酷く蒸し暑い夏
その日、僕の人生が変わった
僕の君、二人きりの教室。
あの口うるさい教師も、いつもからかってくるクラスメートも居ない。
完全に、僕と君の二人だけだった。
いつからだったか
幼馴染みの君を意識し、避けてしまっていた
君が話しかけようとすると、用事があるからと言って逃げて
君が遊びに誘っても、学業に専念したいからと断り
きっと、知らぬ間に君を傷付けてしまっていた
「せっかく、一緒のクラスになれたのに」
君の声を聞いたのは、それが最後だった
そこから、君も僕を避け、僕も君を避けた
廊下ですれ違ったって挨拶なんかしないし、連絡だってもう何年もしていない。
次第に、僕は君を忘れていった
声も、性格も、名前すら……
僕はもう、君のことを何も覚えていない
でも
それが当たり前になったある日
親から、君が亡くなったことを伝えられた
倒れてしまうぐらい強い日差しの下
遠くで、蝉が五月蝿く鳴いていた
…………キミガワルイ
親に連れられて君のお葬式に出て
そこで、久しぶりに君の顔を見た。
太陽みたいに笑っていた君の顔が、
その時はとても冷たく、暗い顔をしていた
まさか、こんな結末になってしまうとは
これも、全部僕のせいだ
僕が君を避けたりしなければ、ここまで辛い思いをすることは無かっただろう
ああ、気味が悪いな
キミが悪いな
…君が悪い
こんなことになるなら、いっそ最初から出会っていなければよかったのに。
コメント
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本当に雪って文句なしの天才だよね
文才ってこのことを言うんだ 雪ちゃんのちゃんとした物語ってマジでゾクッてする。