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夏目若葉
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月詠 涼
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#大人恋愛
坂野真夢
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臣桜
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リュウジの後、別の2社の代表スピーチが終わると、中間十五分の休憩に入った。蘭と八村と共に席を立ち、サンゴはすぐに控え室の方へリュウジの顔を見に行った。
「リュウ君、大丈夫?お疲れ」
遠目に見えたリュウジに対して、サンゴは大きく手を振って声をかけた。
「サン先輩!!」
手を挙げて、可愛らしい様子で駆け寄ってきたかと思うと、リュウジはまたド派手に棚に足を引っ掛けた。
「きゃああ!」
「わああ!!」
サンゴも蘭も、思わず大きな声をあげてしまう。リュウジは転ぶ寸前で、壁の出っ張りにつかまって、身体を支えていた。
「もお〜大丈夫?」
サンゴは急いで彼の元へ駆け寄って、また手を差し伸べた。
「へへへ」
リュウジはにっこり笑いながら、その手を取ってまた体勢を整えた。ぎゅっと握りしめた手のまま、彼はじっとサンゴを見ていた。
「ここで怪我なんかしたら大変だよー!足元見てよぉ」
「ははは」
「一気に緊張が解けたの?」
「うん」
そのやりとりをだいぶ手前の方で見ていた八村は、峰津の方へすごい表情で振り向いた。
「あいつのあれって何?演技?わざと?」
「ははは」
「天然じゃあ、ないんじゃない?あれ?むしろ天然なの?何あいつ」
捲し立てている八村がおかしくて呆れてしまう。
「何でわざわざ……」
「あいつは自分が可愛いことめっちゃ知ってるんだよ。知っててわざとサンゴに手を握ってもらうために、あれやってるんじゃ……」
ものすごく不信そうな視線で、八村はリュウジを眺めていた。
「まあ、その策士だとしても、あの男が可愛いことには変わらないけどさ」
顎に手をやって、一人で完結させている探偵八村を見上げながら、蘭は何の返事もせず、ただおかしくて眺めていた。
「ねえ、蘭はどう思うの?ああいうあざといのって、わかってても女って引っかかるものなの?逆にいいの?」
「ははは。そんなこと気になるの?」
「そういう手を使っても、女の人的には、男に騙されたーってならないの?」
「人によるんじゃない?それに、ちゃんとしたところが誠実ならいい気も……」
「そうなの?それって何?誠実にすべきところって何?」
「まあまあ、後でね」
「今言えないことなの?言えないようなことなの?」
うるさい八村を嗜めながら、蘭もサンゴとリュウジの方へ歩み寄った。
蘭「リュウくん、スピーチすっごく良かったよ!」
リュウジ「わーい!ありがと」
蘭「すごい上手だったからびっくりしたし、感動したよ」
八村「お前は天才だよ。天才すぎる!!絶対、賞取れるよ!めっちゃ良かったもん」
リュウジ「ありがとうございます!!」
八村「お前、新入社員でそれって、正直やばいよ!」
後輩たちもやってきて、八村とみんなで興奮状態で「あのシーンが!」などと話しながら、リュウジを讃えていた。賑わう輪から少しだけ離れて、サンゴはぼんやりしていた。
そんな彼女の様子を見て、蘭が少しだけ心配していると、すかさずリュウジが彼女のすぐそばへ寄った。
「サン先輩は?どう思いましたぁ?」
すぐ彼女の横にピッタリ張り付いて、顔色を伺いにきていた。
「うん、すごかった。感動したよ」
「本当?」
「本当にかっこよかったよ!全然違うんだもん!びっくりしたよ」
「ふふふ。ちゃんと、会場からサンが見えてたんだ。一緒にやってる気分だった」
「そっか」
二人のやりとりをこっそり眺めていた蘭は、少しホッとした。
(あれ?でも、今、呼び捨てに……)
「間も無く次の発表が始まりまーす!」
会場内にブザーが鳴り響いた。 それを聞いて、全員がまた慌ただしく客席の方へ戻っていった。最後のスピーチが全て終了した後、それぞれのスマホや端末、もしくは配られた用紙で投票も行われた。
そして、午後17時。
ついに審査とオーディエンス投票の集計結果が発表される時間になった。
「これより、第三十五回、企画販促コンペティション。結果発表へ参ります」
会場中の視線がステージ上の大型モニターに集まる。 佳作、優秀賞と名前が読み上げられていくたび、周囲の企業からもどよめきや歓声が湧き上がる。
「――続いて、最優秀観客賞。……エントリーナンバー13番、R社・伊藤リュウジさん!」
瞬間、サンゴのすぐ隣の席の全員が「やったああ!!」と大きな歓声が上げた。来ていた企画部全員で立ち上がり、壇上にいる彼に拍手を送った。
「伊藤さん、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「すべての観客の皆様からの人気投票結果で一位でした。もうそれって、販促なので、実質一位のようなものですね!」
「そんな……でも光栄です」
司会からの言葉にも、彼は胸に手を当ててお辞儀をして、スマートな対応をしていた。
「では、一言どうぞ」
「サン先輩!企画部のみんな!やったよー!」
リュウジは満面の笑みで、こちらの方へトロフィーを掲げてみせた。
「サンセンパーイ!!ずっと頑張ってきた100%リサイクルと、そのマーク作って、絶対世界を変えていこうねー!!!」
わあー!!会場からもスタンディングオベーションが送られていた。
その姿は、カリスマ性のあるさっきまでの姿とは違い、いつもの愛らしい「リュウきゅん」そのものなのに、それでも会場を圧倒していた。
(リュウ君の可愛さは世界共通だわ……)
誇らしい気持ちで、サンゴも思いっきり両手を広げて拍手していた。 周囲の他の企業の皆さんも「おめでとう!」「すごかったです!」と次々に声をかけてくれていた。
お祭りムードに包まれる中、リュウジはまっすぐサンゴの元へと歩み寄ってきた。
その瞳の奥に宿る熱に、このときのサンゴはまだ――気づいていなかった。
コメント
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みぅ🤍🥀です!第9話、お疲れ様でした〜! リュウくん、最優秀観客賞おめでとう🥳✨ スピーチの緊張が解けて、またいつもの天然あざと可愛いリュウきゅんに戻ってるの、ギャップがたまらんかったです…!「サン先輩、ずっと見えてた」とか、もうズルいでしょあれ〜😭💘 最後の瞳の熱、サンゴがまだ気づいてなくて…ここからどう動くのか、めっちゃ気になります!続き楽しみにしてますね🌙