テラーノベル
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数日経って、今日、宇迦之御魂神様が会いに来るそうだ。前と同じように、九さんに、きれいに整地された広場に案内された。緊張しつつ千歳と二人で待っていると、広場の巨大な鳥居の向こうから光の玉が通ってきて、宇迦之御魂神様に変じた。相変わらず、天を突くように大きい女の人だ。
[待たせたな、すぐ本題に入ろう]
「よ、よろしくお願いいたします」
『よっよろしくお願いします!』
宇迦之御魂神様は、緊張する千歳を見た。
[金谷千歳。和束ハルを倒すには、お前の力が必要だが、お前の力だけでは足りないのだよ]
『えっ!?』
千歳は飛び上がった。俺は驚いたし九さんも驚いている。
『だ、ダメですか!? がんばっても!?』
[お前はあらん限りの力を尽くすよ、それでも和束ハルを倒すのには足りない]
えっ、じゃあどうすればいいんだ……。緑さんの口ぶりだと、千歳が最終兵器みたいな扱いだったぞ。
いや、宇迦之御魂神様の口ぶりからすると、千歳の力は必要だけどそれだけじゃダメ、って感じだな。千歳だけじゃ足りない、という話だから。
俺は、宇迦之御魂神様に聞いてみた。
「和束ハルを倒すのに、足りないものはなんでしょうか?」
[お前の働きだよ、和泉豊]
宇迦之御魂神様は、おだやかに微笑んだ。
「えっ?」
俺?
『えっお前?』
千歳は目を剥いたし、俺も何が何だかわからなかった。
「ど、どういうことでしょう、私は心霊関係は千歳に守られてばかりなんですが……」
[確かに、お前は霊力を持たない。術の知識もない。けれど、今までのことをよく思い返してごらん。お前はあらゆる手を尽くして、金谷千歳の助けになってきただろう?]
「まあ……できるだけのことはやってきましたが……」
これまでのこと。まあ、確かに千歳のためには頑張ってるな……探し回ったり、バラバラになったのを集めたり、千歳を庇って痛い目にあったり、死にかけたり……うわ、思い返してみたらだいぶ頑張ってる……。
宇迦之御魂神様は、俺におだやかに語りかけた。
[和泉豊。ことこの件に関して、お前は不確定要素と言うやつなのだよ。お前さえ動けば勝てるというわけではないが、お前が動かなければ、和束ハルには対抗できない。私がはっきり言えるのは、お前が九の宿で匿われ続けていると、和束ハルに確実に負けるということだ]
……宇迦之御魂神様は、かなりの確率で未来を予測できるそうだ。ifの可能性も知っているとのこと。そういう存在が、こんな事を言う……。
千歳がおろおろしだした。
『い、和泉のこと外に出さなきゃいけないんですか、そんな、和泉何度も和束ハルに危ない目に遭わされてるんです、嫌です』
九さんが、厳しい声で千歳に言った。
「宇迦之御魂神様の忠告に逆らうでない!きっと後悔するぞ、お主!」
しかし宇迦之御魂神様は怒らず、優しく千歳に語りかけた。
[金谷千歳。お前と和泉豊はな、多分助け合って生きていくのが一番な関係なのだよ。これまでもそうだっただろう、今回もそうしろと言っているのだ]
『で、でも……』
俺は、千歳の背中をそっとなでた。
「大丈夫だよ、なんとか大丈夫にする方法考えるから」
『だ、大丈夫なのか?』
千歳は半分泣きそうな顔だった。
「大丈夫にする」
俺は、言い切った。千歳だけじゃ足りないなら、俺だってやる。千歳のためなら、何でもやる。
狐のお宿にいるのは、和束ハルに襲われないためだ。逆に言えば、和束ハルに狙われないようにすれば安全に外に出られるわけだが、そのためにはどうすればいい?
「和束ハルに狙われなければいいわけですから、うまく隠れながら外で活動する方法が必要ですね」
俺がそう言うと、宇迦之御魂神様は優しく笑った。
[そうだね、そのために少しだけ手を貸すつもりで来た。左手を出しなさい]
「はい」
俺は大人しく左手を出した。千歳に作ってもらって手首に巻いたお守り組紐が目に入る。あ、これ関係か?
宇迦之御魂神様の巨大な人差し指が、俺の左手首、そして千歳の組紐に触れた。
[これでよし。和泉豊、お前が変装しても何をしても、このお守りの霊力だけは隠せないのだけどね、その霊力を隠した。お守りの効果は変わらずあるが、この莫大な霊力から探知される恐れはない]
「ありがとうございます」
へー、この組紐目立つのか。あ、そういや、星野さんも同じの作ってもらってお寺の人に腰抜かされたって言ってたっけ。
「では、あとは変装なりなんなりすれば、和束ハルからは隠れられるということでしょうか?」
[そうだよ。それでね、お前にはずいぶんよい変装の仕方があると思うのだけどね?]
宇迦之御魂神様は、いたずらっぽく微笑んだ。
「え? ……あっ」
『え? 何だ?』
「何かあるのか、お主?」
千歳も九さんも分からなかったようだが、俺は分かった。
……咲さんに協力を仰がないとな。裏垢メス男子、すなわち峰朝日さんにもいろいろ教わるべきかもしれない。
コメント
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みぅです、読ませてもらいました🥀 宇迦之御魂神様が「足りないのはお前の働きだ」って和泉くんに言ったところ、すごく胸にきました。ずっと千歳を守ってきた和泉くん自身が「鍵」だったんだね…。千歳が「嫌です」って泣きそうになるのもわかるし、それでも「大丈夫にする」って言い切る和泉くん、かっこよすぎるよ。 最後の変装、咲さんと朝日さんに協力頼むって伏線も気になる…! 次も読みます🌙
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