コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「も……っ、もういいです! 十分ほぐれたので!」
「遠慮しなくていいよ」
「あっ、…………あー…………」
いつまでもしつこくお尻を揉んでいると思いきや、涼さんの手は上に移動し、腰を揉んでくれる。
彼の言う通り、調理室での実験があるとはいえ、その他は大体デスクワークだ。
コラボ商品を作る時は外回りをしたり、打ち合わせで出かける事もあるので、足の疲れから全身への歪みやらがきていると思う。
でも忙しくてマッサージに行けていないので、こうやって揉んでもらえると、とても気持ちいい。
「気持ちええ~~~~…………」
だからつい、おっさんみたいな声が出てしまった。
ハッとした時にはもう遅く、涼さんは私の体の両側に手をつき、俯いて笑いを堪えている。
「いっ、今のなし!」
仰向けになった私は、真っ赤になって両腕でバツを作る。
けれど涼さんは俯いたままクツクツと笑ったあと、滲んだ涙を片手で拭って私に笑顔を見せた。
「いいね! ほんっと、恵ちゃん好き!」
…………うん。またなんか変なスイッチ入れちゃった……。
私は諦めて菩薩のような微笑みを浮かべる。
「可愛いなぁ、本当に」
涼さんは隣に寝転び、私の後頭部に手を当てたかと思うと、軽くキスしてきた。
「食べちゃいたいぐらい、可愛い」
彼は甘く掠れた声で言ったあと、ツツツ……、と私の太腿を指先で辿ってきた。
(あれぇ……?)
私は額にキスされながら、涼さんの喉仏を見て目を見開く。
(おっさんみたいな声を出したのに、どうしてこうなった?)
心の中で問うも誰も答える人なんていない。
不思議で堪らなくて、状況に思考がついていっていないのに、涼さんの手が太腿をまさぐってくるたび、私は唇から「んっ」と色めいた声を漏らしてしまう。
やがて下着のクロッチにトンと指先が当たり、私は真っ赤になって硬直し、目を見開いていた。
涼さんは私を抱き込んだまま額に唇をつけ、何かを考えているように、クロッチにトン……、トン……、と指先を当てる。
「~~~~っ」
その振動だけで感じてしまっている私は、ドキドキと高鳴っている胸の鼓動が彼にバレないよう、必死に祈った。
「…………欲しい?」
これ以上なく緊張していたところ、耳元で囁かれ、心臓が口から飛び出そうになる。
私は答える代わりに、両手でギュッと涼さんのパジャマの胸元を掴んだ。
「言ってくれないと分からないよ? ここは熱を持ってるみたいだけど」
涼さんはヒソヒソと囁き、グッ……とクロッチに指を押しつけた。
私は少しの間、どうすべきか迷って黙っていたけれど、彼の胸板に額をつけてボソッと言う。
「……ちょっとだけ……、なら」
返事をしたあと、そろっと涼さんを見上げると、彼は目を細めて笑みを深めていた。
――なんか、まずい事言ったかもしれない……。
後悔しそうになった時、彼は私の手をとると、こちらを見つめながら恭しく手の甲にキスをする。
「喜んで」
涼さんはもう一度キスをしたあと、私のパジャマのボタンに手を掛け、ポツポツと外していく。
その下はまだスリップを着ていたので、彼は「脱げる?」と言って裾を捲ってくる。
高級な下着を破いてはいけないので、私は涼さんの手の動きに合わせて、お尻を浮かせたり上体をもたげたりした。
やがて無事にスリップが脱がされたあと、彼はブラのホックを外し、ショーツに両手を掛ける。
「……どうせなら……、お風呂に入ったあとのほうが……」
全裸になると思うと羞恥が増し、私は往生際悪くそう言った。
「ん、いいよ。一緒に入ろうか」
先延ばししたというのに涼さんは嫌な顔一つせず、ブラをとったあと私を抱き上げ、バスルームに歩いて行った。
私たちがレストランに向かっている間、涼さんがやったのか、ホテルスタッフがやったのか分からないけれど、バスタブにはすでになみなみとお湯が溜まっていた。
涼さんはさっさと脱いでしまうと、筋肉に恵まれた美しい体を堂々と晒してバスルームに入っていった。
(恥ずかしいけど……)
私は残された一枚をえいっ、と脱ぎ、覚悟を決めて彼のあとを追った。