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7話目もよろしくお願いします!

スタートヽ(*^ω^*)ノ




学校終わり、レトルトの部屋。

レトルトの両親は共働きで家を留守にする事が多かった。


最初は強引に引きずり込むように抱きしめていたのはキヨの方だった。

けれど最近は、レトルトからキヨを求めることも増えた。


「……キヨくん、今日は帰んないで」

言った後、自分で恥ずかしそうに目をそらすレトルト。

その仕草に、キヨは狂ったように笑う。


『……最近のレトさん、求めすぎじゃない?』

ニヤリと怪しく笑うキヨに レトルトは言い返せず、ただ震える指先でキヨのシャツを掴む。


息が重なり合い、触れるだけでは足りなくて、結局ふたりは身体を絡め合う。

触れるたびに、レトルトの表情から「嫌」という言葉は消え、代わりに「もっと」という欲望が滲む。


キヨの独占欲と、レトルトの依存。

それは互いを壊す毒のように、日ごとに濃くなっていった。





ある日の放課後。



「ねぇ、レトルトくん──ちょっと、いいかな?」


ふいに後ろから声をかけられて振り向いたら、同じクラスの男子、モブ男が立ってた。


「ん?なに〜?」


「……話したいことがある。ちょっと屋上、来てくれない?」


不思議に思いながらも「ええよ」と頷いて、2人で階段を登った。


屋上に着くと、誰もいなかった。


風が強くて、モブ男の制服がふわっとなびいてた。



「前から、好きだった。もしよかったら、俺と──付き合って下さい!」


時間が止まった気がした。


心臓が跳ねる。なんで、俺に……?


何も言えなくて、頭が真っ白になった。


「えっと……」


明確に断るでもなく、受け入れるでもなく、俺はただ曖昧に笑ってしまった。


「……ちょ、えと、、あの……」


モブ男は少し笑って、「返事はいつでもいいから」と言って屋上を後にした。


1人残ったレトルトは夕焼けに染まる空を見上げて考えていた。


(俺はキヨくんの彼氏…なんやろか?付き合おうなんて言われた事ないよな。

もし、付き合いたいって思ってたらモブ男みたいに付き合って欲しいって言うよね、普通)


ズルズルとこんな関係が続いてる。

でも、キヨくんは絶対俺のこと好きなのは間違いない。

でも…明確に交際を申し込まれたわけじゃない。


色々な事が頭の中でグルグルしていた。

大きな溜息を吐きながらレトルトは屋上を後にした。




教室に戻ると、キヨが待ってた。


『……どこ行ってたの』


低い声だった。


「あ、ちょっと友達に呼ばれて──」


『……何話してたの?』


「いや、なんか……その、まぁ……」


キヨの目が鋭くなる。


『告白された?』


「……っ」


何も言えなかったレトルトの沈黙が、答えだった。


キヨは一歩近づいてきて、教室の隅でレトルトの肩をぐっと掴んだ。


『返事は?ちゃんとしたんだよな?』


「え、いや、あの、その──」


『なんで、返事しないんだよ!!』


声が震えてた。


『曖昧にして、なに考えてんの? 俺のこと、なんだと思ってんの?』


「ちゃうねん、キヨくん……」


『俺、レトさんにだけはそういうの、されたくなかった』


「……ほんまに、びっくりして、どう返してええかわからんくて」


『でも“断ってくれる”って信じてた。……俺、レトさんの彼氏だと思ってたから』


一瞬、教室が静かになった気がした。


キヨの言葉が、レトルトの胸に鋭く刺さった。


「……ごめん。」


『はは……俺が勝手に思い込んでたのかもしれない。レトさんには、俺なんかより、もっとふさわしい奴がいるのかもな』


「ちょっ!!キヨくん!!ちゃうって!」


思わず手を伸ばしたレトルトの手をキヨは振り払った。


『もう……放っといて』


そう言って、キヨは教室から出ていった。


レトルトはその場に立ち尽くしたまま、心臓の音だけがうるさく響いてた。



昼休み、教室の片隅で一人うつむくレトルトのもとへモブ男がやってきた。


「ねぇ、レトルトくん。一緒に昼ごはん食べよ!」


「え、あ、うん……」


チラッと教室の入り口を見てもキヨの姿はなかった。

いつもなら、キラキラした笑顔のキヨが

『レトさーん!お昼いこーぜー!』

と誘いに来てくれていたのに….。



あれ以来、ずっとキヨに避けられていた。

学校では距離を置かれ、目も合わせてもらえず、冷たい態度をとられ続けた。




レトルトは戸惑いと罪悪感でいっぱいだった。



初めの頃は声をかけたけど、

『今は無理』と拒絶されるたびに心が折れそうになり、近付くのをやめてしまった。


分かっている。

傷付けたのは自分で、大事なキヨの気持ちを踏み躙ってしまった。



──数日後。


レトルトは学校に行かなくなっていた。


朝起きても制服には着替えず、ただ天井を見つめていた。

そして、

スマホの通知を全て切って 荷物をまとめ、ひとり新幹線に乗って、誰にも告げずにおばあちゃんの家へ行くことにした。


静かな田舎町。蝉の声だけがやたら響いてて、

それが妙に心に沁みて……。


「なんで、こないなことなったんやろ……」


自業自得だと頭ではわかってる。

でも、どうしてもキヨの冷たい目が忘れられなかった。

冷たく温度のない瞳。

今までの事なんかなかったかの様な冷たい視線。

2人の世界が真っ暗になった。




荷ほどきもそこそこに畳の部屋でスマホを開いて、

最後にキヨにだけLINEを送った。




“キヨくん 俺、あのとき何も言われへんくて、キヨくんのことを凄く傷付けてしまって本当にごめんなさい。

俺が自信がないせいで。全部、俺が悪い。

本当は謝って、もう一回ちゃんと向き合いたかったけど……もう、そういうのも迷惑だと思うから。

もう、キヨくんの隣にはいれない。

今までありがと。いっぱいいっぱい、好きにさせてくれて。

──バイバイ、キヨくん。”



送信した瞬間、涙が止まらなかった。

スマホを伏せて、畳に顔をうずめて….。


言いたかったのはバイバイじゃなくて──

「戻ってきて」だったのに。



つづく







恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす

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