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大嶽徳史が死んで数日、関西では様々な影が蠢いていた。
中でも兵庫は、天王寺組の権力で押さえつけられていた様々な極道組織、半グレ組織が頭角を表し、中には組織を復興させようとする者、組織で高みを目指す者、兵庫に覇を唱えようとする者、それぞれがそれぞれの野望を持ち、その思いは抗争へと変わり果てた。
その中で特に力を持った組が三つ、福舟組(ふくふねぐみ)白鷺組(しらさぎぐみ)霧山組(きりやまぐみ)である。
この三つの組は後に兵庫の覇権を狙い争うことになる。
とある日の天王寺組〜
トントン、『三國の親父、弁財組長が起こしです』そう言い陣内は組長室の扉を開ける。
『遠路はるばるようお越しくださいました弁財組長、どうぞお座りください』『こちらこそ、お招きいただき恐縮です』弁財はそう言いソファに腰をかけた。
(ん?アイツは?)陣内は弁財の隣に立っている男に目をやる。
そこには大柄で屈強な外国人の男が立っていた。
(あぁ、レオンなんちゃらっていうヤツやったな、確か相当武闘派やったはずや)陣内はそう思いながら三國と弁財の会話に耳を傾ける。
『そろそろ本題に入りましょか弁財組長、数年前から続いてる抗争の件なんでっけど、どうします?』『はい、その件ですが、終戦したいと思ってます』羽王戦争の二年前、天王寺組と福舟組の間では抗争が起こった。
その戦争が始まって一年半が過ぎた日、福舟組の新道昭与志(しんどうあきよし)が天王寺組の武闘派と構成員十人を一気に殺害し、天王寺組は迂闊に福舟組を攻撃できず、睨み合いの状態が続いた後、羽王戦争が起こり停戦状態で終わっているのが現状だった。
『そしてもう一つ、神戸のシノギの権限を全て福舟組に譲ってください』(なんやと、しばいたろかお前!)陣内は心の中で怒りが爆発する一方で三國は冷静に現状を考えていた。
(羽王戦争直後の今でも戦力的に福舟組だけやったらどうにかなる、せやけど最近は五条組の動きが怪しい、コイツらはイェスと言わん限り抗争を続ける気やな…しゃあないな)数分考えこんだ結果、三國を決断を下す。
『分かりました、神戸のシノギの権限は全て福舟組に譲ります、その代わり、尼崎の斑鳩連合、アイツらの対処は全部兵庫の方たちに任せます、よろしいですね?』『ありがとうございます、斑鳩連合もこちらで対処しますんで、どうか今後ともよろしくお願いします』そう言い弁財はレオンを引き連れ組長室を去っていった。
『ええんですか親父!?シノギの権限を全部譲って!?調子乗ってカチコンで来る可能性もありますよ!?』『大丈夫や、神戸は高い収益を見込めるがそれを無くしたからといって天王寺組のシノギが揺らぐわけじゃない、それに兵庫には強い組織がぎょうさんおるから相手すんので手一杯や』こうして福舟組はシノギの権限を取り戻し神戸の覇権を制した。
その後弁財は新幹線で神戸へ戻り、組へと帰ってきた。
『親父、お疲れ様です、レオンも護衛ご苦労だった』そう言い弁財を出迎えたのは福舟組若頭の鯛田勝市(たいだかついち)。
『神戸のシノギの権限は取り戻せましたか?』『あぁ、100%取り戻せた!これからは心置きなく兵庫の覇権を目指せる』弁財がそう話していると奥から一人の男が姿を現す。
『シノギ取り返せたんですね親父!今夜は祝杯ですか!?』『落ち着け火屋、その内やるさ、それより加古川の的場組はどうなった?』的場組、加古川市を拠点とし、小野市、加西市を支配下に置く、中規模の極道組織だ。
極道最強格レベルはいないが、極道準最強格二人及び武闘派二人がいる。
