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俺様はミオマルク辺境伯の端にある小さな村の孤児院育ちだった。親がいるのかすらも分からない。名前は孤児院長につけられた。容姿が特に優れているわけでもない。力が強いわけでもない。だが、計算は誰よりも上手く暗算が瞬時にできる。会話では饒舌な子として有名だった。そんな力が役に立つのはやはり冒険者ではなく商人だ。

周りの奴等は冒険者を目指していたが俺は商人を目指した。商人は冒険者と違って簡単になれるものではない。商人になるためには商人ギルドに行き試験を受け資格を取り、商人ギルドに加入もしなければならない。試験を受けるにも、商人として生きるためにも金が必要だ。俺は、どんな宿の仕事と冒険者の仕事を掛け持ちし金を貯めてきた。宿では、自慢のコミュ力が活用でき、計算の力も強くすることができた。また、冒険者は成りやすく危険な仕事がつきものだがその分金が手に入りやすい。最初は怪我の心配もあって冒険者になろうと思わなかったが金のためになることにした。今では、ランクの高い冒険者にまでなった。目標の金が貯まりもうすぐ出てこうとしたとき奴が現れた。

大雨の日、宿の予約がいつもより多かった。そんな中、旅人と名乗ったそいつは、フードで隠れて顔が分からないが幼い子供だった。年を聞くと12歳と答えた。そんなガキが旅をしているとは驚いた。宿に案内をし、彼女は二泊三日ここに滞在することになった。

村ではSクラスの依頼がでた。レッドドラゴンが山から下りてきた。おとなしくしていたのかと思えば村で暴れはじめ、家は半壊され、死者は出てないが平穏は崩された。依頼金は金貨まで登り一攫千金の依頼だったが誰もが挑戦し大勢が亡くなった。そんな依頼が宿でのんびりしていた俺までにまわってきた。

「お前さんこの依頼やってみないか」

「じいさん…俺は無理だ」

「頼む金はたんまりと払う」

何度も「頼む」と村長からお願いされ俺はボッタクリ覚悟の金額を要求した。金額に諦めるかと思ったが本人はそれでも「わかった」といった。どうせならここであきらめてほしかった。

この話を聞き耳していたのか奴は

「その依頼お前にはできないよ」

と言った。

「金のためだ」

と俺は正直に答えた。それでも止めに入るのかと思ったが

「…そう」

一言いい別の依頼をこなしに行った。奴も一応冒険者のようだ。ランクなどは詳しく知らないがガキだから自分より弱いはずだ。

次の日、装備を整え仕方がなく森へ行った。奥には崖がある。木々がなくだだっ広い場所に出た。そこ にはドラゴンが大きな巣を作っていた。なぜ山から下りてきたのかわかった。この時期は子を産むために安全な下へと下りてきたのだ。子を産むドラゴンはいつもより敏感で村の音や気配に気づき襲ってきたのだ。

俺は、剣を構え戦った。崖から飛び降り頭を狙ったが皮膚が硬く逆に剣にヒビが入った。ドラゴンは怒りオレに向かって炎を吐いた。ジュウ…

髪先が燃える音がした。それでも斬りかかり戦った。相手はびくともしない。炎を避けたかと思えば後ろから尻尾をくらい飛ばされた。

「ゲホッ…クッソ…」

距離を置き戦った。森の中にはドラゴンは入ってこなかった。なるべく巣からでないようにしているからそれを狙って挑んだ。多くの工夫をした。罠を仕掛けたりもした。

結果は、ボロ負けだ。左目をやられた。足もやられた。たぶんこれは折れている。自身が血の匂いで染まる。右目しか見えず足元がふらつく

「あっ…」

石に躓き転んだ。そこを相手は見逃さなかった。炎を吐きとどめを刺しに来た。他のやつもきっとこんな風にやられていったのだろう。

「…つまらない」

商人として死ぬのではなく冒険者として死んでしまう。なんて…つまらない人生だったのだろう。一攫千金は向いていないな…

そんなとき…

「…お前は馬鹿だな」

そんな一言が聞こえた。俺を引っ張り上げ炎を避けた。森の中に連れていき結界魔法を張った。

「…おい」

「…ここにいな」

奴はドラゴンの方に向かって歩いていく。まるで、敵だと認識していないようだ。

「…シャドウエッジ」

そう唱えると影の刃が出てきドラゴンに傷をつけた。

グワーーー

叫び声が地響きを起こす。

一瞬にして標的が変わった。炎を吐き一撃を食らわした。

森の草木で状況が見えにくい。やっと見えるとこまで這いずり移動した。そこで見たのは奴がドラゴンの手に潰される瞬間だった。

「おいっ…」

なんで…こうなるんだ。絶望しかない…奴は俺を守って死んだ。俺は…俺は…なんで…こんな

そう思っていたときドラゴンの周りに花びらが飛びはじめた。

絶望の光景を美しい場所へと変えた。岩まみれで草が一本も生えてない地面にも花が生えはじめた。

「開花…朝日照らし幻炎よ咲き誇れ…薔薇」

ドラゴンの周りを飛んでいた花びらが薔薇へと変わった。すると、死んだはずの奴がドラゴンの真上に現れ頭部を触れた。一瞬にして薔薇がドラゴンの首に集まり

ガーーーー…グワーーー…

悲鳴をあげる。それは先ほどの悲鳴とは違い叫び声のようなものだった。

グシャ…

気がつけばドラゴンの首が落ちていた。

「…終わり」

風を舞いながら落ちてきた。その際マントが取れ姿が見えた。長い白髪…オッドアイのように見えたがもう一度見ると…青い目をした少女がいた。まるで…絶望から天国へと変えた…女神のような人だった。

「まじか…」

その子は…ただのガキじゃない…

滅びの地に咲く一輪花

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