テラーノベル
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障子越しに差し込む光が、机の上の書簡を淡く照らしていた。
mktは椅子に腰掛け、腕を組む。
対面にはstが膝の上で指を組みながら、静かに言葉を選んでいる。
先に口を開いたのはmktだった。
mk「……つまり」
mk「右京家と絵鳩家、どちらの不正も掘り出して世に出す。それが“同盟”の目的でありゴールってことでええ?」
stは小さく頷いた。
st「間違いないよ。両家とも戦後の混乱で大きくなりすぎた。特に絵鳩は身の丈に合わないほどに…それなのにいまだ大手として在り続けている。」
mk「そこには必ず裏が…!」
st「銀行、鉄道、貿易……叩けばいくらでも埃は出るはず。」
声は落ち着いているが、瞳の奥は真剣だった。
st「けれど、2人だけでは限界があります」
stは一枚の紙を差し出す。
そこにはいくつかの名前が書かれていた。
mk「協力者、か」
その中にはmktも見知った名前が何人か居た。
st「そう、信頼できる人を少しずつ…何せ自分たち2人は社会的にはあまり好かれていない、だからここは慎重に仲間を見つけていきたいの」
mktは紙を眺めながら、自嘲気味にふっと笑った。
mk「……ほんまに似たもん同士やね、俺ら」
その言葉に、 stも困ったように笑う。
st「ちょうどいい存在ではあるでしょう?」
mk「まぁ……たしかn「スミレ様!!!!!」
障子が開くと同時に騒がしい声がmktの声を遮るように轟いた。
st「ksmちゃん!」
入ってきたのは、見慣れない子供の使用人だった。長い髪をきっちり結いそれなりの格好をしている。
と、言うか…
mk「す、stさん…声聞かれて…?」
stは少し顔を緩める振り向き、穏やかに紹介した。
st「大丈夫ですよmktさん、紹介しますこの子はksmちゃん
……私の事情を、よく知っている使用人です」
続けてksmが一礼する。
ks「ksmと申します。スミレ様には幼い頃よりお仕えしております」
その言葉には、ただの主従以上の信頼が滲んでいた。
mktは少し目を細め聞く。
mk「……事情、っていうのは」
st「ええ、私が男であること…」
その場の空気が一瞬だけ止まる。
しかしksmは表情を変えない。
st「…絵鳩家から出ようとしていること。」
ksm「スミレ様のことは、すべて承知しております!なんたってスミレ様がこぉ〜んな小さい時からの専属使用人ですから!!」
st「ふふ、こう見えても彼は自分たち2人より歳も上ですし頭の冴える人ですからmktさんも是非何かあればksmちゃんに申してくださいな。」
明るい声だった。
mktは小さく息を吐く。
mk「なるほど……心強い味方ですね…」
男なんだ…てか俺より年上???…と少しだけ考えてしまったが、今はどうでもいいと思考を放棄した。
st「それで、ksmちゃん。要件は?」
ksmはハッ!とすると、すぐに本題を切り出した。
ks「その!至急、右京様の奥様がスミレ様をお茶会へお呼びで…」
その言葉に、stの指がぴくりと動いた。
st「お義母さまが……?」
ks「はい。“ぜひ奥様と親しくなりたい”とのことでした!すんごいにやついた顔で言ってました!あれは絶対に性悪!断りますか?」
mktは眉をひそめる。
mk「親しく、なぁ……嫌な予感しかせんけど」
その声音には疑念が混じっていた。
しかし断れる立場ではない。
stはゆっくり立ち上がる。
st「分かりました。伺います」
ksmはゆっくりと頷いた。
ks「…なら、準備をしますのでmkt様は外に。」
mk「待った。俺も行く…」
ks「え、、奥様にはスミレ様しか呼ぶ様に言われていないのですが…」
mk「別にどんな理由があってもええやろ?お茶飲みたい気分?やねん…それじゃ、」
襖がバッと、閉じる。
st(…もしかしてお義母さまに何か変なことを言うとでも思われたのかな…?
