コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
サイド マオ
「みんなに、初代団長と団員番号10番を紹介したいんだ」
キノのそんな一言で、馬鹿とトキ以外の団員が集まった。
迷うことなく外に出て、歩きながら話をする。
「初代団長はね、キノのお兄さんなの」
「でも、兄ちゃんは三年前に殺された。世間には事故として報道されているけどな」
『ええっ……?!』
キノの言葉に全員が息を呑む。アミがキリのほうを見ながら「それって……」と呟いた。
「ね、ねぇ───」
「あっ!トキさん!」
キリが何か言いかけたとき、レンが後ろの方を指刺していった。
そこにはトキと、ピンク色の帽子を被った少女が並んで歩いていた。……ちょっと待て、あの帽子は、まさか。
「「「ユズ!!」」ちゃん!」
俺とキノ、そしてタエの声がはもった。
その声に反応したかのように、少女の姿が勢いよく大きくなる。
「ダイキ兄!ユイカお姉ちゃん!マオお兄ちゃん!」
どういうことだ?何でトキがユズを?
「昨日、自分もモンダイジ団なんだって呟いてたので、事情を聞いて連れてきました」
「これみーんな新しい団員?!こんにちは!!ユズです!本名は木野 柚結(キノ ユズユ)でダイキ兄のいとこだよ!ユズって読んでね!あ、番号は10番だよー!!」
ひときしり大暴れしてユズは自己紹介をした。暗い話の途中だったから、予想外のユズの登場にみんなの空気が少しだけ和らぐ。
「……キリちゃん、どうかしたの?」
タエがキリに声をかけた。確かにキリの顔色が真っ青だ。
俺も声をかけようとしたが……やめた。いや、俺のスマホから着信音が鳴って出来なかった。
しかも、あの馬鹿からの電話だ。
「なんだ?」
『いやー。今キノんちだけど誰もいないからどーしたのかな〜って』
「はぁ……今は団員全員で墓参りだ。ユズも来てる」
本当に自由だな、お前は。俺はぶっきらぼうにそう言ってすぐ電話を切ろうとした。
『ちょっと待って!今、なんて?』
「は?だからユズも来て……」
『その前!墓参りってもしかして初代団長の?』
……何かおかしい。この馬鹿……ルネはいつも飄々としていた。トキの誘拐のときも、ユメの自殺のときも。
でも、今のルネからはそんな雰囲気が一切ない。本気で焦っている。
だけど、何にだ?
『マオ!悪いけど今すぐ墓参り中止しろ!』
「は?いきなり何を……」
『今そっち向かう!!それまで絶対アイツの名前を出すな!』