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照が本社へ異動してから三か月。
季節は春から夏へ変わっていた。
電話もビデオ通話も毎日続いている。
会えない日々にも少しずつ慣れてきた。
そんなある日。
支社に一本の連絡が入る。
「来週、本社との合同会議を行います」
「本社から数名こちらへ来てもらいます」
オフィスが少しざわつく。
「誰が来るんだろう」
「岩本さん来るかな」
その名前を聞いた瞬間、辰哉の手が止まる。
💜「……」
来るとは限らない。
期待しない方がいい。
そう思って仕事へ戻った。
────────
会議当日。
朝から支社は慌ただしい。
辰哉は資料を机へ並べながら深呼吸する。
🧡「深澤さん」
💜「ん?」
🧡「なんか今日そわそわしとるな」
💜「してない」
🧡「しとる」
💜「してません」
康二は笑いながら会議室へ向かった。
────────
午前十時。
エレベーターの扉が開く。
本社の社員たちが次々と降りてくる。
辰哉も受付を手伝いながら一人一人へ挨拶をする。
「おはようございます」
「よろしくお願いします」
最後に降りてきた人物を見た瞬間。
辰哉は固まった。
💛「おはよう」
照だった。
スーツ姿のまま、少し照れくさそうに笑っている。
💜「……なんで」
💛「来た」
💜「聞いてない」
💛「言ったら驚かないだろ」
辰哉は思わず笑ってしまう。
💜「ずるい」
💛「成功」
二人とも仕事中。
だから握手もしない。
近付かない。
でも。
一瞬だけ目が合う。
それだけで十分だった。
────────
会議は午後まで続いた。
照は本社側の責任者として説明を進める。
以前より落ち着いた話し方。
堂々とした姿。
辰哉は資料を見ながら思った。
(すごいな)
離れていた三か月。
照はまた一つ成長していた。
そして照も。
質疑応答で辰哉が説明する姿を見つめていた。
(辰哉も変わった)
堂々と前へ立ち、質問にも迷わず答える。
もう五年前の辰哉じゃない。
お互いが、お互いの知らない時間をちゃんと積み重ねていた。
────────
会議終了後。
本社チームは帰る準備を始める。
社員たちが談笑している中。
康二が近付いてきた。
🧡「照にぃ」
💛「ん?」
🧡「資料、車まで運ぶで」
💛「助かる」
康二は資料を抱えながら、小さな声で笑う。
🧡「五分だけ時間作っといた」
💛「……え?」
🧡「深澤さん、屋上おる」
照は目を丸くする。
🧡「早よ行き」
💛「康二……」
🧡「借りは高いで?笑」
照は笑いながら小走りで屋上へ向かった。
────────
屋上。
風が少し強い。
辰哉はフェンスにもたれ、空を見上げていた。
扉が開く。
振り返ると、照が立っていた。
💜「仕事中なのに」
💛「五分だけ」
二人は顔を見合わせる。
毎日話していた。
画面越しにも会っていた。
それなのに。
実際に目の前にいるだけで、胸がいっぱいになる。
💜「会いたかった」
照は迷わず頷く。
💛「俺も」
それ以上の言葉はいらなかった。
遠くから誰かが「岩本さん!」と呼ぶ声が聞こえる。
照は苦笑する。
💛「もう行かないと」
💜「うん」
照は扉の前で振り返る。
💛「あと三か月」
辰哉は笑う。
💜「待ってる」
照も笑って頷いた。
💛「帰るから」
そう言い残して屋上をあとにする。
辰哉はその背中を見送りながら、小さく息を吐いた。
あと三か月。
その約束が、また少しだけ近付いた気がした。
コメント
1件
第30話読み終わったよ〜〜😭💕💕 照くんのサプライズ再会、やばすぎた!! 「来た」って笑顔で立ってるの想像しただけで胸がぎゅってなった♡ 仕事中だから近づけないのに目が合うだけで満たされちゃうの、大人の恋だなあ…! 康二の「五分だけ時間作っといた」神アシストすぎる😂✨ ラストの「あと三か月」「待ってる」の掛け合いにもう泣いた、次回も楽しみにしてるね🌸