信用してもらえてないなぁ…)
stがそう考えている一方で
廊下に一人mktは、低く言葉をこぼす。
mk「……1人で行かせるんは、なんか嫌や」
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庭園には、柔らかな午後の光が降りていた。
白いテーブルクロスの上には、銀のティーセットと小さな菓子皿。
薔薇の香りが風に乗って漂っている。
一見すれば、穏やかな社交の席だ。
義母「どうぞ」
右京夫人は優雅な仕草でカップを差し出した。
stはそれを受け取り、静かに会釈する。
その所作は、まるで絵画の人物のように美しい。
夫人はじっとそれを眺めたあと、ふっと微笑んだ。
義母「あなた、本当に綺麗ね」
どこか冷たさを感じる冷ややかな言葉だった。
義母「噂には聞いていたけれど……絵鳩家のお嫁さんは、まるでお人形のようだって
先日の式でもあまりの美しさに劇でもみてるみたいな気分になったわ。」
stは表情を崩さない。
ただ、カップを持つ指先がほんの少しだけ強くなった。
st(こんにゃろ…!人が喋れないからって好き勝手言いやがってぇ!!!そうだよどーせstは絵鳩の見てくれだけハリボテ傀儡ですよ!)
やっぱりちょっとは、苛つきで顔を歪ませていたかもしれない…
mk「か、母さん…!」
みことの静止も聞かず、夫人は続ける。
義母「ほら、こうして静かに座っている姿なんて特に」
紅茶を一口飲みながら、ゆっくり言った。
義母「ほんと貴方たちはお似合いの夫婦ね。
お人形さん同士のおままごとみたい……!」
沈黙が落ちる。
風が薔薇を揺らし、香りを風に乗せ運んでくる。
stは静かに微笑み、軽く頭を下げる。
――話すことができない奥様。
絵鳩の長女は言葉を発することができないーー
それは、この地域に住む者や業界の人間なら誰もが知っていることだった。
夫人はそれを理解しているからこそ、遠慮なく言葉を重ねる。
義母「ほら、mktは昔から控えめな子だから」
軽く笑う。
義母「あまり主張の強い奥様より…
貴方みたいな方の方が良いって思っていたのよ」
mktのカップの取っ手を少し強く握っていた指がスッと離れる。
mk「……母さん」
低く声を出す。
夫人は視線だけこちらへ向けた。
義母「なぁに?」
その声音は穏やかだ。
だがmktの胸の奥に、妙なざらつきが広がる。
mk(……なんやこれ)
別に珍しいことではない。
母さんがよくする、遠回しな皮肉だ。
それなのに。
今日はなぜか腹の奥がじくじくと熱い。
mk(なんで俺、こんな……)
stの横顔を見る。
彼は相変わらず微笑みを浮かべている。
まるで本当に“お人形”のように。
それが、余計に腹立たしかった。
mk「母さん」
mktは紅茶を一口飲み、ゆっくり言った。
mk「その人は、俺の妻です。」
空気が少しだけ変わる。
夫人の眉が、ほんのわずかに動いた。
stは驚いたように、mktを見上げる。
mktは肩をすくめた。
mk「こんな古臭いうちに嫁いでくれたんやから大事にしてもらわな困ります。」
軽い調子で言った様だが、瞳は笑っていない。
数秒の沈黙。
それから夫人は、くすりと笑った。
義母「まあ…」
扇子で口元を隠す。
義母「あなた、ずいぶん奥様に優しいのね」
その言葉に、mkt自身が一番戸惑った。
mk(……優しい?)
違う。
そんなつもりじゃない。
これはただ。
ただ――
mk(……なんでや)
横にいるstを見る。
その瞳が、ほんの少しだけ動揺するように揺れて、みたことのない顔をしていた。
胸の奥がまた妙にざわつく。
――同盟のはずだ。
形だけの夫婦のはずだ。
なのに。
なぜこんなにも、心が揺れるのか。
庭園には、相変わらず穏やかな午後の光が降りていた。
けれどその茶会には、確かに小さな亀裂が生まれていた。
義母(傷の舐め合いをするほど仲良しになるなんて…“昨日”だけで何があったのかしら?)
義母「これはあの子に言っておかないとねぇ…」
つづくよ!
コメント
2件
もうほんとに世界観が好きすぎる!!💕 stくんの心の声もほんと好きだな笑 ksmくんが実は年上なのも分かるなぁ~笑笑 ほんとに好きすぎる…!!💕 なんでこんな神作品書けるの?!