど・・・」
「すまない先生!?それ、構わないで済ましていいんですか!?」
ケロッとこぼしたすまない先生の言葉に、銀さんが思わず叫ぶ。すると、すまない先生は言葉の続きを話した。
「・・・この子たちをって・・・“君”は?」
その言葉に、青年は俯いた。
「・・・俺はいい。どうせ、“寿命も少ない”しな」
「・・・寿命・・・」
「あぁ、俺はオリジナルと同じくらいの力を得る代わりに、色々弄られて、普通のクローンよりも寿命が短い・・・明日死ぬかもしれないし、1週間後に死ぬかもしれない・・・詳しくは分からねぇがな・・・」
「・・・そんな・・・」
すまない先生は目を丸くした。目の前にいる、同じ青年が、あと少しで死んでしまう。
それがあまりにも信じられなかった。ふと、気がついた。青年が“片腕を押さえていることに”
すまない先生は思わず手を伸ばした。
袖からはあるはずの手に“ヒビが入っていた”
「・・・腕が・・・」
「あぁ・・・博士を殺した際・・・ヒビが入った。」
青年は痛みにうめく様子もなく、ただそうこぼした。
「・・・他に、方法あるかもしれないだろ?・・・ブラックに頼めば・・・!」
だが、青年は首を縦には降らない。
「・・・自分の命くらい、自分でわかる。・・・俺の命は、もうすぐ潰えるってな」
「・・・ッ!」
青年は“もう自分の運命を受け入れている目”だった。
「・・・ここから早く離れろ。ここは、俺が“爆破”させる」
「!どうして・・・?」
「・・・こんな研究は、存在しない方がいいんだ。また、この子たちみたいな子を作らせないように、作らせてたまるか」
そう青年はこぼし、部屋から出ようとした。
「待って!君が居なくなったら・・・この子たちは悲しむよ!!僕だって・・・僕だって悲しい!!」
「・・・」
「・・・クローンだとしても、君は僕の後に産まれたんだろ?てことは、君は僕の弟じゃないか!弟をみすみす見殺しになんて出来ない!!」
そうすまない先生は叫んだ。それに、青年は
「・・・はは、こんな“僕”を・・・“弟”って言ってくれるんだな・・・嬉しいなぁ・・・」
“笑っていた”
青年はただただ笑っていたのだ。
嬉しそうに、笑顔を綻ばせ、涙浮かべていた。
・・・けれど、“意思”を曲げる気はないようだ。
「・・・ありがとな。“兄ちゃん”・・・後は頼んだ」
「待って!!」
すまない先生の手が、青年の腕を掴む。だが、
ボロッとまるで乾いた砂のように、“腕が砕けた”
「・・・!」
「・・・じゃあな、“オリジナル”・・・兄ちゃん。・・・お前に、お前たちに会えて良かった・・・俺は、兄ちゃんに、兄ちゃんの仲間たち酷いことした・・・許されることでは無いのは知っている。・・・許して、なんて言わない。・・・その子たちを、頼んだ」
青年はそう笑い、部屋から飛び出した。
「・・・っ!!待って!!」
だが、青年は後ろを振り返らず、そのまま行ってしまった。
「・・・すまない先生」
「・・・ッ・・・」
すまない先生は涙を袖で拭い、生徒たちのクローンを抱え、研究所を飛び出した。
✵✵✵✵✵✵
博士の部屋にて、博士の死体と、沢山の書類が。床は“何故か”濡れていた。
「・・・あいつら・・・もう脱出したかな・・・」
青年はそうこぼした。青年の片手には、小さなライターが。
青年はそのライターを書類の山に投げ捨てる。
すると、“勢いよく部屋が燃えた”
普通に燃える勢いでは無い。恐らく、ガソリンを巻いたのだろう。
書類が、壁が、床が、ドアが、廊下が・・・
燃える、燃える、燃える
何もかも燃やすように、何もかも火の海に燃えていく。
「・・・はは・・・」
乾いた笑い声が響いた。クローンだと行っても、熱いもんは熱い。
「・・・あーあ・・・柄もなく、オリジナルを“兄ちゃん”なんて呼んじまったなぁ・・・ 」
パチパチと燃える。何もかも燃える。
「・・・・・・あの子たち・・・長く生きれるといいなぁ・・・・・・」
小さな銀さんクローンたちが脳裏に映る。何故かすまない先生たちの姿も脳裏に映る。
「・・・・・・・・・やっぱ、死にたくねぇなぁ・・・・・・・・・」
その小さなか細い声は、火に飲まれた。
✵✵✵✵✵✵
次の日のニュース速報が流れた。
──□□研究所は、原因不明の火事によって、全焼してしまいました。そして、その研究所から性別不明の1人の焼死体が発見されました。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!