消えた放課後
第一話 「静かな放課後」
(放課後のチャイム)
「……今日も、何も起きないと思ってた。」
私は白石紬(しらいし つむぎ)、高校2年生。
特に目立つわけでもない、普通の生徒。
けれど、この日だけは——違った。
「ねえ、紬。昨日の夜、校舎の灯り、ついてたって知ってる?」
話しかけてきたのは親友の美園(みその)。
明るくて噂好きな彼女は、いつも“変な話”を持ってくる。
「誰か残ってただけじゃないの?」
「ううん。夜の12時すぎ。なのに、理科準備室の明かりがチカチカしてたんだって。」
私は笑ってごまかしたけど、背中に小さな寒気が走った。
——理科準備室。
ちょうど、去年“ある事件”があった場所。
放課後、私はなぜか足がそこへ向かっていた。
薄暗い廊下。
風でカーテンが揺れる音。
スマホのライトを頼りに、そっとドアを開けた——。
「……っ!?」
床に、誰かの携帯が落ちていた。
画面にはひとつのメッセージ。
『また“放課後”に来て。次は——君の番だよ。』
背後から、ドアが**ギィ……**と音を立てて閉まる。
思わず振り返った。
そこには——
「白石さん。君も“あの噂”を追ってるの?」
同じクラスの男子、**榊原怜(さかきばら れい)**が立っていた。
彼の瞳は、まるで何かを知っているみたいに、静かに光っていた——。
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