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悲劇は昼休憩の時に起こった。
昼休憩になり、花鈴は瀬夏と一緒に中庭に出た。
なんとそこには、実愛が待ち構えていた。
「やっと来たね」
実愛は何の前触れもなく言うと、花鈴と瀬夏を倉庫に連れだした。そして、埃っぽい倉庫の中に花鈴を閉じ込めた。
「花鈴!」
瀬夏が叫んで花鈴を助けようとするも、倉庫の扉は何でできているのか非常に重く、瀬夏一人の力では開かない。
「お前が入社初日の透也と仲良くしてるの、本当に許せない!それに……」
実愛が何かを言いかけたとき、倉庫の中で、実愛が花鈴に殴りかかろうとした時、外で男性の靴音がした。
「何してるのですか?」
男性の正体は部長だった。実愛は口調を変えて、部長に事情を説明する。
「あ、笹木部長!聞いてくださいよお。花鈴が倉庫から出られなくなっちゃってぇ」
しかし部長は慌てない。それどころか、実愛に歩み寄った。
「部長である俺の前で、よくそんな堂々と嘘をつけるね」
「嘘なんかじゃないですよお。ちゃんと証言人もいるので」
実愛は、透也を呼びに行こうとしている瀬夏を止めた。
「実愛は嘘をついてます!」
瀬夏がきっぱり言うと、実愛は顔を歪ませた。
「嘘じゃありません!信じてくださいよお!」
「いや、俺も見てたし。信じろって言う方が無理な話」
瀬夏が部長の隣で頷いた。いつの間にか、花鈴も外に出ている。
「この借りはいつか絶対返すから!」
追い詰められた実愛は捨て台詞を吐いて、その場から逃げた。
「……部長、助けて頂きありがとうございます」
「いや、俺じゃない。麻藤だ」
「え?」
花鈴が振り向くと、後ろには透也がいた。透也は花鈴にしか分からないように、ウインクをした。
花鈴は思わずドキッとした。透也の優しいウインクに、花鈴は心を惹かれてしまったのだ。