『赤井を筆頭に、命尾(めいお)と早水口(そみぐち)、あと舎弟の荻(おぎ)が小野市にヤサを置いて討伐に動いてます』『なるほどな…火屋、富岡を呼んでくれるか?』そう言われ火屋は声高らかに『富岡の兄貴!親父が呼んでます!』と叫んだ。
『どうされましたか親父?』『おぉ富岡!驚け!神戸のシノギの権限を取り戻したぞ!』『おめでとうございます、それでなぜ私をお呼びに?』あまりの素っ気なさに弁財は少しガッカリしながら富岡に要件を話した。
『斑鳩連合ですか…そういえば新道の兄貴は?』『アイツなら蘆屋の不留道(フルート)にカチコミに行ってる』『なるほど、だから私にですか…では、火屋と禰津を連れて行きましょう』『あぁ、頼んだ』そうして富岡は火屋と禰津の二人を連れ尼崎へと向かった。
一方その頃蘆屋では〜
(ここか…)不留道のヤサの前に来た新道は思いっきり扉を蹴破った。
『カチコミか!?って!?新道!?』その瞬間その半グレの胴体は真っ二つになっていた。
『新道ォォ!そのタマとったらぁ!』そうして五人の半グレが一斉に新道に飛びかかる。
『どいつもこいつも意味ねぇんだよ』『ガハッ!』その半グレたちもまた、胴体を真っ二つにされ息絶えた。
新道昭与志、武器は青龍偃月刀。
福舟組最強の男で、先の天王寺組との戦争を終わらせるきっかけにもなった。
鳳崎桔平からは、勝てるイメージが湧かないと恐れられている。
その後も新道は構成員はバッタバッタと薙ぎ倒していった。
『ほーう、新道か!こりゃいいな!』そうして奥からは一人の男が現れる。
(でやがったか町原)二本鉈の町原、神戸辺りではよく聞く名だ。
『死ねえ!新道!』町原は両手に鉈を持ち、新道に飛びかかる。
シュッ!しかし、新道はそれを後ろに引いて躱わす。
『もらっとけよ』直後、新道は青龍偃月刀を振り回す。
カキンッ!町原はそれをなんとか受けるがあまりの剣圧に押し飛ばされる。
ドンッ!(痛ぇ…ん?嘘だろ!?鉈…真っ二つじゃん…)そこへ新道が一歩ずつ近づいてくる。
『終わりだ』そう言い新道は上から町原を真っ二つに叩き切った。
そうして新道は総勢三十人ほどの半グレ組織を一人で制圧してしまった。
プルプル…プル、ガチャ『親父ぃ、不留道の制圧終わりました、ついでにシノギの方もやっといた方がいいっすか?』『あぁ、よろしく頼む』ガチャ…『さてと、シノギかぁ…早く終わらせて富岡の援軍にでも行くかな』
その頃、富岡達は、斑鳩連合に対し苦戦を強いられていた。
『禰津が重傷で戦線離脱…どうします?富岡の兄貴?』『確かやったのはNo.2の不破香鶴(ふわかづる)だったな、俺が向かう、火屋は本部に増援を要請するんだ』そう言い富岡は一人ヤサを出て、尼崎の街へと向かった。
一方斑鳩連合のヤサ〜
プルプル…ガチャ『斑鳩さん!富岡が現れました!現在商店街を歩いてます!』『わかった俺が向かおう』そう言い斑鳩は電話を切った。
『お前達、戦だ!出陣する!』そうして斑鳩は、下っ端を十人ほど連れ、商店街へと向かった。
そして富岡がヤサを出て2時間ほど経った頃だった。
富岡に三人の半グレが一斉に飛びかかる。
『なってないな』そう言い富岡は半グレ達に正拳を喰らわせる。
(まだいるな、どこだ?)富岡が辺りを見回す。
次の瞬間、富岡に猛スピードで六角が飛んでくる。
富岡は瞬時に躱そうとするが、それは富岡の頬を掠めた。
(躱したと思ったのたがな)富岡は六角が飛んできた方向に振り返る。
『富岡澄人(とみおかすみと)、その首もらいうける』『お前こそ、タダで済むと思うなよ』そう言い富岡もドスを抜いた。
こうして今、兵庫の覇権を狙う福舟組と兵庫で地盤を安定させ、大阪進出を目論む斑鳩連合の二つの信念がぶつかり合おうとしていた。
第1話 完