テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
⸻
人間が住むには寒すぎる北の地――トルフィニア。
その氷原の異常な熱波は、すでに世界を騒がせていた。
だが、天篝家の次女・霄鈴にとっては、割とどうでもよかった。
⸻
【霄鈴】
「ねえ兄さん……マジで行くの? 焔理のとこ」
【宙誓】
「当然だ。星刻印が共鳴した。無視はできない」
【霄鈴】
「……行っても結局、あの人が全部燃やして終わりじゃん」
【宙誓】
「……それが問題なんだよ」
⸻
霄鈴は、いつも眠たげな顔をしている。
誰よりも冷静で、誰よりも鋭い。
でも本人は、世界とか運命とかには正直あんまり興味がない。
⸻
【霄鈴】
(……ただ、最近“夢の中”がうるさいのが気になる)
(夜が深くなるほど、誰かの声が聞こえる)
(名前も知らない、“他の十環”の声)
⸻
【???(夢の中の声)】
「霄鈴。風は、止まってはならない。動かねば、濁る」
【霄鈴】
「……勝手に入ってこないでくれる? 睡眠妨害、普通に訴えるよ」
【???】
「目を閉じたままでは、“理”は見えない」
【霄鈴】
「見たくもないんだけど。見たら面倒じゃん」
⸻
けれど、霄鈴は知っていた。
この夢がただの幻ではなく、“何かが起きる前触れ”であることを。
彼女はいつも、何かを見通してしまう。
それがどんなに、面倒な未来であっても。
⸻
【霄鈴】
「……兄さん、服借りる。寒いと寝れないから」
【宙誓】
「寝に行くんじゃないだろう。準備しろ」
【霄鈴】
「寝るための準備……ってことにしといて」
(どうせまた、理が騒ぎ出すんだ。寝てる暇、なさそう)
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!