テラーノベル
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俺達は、ヨハンナのレッドシャーク号改に乗って、黒竜が出たという国境沿いへと向かっていた。
海路で4、5日かかるので、しばらくは気ままにクルージングである。
サングラスに水着姿の俺とナハトは、甲板にベンチを設置し陽の光を浴びて肌を焼いていた。
心地よい日差しと吹き抜ける潮風、海鳥の鳴き声が心地よい。
「やはり太陽が似合う男ラウル・グランツ。このまま陸サーファー系、寝取りキャラに転向しようかしら」
そんなご機嫌な俺を、乳バンド水着をつけたヨハンナが見下ろす。長い赤髪をなびかせた褐色肌の少女は、八重歯を見せながら俺に近寄ってくる。
「おい王子、そんなに体焼いてたら焼き豚になっちまうぜ」
「誰が焼き豚じゃい。我これでも王子ぞ」
「じゃあ王子様、今日もカッコいいですね。って思ってもないこと言ったほうがいいのか?」
「俺も自分で自分のことイケメンとは思ってはないけど、嫁に言われると傷つくぞ」
「いいじゃねぇか、あたしはイケメンよりこのマシュマロマンみたいな体の方が好きだぜ」
腹をムニムニとしてくるヨハンナ。嫁じゃなかったら極刑やぞ。余はルッキズムにはうるさい男だ。
「そんなことするなら、こっちも仕返しするぞ!」
俺はヨハンナの無防備なデカ乳に手を伸ばす。あっさりと五指が彼女の褐色の果実に沈み込む。予想よりずっしりと重く、プルンとして張りがある。
「どっちがマシュマロだ。こんなおっきなマシュマロくっつけてるくせに!」
「うわ、バカやめろ変態め!」
「やめぬ。余の腹を揉むなら、そっちも乳を揉まれる覚悟があるはずだ!」
「訳わかんねぇこと言うなバカ王子!」
言い合いながら、俺たちは互いの手を掴みあい、ぐいぐいと押し合う。まるで押し相撲みたいな構図だ。
彼女は目を吊り上げながら力を込めてくるが、俺も負けじと踏ん張る。
「へへへ、あたしの力の方が強いな」
「くそっ、負けてたまるか」
俺はわざと押し負けたように体勢を崩しつつ、力の流れを利用してヨハンナの両腕を下へと誘導する。
そのまま俺が胸元へ押し込むように誘導すると、ヨハンナの両腕が自分の胸を左右から押し潰す形に。
乳バンドの締め付けと相まって、彼女の胸は中央がくびれ、上下にぷっくりと膨らみ、まるでひょうたんのような形になっていた。
「どうだ、手も足も出ないだろ」
「クソぉパンパンだ……」
もがくふりをして、何度も彼女の腕で胸を挟み込む。その度に胸が、ぶにっと突き出るように押しつぶされる。実に絶景だ。
ベンチの上でヨハンナとじゃれあっていると、隣でうつ伏せになって体を焼いていたナハトがむくりと起き上がる。
黒のサキュバスビキニ姿で、上のブラは外している為、それ以上姿勢を起こすと危険だ。
「うるさいなーラウル達。せっかくエッチな日焼け跡作ろうとしてるのに……あれ? アオカン始まってる」
「始まってない」
「アオカンってなんだ?」
「えっとね、青空の下でセッ――」
俺は脳内ピンク色のサキュバスの口を塞ぐ。
「知らなくて良い」
無垢なヨハンナに首を振る。
「みんな~ご飯よ~。今日はタコのマリネと、炙りサーモンのカルパッチョ、キングロブスターのボイル焼きよ」
紫ビキニのママ上が、豪華な食事を持ってやって来る。
皿の上に乗った紅に染まったキングロブスターの迫力に、皆の目が輝く。
「さすがママさん。料理の幅がまた広がったんじゃないっすか?」
ヨハンナが感嘆の口笛を吹く。
「今日はフリーデさんにも手伝ってもらったの」
「私は大したことはしてません……」
視線が集まり、騎士服の上にエプロンを掛けたフリーデが、小さく会釈した。
金髪ショートの横顔には凛々しさが残りつつも、軍務時代には見られなかった柔らかな笑みが浮かんでいる。
木箱にクロスを敷いただけの簡素なテーブルの上には、豪華な料理がずらりと並び、皆が揃って食事を始める。
「どれも新鮮なもので美味しいですね」
「船の後ろでビアンとポニーたちが釣りしてるしね」
「食料はあたしらに任せろ!」
「ヨーソロー!」
釣り竿を持った二人が親指をたてている。
彼女らなら、仮に世界から陸地がなくなっても生きていけそうだ。
皿の上の料理が順調に減り、俺のおっきな腹も満腹になってきた。
その頃を見計らって、フリーデが声をかけてくる。
「ところで王子、素晴らしい生活だとは思うのですが……」
「ですが?」
「お勉強はいかがされているのでしょうか?」
「…………」
ロブスターを口に入れたまま固まる俺。
「聞くところによりますと、長くムカム島で引きこもり生活をされて、ミドルスクールにも通ってなかったと聞きますが」
「そんなことよりタコの話しない? カルパッチョでもいいよ」
「王子、王族として最低限の教養は必要です」
「嫌じゃ嫌じゃ、勉強などしとーない。自分で言うのはなんだが、算術ならある程度(前世)の知識はある」
「では、それを踏まえてテストいたしますので、船の中へお越しください」
まずい、フリーデの奴、教育ママの素質があるな。
俺は彼女にずるずると引きずられて、船員室へと入る。
室内はハンモックのベッドと、木製のデスク、それと椅子だけの質素な内装。
彼女は俺を椅子に座らせると、自作したらしき問題が書かれた羊皮紙を広げる。
「それではこちらをどうぞ」
俺は羽ペンを鼻と上唇で挟み、問題用紙とにらめっこする。
「問題が多いな、全部自分で作ったの?」
「はい、私が作らせていただきました。算術、国語、リガルド史、魔法学、経済および法学の基本問題から応用問題まで様々でございます」
「フリーデの愛が重いよ」
「ありがとうございます」
褒めてない。
「王子、よき王とは剣が強いだけではダメなのです。優れた知性がありませんと」
「どっちも持ってないけどな」
まぁ確かにバカだと、賢い悪人が近寄ってきたら見抜けないもんな。
3時間後――
「ちかれた、頭脳労働してカロリーを消費した。糖分をもってたもれ」
「ご苦労さまです」
フリーデは凄い勢いで採点を終えると、テスト用紙を持って俺に向き直る。
「ご自身で言っておられたように、算術に関しては高いレベルです。国語も本を読んでおられるおかげで、良い点数です。ただ、それ以外はボロボロと言っても良いかと」
そんなこと言われても法律とか経済学とか、よく知らんし。
「では王子の苦手なところをまとめて、お勉強いたしましょう。間違ったところからご説明致します。まずリガルド史から――」
張り切るフリーデに、俺は渋い顔しかできなかった。
ありんす
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コメント
1件
お疲れ、ありんす! 今回も最高に緩くて楽しい日常回だったわ✨ ヨハンナとの押し相撲という名のイチャイチャ、思わず「こらこらw」ってツッコミ入れたくなる展開で腹筋に悪いわ(笑) そしてフリーデ先生マジ教育ママすぎて草。ロブスター食べてる最中の「…………」が全てを物語ってる。次への展開も気になるけど、こういう何気ないクルーズの空気感が好きだな〜。続きも楽しみにしてる🔥