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ルミナス王立学院の最上級生、三年生となったステラとジョシュア。
二人の絆は国政の危機を乗り越えたことでさらに強固なものとなり、今や誰もが認める「未来の国王夫妻」として、圧倒的な気品と大人の色香を漂わせていた。
そんな春の入学式の日、生徒会室の扉が「失礼いたします!」という元気で鈴のような声と共に、勢いよく開け放たれた。
「ジョシュアお兄様、ステラお姉様! シャルル、今日からこちらの学院に入学いたしました!」
ひらひらとピンクのフリルドレスをなびかせ、ひだまりのような笑顔で飛び込んできたのは、第一王女のシャルル・フォン・ルミナスだった。
ふわふわとした綿菓子のような桃色の髪に、くりくりとした愛らしい琥珀色の瞳。
ステラが周囲を圧倒する「王国一の淑女(高嶺の花)」なら、シャルルは一目で誰もが手を差し伸べたくなる「王国一の愛され王女(みんなの天使)」だった。
「シャルル、入学おめでとう。……相変わらず、僕のステラに急に抱きつかないでほしいのだが」
ジョシュアがサファイアの瞳を細めて嫉妬混じりに嗜めるが、シャルルはすでにステラの腰にしがみつき、「ふふ、ステラお姉様、とっても良い香りがします!」とゆるふわな笑顔を咲かせている。
「ご入学おめでとうございます、シャルル様。またこうして近くでお会いできて、私、本当に嬉しいですわ」
ステラが優しくシャルルの頭を撫でていると、部屋の奥から「はぁ……」と、今までに聞いたこともないような、深くて重いため息が聞こえてきた。
書類を抱えたまま、完全に固まっている筆頭補佐官――シエルだった。
「シエル、そんなところで何をしている。お前の可愛い婚約者がわざわざ挨拶に来てくれたんだ、何か言うことはないのか?」
ジョシュアが意地悪くニヤリと笑う。
そうなのだ。
代々国王補佐官を務めるアストリア家の跡取りであるシエルには、国王陛下から直々に下された婚約者がいた。
それこそが、この目の前でステラに甘えている第一王女シャルルだった。
「……王女殿下。お久しぶりにございます。まずはご入学、心よりお慶び申し上げます」
シエルはいつも通り冷静に、完璧な一礼をして見せた。
……が、その耳の裏が、見たこともないほど真っ赤に染まっているのを、妹のステラは見逃さなかった。
いつも理路整然としている兄が、シャルルを前にすると、途端に余裕をなくしてしまうのだ。
「もう、シエル。二人きりの時は『シャルル』って呼んでくださるのに、お兄様たちの前だと急に他人行儀になるのですね。……シャルル、寂しいです」
シャルルは琥珀色の瞳をうるうると潤ませ、シエルの制服の袖を、きゅっと小さな手で掴んだ。
見た目は完全に「守ってあげたくなる可憐な少女」そのもの。
だが、シエルは知っていた。
このゆるふわな見た目に騙されて彼女を甘く見た汚職貴族たちが、先日、彼女が笑顔のまま提出した「完璧な国家予算の監査報告書」によって、一網打尽にされたことを。
シャルルは、ジョシュアの妹。
その血に流れる有能さと、間違ったことには絶対に屈しない「鉄の意志」は、兄に負けず劣らず本物なのだ。
「っ……、シャルル、ここが生徒会室だからだ。公私の区別はつけなさいと、いつも……」
言葉を詰まらせるシエルに、シャルルはクスリと、小悪魔のように賢く、そして愛らしく微笑んだ。
「ふふ、冗談です。シエルが私のために、毎晩遅くまで学院のセキュリティをチェックしてくださっていたこと、知っています。……いつも私を守ってくれて、ありがとうございます、私のカッコいい補佐官様」
「……っ」
完璧な右腕であるシエルが、ついに完全にノックアウトされ、眼鏡の位置を直すフリをして顔を背けた。
その様子を見て、ジョシュアとステラは顔を見合わせ、声を合わせて楽しそうに笑った。
「お兄様ったら、シャルル様の前では本当に形無しですわね」「全くだ。いつも僕たちの邪魔をするシエルへの、最高の特効薬だな」
新入生として、最強の「癒やし」と「頭脳」を持つシャルルが加わり、三年生となった彼らの学院生活は、さらに賑やかで、そしてさらに甘いものになっていくのだった。
コメント
1件
うわあああ新キャラ登場やばっ!!!😭💕💕 シャルル王女、見た目ゆるふわ天使なのに中身は超有能&鉄の意志ってギャップがエグすぎる…!!シエルが完全にノックアウトされて耳真っ赤にしてるところ、同じ読者として「分かる〜!」って叫んだわ笑 ステラとジョシュアが「特効薬だな」って笑い合うのも、すでに老夫婦みたいで尊い…次の話も待ちきれないよ🌸
鷹槻れん

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篠原愛紀
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