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27 - 第二十七話「もう一人の俺が、動き出す」

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2025年07月25日

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――深層。

否、鏡の裏側。


そこはかつてのような“黒”だけの空間ではなく、

ところどころ、現実世界の記憶が歪に染み込んでいた。


ないこがギターを手にした場面。

ないこがアップロードボタンを押した場面。


その全てが、闇ないこの“中”で、灼けるように蘇っていた。


闇ないこ:「ああああああッ……!!!」


彼は頭を抱え、地を転がる。

胸の奥を引き裂くような、暴力的な感情。


闇ないこ:「……オレのくせに、“歌う”なんて……許さねぇ……!」


だが、

その叫びをさえぎるように、どこからか“声”が響いた。


???:「痛いよね、“戻ってしまった自分”が」


???:「でも、それが“お前”なんだよ。

    否定すればするほど、もっと“自分”が濃くなる」


その声は――あの時、消えたはずの二人。


光と影の狭間から、静かに姿を現す。


冬心(とうみ)

累(るい)


累は、以前と変わらぬ無垢な笑顔で、

冬心は、深く哀しげな眼差しで、闇ないこを見つめていた。


冬心:「“お前”は、“ないこ”を憎んでいるようでいて……

   誰より、戻ってきてほしかったんじゃないのか?」


闇ないこ:「……違う……違う……!!」


累:「違わないよ。“君”は“君”のことを、ちゃんと好きだった」


闇ないこ:「黙れッッ……!!!」


鏡の奥の景色が砕ける。

そこに映っていた、いれいすメンバーの顔が、悲しそうに歪んだ。


闇ないこ:「アイツらは、“オレ”を受け入れない……!」


冬心は、一歩、踏み出す。


冬心:「でも、“ないこ”は、君ごと受け入れようとしてる。

   だから――“混沌ブギ”を歌った」


闇ないこの肩が、ピクリと震える。


闇ないこ:「オレは……オレは、ただ……」


累:「泣いてもいいよ。

  怒っても、壊しても。

  でもね、“歌”が残る限り、君はもう、ひとりじゃない」


その言葉に――闇ないこは、ひざから崩れ落ちた。


涙が、流れていた。


闇ないこ:「……ふざけんなよ……オレが“歌う”わけ……」


冬心:「“ないこ”としてじゃなく、“お前自身”の声でいい」


累:「歌ってよ。“お前”のままで」


その瞬間――闇ないこの背後に、

黒い羽根のような何かが、静かに広がった。


形を変えながら、“もう一人のないこ”としての姿が、静かに“覚醒”しようとしていた。


彼は、もう一度立ち上がる。


闇ないこ:「……なら、“俺”は俺で――

      この声をぶつけてやるよ、あいつに」


瞳の奥に宿ったのは、消えかけた光。

それでも確かに、“俺のものだ”と呼べる、意志だった。




次回:「第二十八話:鏡の中の俺を、壊すために」へ続く

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