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「みんなプロットはできたか?」
ラノケンメンバー全員が手を上げる。
「よし、全員できているな。できたプロットは共有フォルダにあげてくれ。プロットをあげた者は共有フォルダにあがっている自分以外の者のプロットをダウンロードし、批評できる準備をしておけ」
教子先生の指示で皆がマウスをカチカチと鳴らし、共有フォルダのプロットのアップロードとダウンロード作業を始める。
「今回は昨日のSSと違い、見せ合うのではなく、みんなにプレゼン形式でプロットを説明してもらう。これは社会に出た時の勉強もかねてだが、いざ編集にプロットの内容をつっこまれて、上手く話せないじゃ、せっかく書いたプロットも没になって、小説が書けないなんて事になりかねない。それにラノベで成功した時にアニメ化、ゲーム化、漫画化した時に各クリエイターに小説の設定などを一から説明しなければならない。そういった意味でこのプロットのプレゼンは必要になってくる。ソフトはワープロソフト、プレゼンテーションソフトなど、使うものは自由だ。この教卓にあるタブレットPCにUSBメモリを挿し、プロジェクターにプロットの映像を流し、スクロールして説明してくれ。時間は十分。多少は大目にみるが、長すぎると感じた場合は私が止める。プロットを見る側は設定や物語などに矛盾点が無いか、指摘してくれ。簡単な感想でも良いが、良かった点や悪かった点を言うように。以上だが、先にやりたい奴いるか?」
躊躇せずに手を上げたのは友美だった。
「わたしよ! 一番にやらせてください!」
友美は身体をふらつかせながら、立ち上がる。
「お前な……また徹夜してきたろ? 前回のプロットプレゼンの時みたいに時間オーバーは駄目だからな。時間厳守で説明しろよ」
「大丈夫、大丈夫ですから」
友美は笑顔で言うと、速い速度で歩を進め、教卓に立った。友美は置いてあったタブレットPCにスマホより分厚いポータブルHDDを挿していた。友美が考えずにタブレットPCを持ち上げると、ぷらぷらとポータブルHDDが垂れ下がる。
「お前な。相変わらずそのでっかいポータブルハードディスクを挿すのやめろ。USBメモリは無いのか?」
「教子先生わたし、いつもジュースを零したり、足で踏んづけたりして、USBメモリを壊しちゃうの知ってるでしょ? だから防水と耐衝撃の外付けハードディスク使ってるのよ。ところで長いケーブルある? 家に忘れてきちゃって」
悪びれもせずに友美は頭を掻きながら言う。教子先生は顔をしかめ、長いケーブルを友美に投げ渡す。
「本当に相変わらずだな熱情……プロットのデータは共有フォルダにあげたか?」
「できてるわ」
友美がタブレットPCを素早く操作し、プロジェクターにプロットを映し込ませた。
「今回は時間は測らないが、できるだけ十分に説明できるようにな」
「では、始めます! 私のプロット、タイトル(仮)の《魔法少女と変身ヒーローが手を組んでみた》の物語のコンセプトは魔法少女と変身ヒーロの共闘によって愛と友情を育みながら地球侵略を阻止するです。それから……」
友美がタブレットPCを操作しながらプロットの設定の説明を始める。そこから地獄が始まっていた。最初は書也も指摘する部分の設定をノートに書き記していたが、その情報が飽和状態となり、ゲシュタルト崩壊を起こし始め、友美のプロットの設定が何もかも分からなくなっていく。それが時間通りに終わらず十分を過ぎ、倍の二十分を経過すると、さすがのラノケンメンバー達に重い空気が流れ始める。
「おい! 十分といっただろう! とっくに時間切れだ! 時間厳守と言っただろ!」
教子先生の糸目が全開に開き、思わず声を上げる。
「すいません! 終わります」
友美は倒れそうな勢いで頭を下げる。教子先生はマウスを操作し、パソコンモニターに映る何かを数え始める。
「はぁ、相変わらず酷いな熱情は……既に突っ込みどころ満載だが……これだけは私が指摘させてくれ! 熱情、お前のキャラ四十八人いるだろ? 多すぎる! 何度か言っているが、ラノベ長編小説新人賞でもメインキャラは五人以下までに絞り、数ページしか出ないモブキャラなどはプロットに書かなくてもいい。熱情、キャラ四十八人について反論あるか?」
「今、アイドルでも四十八人いる時代よね? メインキャラが四十八人居ても良いんじゃないの?」
友美はさも当然のように教子先生に反論した。
「熱情、お前本気で言っているのか? じゃあ、お前はその四十八人の全員のアイドルの名前を言えるんだな?」
「確かに言えないけど」
少しむすっとした表情で友美が言う。
八雲瑠月
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「だろ? せいぜい覚えてたとしてもセンターの一位から五位ぐらいまでのアイドルの名前までだ。この小説を読者に読んでもらった時、その四十八人の名前を読者は覚える事はできない。大勢を出す事でメインである一番魅せたい主人公やヒロインの見せ場さえなくし、全体のキャラの印象すらなくしてしまう。多人数キャラは愚策と言っていいだろう。キャラに関して指摘してしまったが、熱情のプロットに指摘がある者はいるか?」