テラーノベル
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雪月❄️
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ある日の仕事の合間。楽屋のソファでメンバーそれぞれが思い思いにリラックスしている中、最年少のラウールが、隣に座る岩本照と深澤辰哉の顔をじっと見つめていた。
その脳内は100%ガチの腐男子である。ラウールは手元の台本を丸めてマイクの代わりにすると、2人の前にすっと突き出した。
ラウール「岩本くんとふっかさんってどうやって付き合ったの?」
その唐屈すぎる質問に、楽屋の空気が一瞬で静まり返った。隣にいた目黒蓮と向井康二、ローテーブルで資料を読んでいた阿部亮平と佐久間大介、もちろん窓辺で冷茶を飲んでいた宮舘涼太と渡辺翔太もじっとこちらに視線を向け、メンバー全員の興味が2人に集中する。
深澤「はぁ!? なんだよ急に!」
ふっかが顔を一瞬で真っ赤にしてうろたえる。対するリーダーの岩本は、少し照れくさそうに頭を掻きながらも、どこか懐かしそうな目を細めた。
岩本「どうやって、って……。まぁ、高校の時だよ。俺がまだ新入生で、ふっかが2年の時の話。最初は、まじで接点すらなかったんだけどね」
岩本のその言葉を合図に、物語は10年前の、あの甘酸っぱい高校の放課後へとタイムスリップしていった。
◇
四月の終わり、夕暮れ時の放課後。
高校2年生の深澤先輩は、新入生勧誘の時期で賑わう校内を、あくびを噛み殺しながら歩いていた。制服の第一ボタンを外し、カバンを肩にだらしなくかけたその姿は、いかにも気さくなモテ先輩という雰囲気を醸し出している。実際、すれ違う女子生徒や同学年の友人から次々と声をかけられ、深澤はその都度、ふにゃっとした愛嬌のある笑顔で手を振り返していた。誰にでも優しく、誰とでも仲良くなれる。それが深澤の長所であり、同時に誰も自分の内側に入らせないための、無意識の壁でもあった。
深澤「あー、今日の当番のプリント、職員室に持っていかなきゃなぁ」
深澤先輩がだるそうに資料を抱え、薄暗くなりかけた北校舎の階段を下りようとした、その時だった。
モブ「おい、ちょっと待てよ。お前、さっきからガン飛ばしてただろ」
下の踊り場から、ドスの利いた低い声が響いてきた。深澤が驚いて足を止め、手すりの隙間から下を覗き込む。そこには、他校の生徒らしき数人の男子に囲まれている、我が校の新しい制服を着た男の子がいた。
それが、1年生の岩本だった。入学したばかりの岩本は、ガタイの良さをさらに強調するような引き締まった体躯をしており、鋭い眼光を放つその表情から、校内でもすでに「近寄りがたい強面の新入生」として噂になっていた。
岩本「……別に。どいて。邪魔なんだけど」
囲まれているというのに、岩本は一切怯むことなく、冷徹な声で言い放った。その態度が気に入らなかったのか、他校の生徒が岩本の胸ぐらを掴もうと手を伸ばす。
深澤「うわ、まじかよ……。面倒くせぇなぁ……」
深澤は頭を掻きむしり、持っていた資料を近くの窓枠に置いた。いつもならこういう揉め事は「先生呼んでくるわ」と大人の力を借りてやり過ごすのが彼の世渡り術だったが、なぜかその時は、孤立無援のまま鋭い目で睨み返している強面の後輩から、目が離せなくなってしまった。
深澤「おーい、お前ら! そこで何やってんの! 先生がこっち向かって歩いてきてるよー!」
深澤は階段をタタッと駆け下りながら、わざと大声を出して手を叩いた。突然現れたモテ先輩の大きな声に、他校の生徒たちは
モブ「チッ、また今度な」
とスレ違いざまに捨て台詞を吐き、慌てて非常口から逃げ去っていった。静まり返った踊り場に、深澤先輩と岩本の二人だけが残される。
深澤「ふぅ……。危ねぇ危ねぇ。お前、怪我は?」
深澤がいつもの軽い笑顔を浮かべ、岩本の顔を覗き込んだ。しかし、岩本は一切笑わなかった。それどころか、自分を助けてくれたはずの深澤先輩の顔を、鋭い瞳でじっと凝視している。
岩本「……誰」
岩本の、少し低くて掠れた声。それが、2人が交わした最初の言葉だった。
深澤「誰って、俺? 2年の深澤。お前、1年の岩本だろ? 噂で聞いてるよ、まじで強面だなー。でも、怪我がなくて良かったわ」
深澤先輩はいつものように一歩引いた距離を保ち、気さくに笑って岩本の肩をポンと叩いた。だが、岩本はその叩かれた自分の肩と、深澤先輩のふにゃっとした笑顔を、まるで初めて見る生き物のように、ただ真っ直ぐに見つめ続けていた。岩本にとって、これが人生で初めて体験する、胸の奥がドクンと跳ねるような感覚だった。
岩本「……深澤先輩」
深澤「ん? なに?」
岩本「……ありがとうございました」
ボソッと、だけどどこか切なそうに頭を下げた強面の後輩。初めまして、から始まった二人の関係。夕陽が沈みゆく静かな階段の踊り場で、モテ先輩と強面後輩の、ここから始まる恋の物語が、静かに幕を開けたのだった。
昨日投稿し忘れてましたーごめんなさい🙇♀️
コメント
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みぅ🤍🥀です。第33話、読ませていただきました。 ふっか、あんなに明るくて誰にでも優しいのに、実は誰も自分の内側に入れないようにしてたんだ……って思うと、岩本くんが初めて「誰?」っていう鋭い目で見つめたシーン、すごく胸に刺さりました。二人の出会いの瞬間、夕陽の階段の踊り場が、すごく綺麗で切なくて。 強面なのに、初めて誰かに守られて戸惑ってる岩本くんの心情、丁寧に描かれてて好きです💜 続きが気になる……!