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翌朝。教室のドアを開けた瞬間、康二は違和感を覚えた。

空気が重い。

昨日までと何も変わらないはずなのに、何かが違う。


目黒の席を見た瞬間、胸の奥がぎゅっと痛んだ。

目黒は机に肘をつき、顔を伏せたまま微動だにしない。

周りの生徒は、まるでそこに“何か汚れたもの”があるかのように、

見て見ぬふりをして通り過ぎていく。


康二はゆっくり近づいた。

「おい、目黒」


返事はない。

その肩に手を置くと、びくっと小さく震えた。

その一瞬で、康二は悟った。

——何か、あったんや。


袖口から覗いた手首には、消えかけた黒いインクの跡。

机の隅には、昨日より深く刻まれた落書き。


「……誰にやられたん」

声が低くなる。

けれど目黒は、首を振るだけだった。


「別に、いいよ。もう慣れてるから」


その言葉に、康二の心が一瞬で冷えた。

“慣れてる”——その一言が、何よりも残酷に聞こえた。


「慣れんなや、そんなもん!」

思わず声を荒げた自分に驚きながらも、

康二は拳を握りしめた。

「俺が、そんなこと言わせるようにしたんか」


目黒は小さく首を振って、微笑んだ。

「違うよ。康二くんがいるから、大丈夫なんだ」


——その笑顔が、痛かった。

——まるで壊れそうなガラスみたいに。


康二は立ち上がり、机の上の落書きを袖で乱暴に拭った。

文字は消えない。

どれだけ擦っても、黒い跡が残る。


「もうええ。俺が全部守ったる」


その言葉は、誓いというより呪いに近かった。

誰も触れさせない。

誰も見させない。

目黒を傷つける世界ごと、全部閉じ込めてやりたいと思った。


目黒はそんな康二の目を見て、

どこか安心したように微笑んだ。


——そのとき、ふたりの心のどこかが、静かに壊れた。


テスト期間なので更新遅くなります💦

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