コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
居間に辿り着くと、この日はコユキがお茶を淹れて、スプラタ・マンユの前にペットボトルの蓋を並べていった。
そうこうしていると善悪も居間に顔を出し、コユキの差し出した緑茶を受け取って、パーティーミーティングの開始となった。
「では、『聖女と愉快な仲間たち』パーティーミーティングを始めるのでござる」
パチパチパチ
皆慣れたもので、善悪の音頭が無くても揃って見事な拍手をするのであった、成長を感じる。
「で、善悪どうだったの?」
コユキが待ちきれ無いと言った感じで身を乗り出しつつ聞いた。
善悪が答える。
「うん、アヴァドン君の言っていた通り、コカトリスから出てきた赤い石は鉛(なまり)の酸化物だったでござる、ふぐ男(おとこ)と三つ首竜の透明な石もまんま石英(せきえい)だったでござる、ただ……」
「ただ?」
「山形の黒毛和牛から集めた石ね、あれ、ダイヤモンドでござった……」
「えっ!」
コユキの驚いた声が居間の中に響いた。
この日善悪は、自分が通っていた仏教系の大学の同期で、健康医療科学関係の学部を卒業し、現在は東京の材料科学の研究所に勤務している従兄弟(いとこ)、幸福(コウフク)光影(ミツカゲ)に会いに出掛けていたのである。
普段東京に暮らしている光影であったが、善悪が先んじて送付して、調査を依頼していた石の分析が終わったと言う事で、実家のある隣町で善悪と待ち合わせをしたのであった。
善悪にとってパパンの弟に当たる叔父さん家であり、因み(ちなみ)に檀家さんでもある馴染みの屋敷の応接間で、善悪と同い年の光影は声を潜めるように分析結果を明かしたのであった。
ダイヤモンドという言葉に目を丸くした善悪に対して光影は首を振りつつ言った。
「なに、とは言っても不純物も多くて希少価値はほぼ皆無だったがな、それより、よしお、あれらの入手先なんだが……」
そう言って善悪の顔を覗き込んだ光影に対して、何と答えた物かと困惑している善悪に向けて、察したような顔を浮かべた光影がビックリ仰天の発言をした。
「その顔、やはり悪魔関連だなこいつは…… おい、よしお、お前が聖戦士として悪魔と戦っているのか?」
「えっ! な、なぜその事を!?」
「はあぁ、相変わらずだなお前は…… 死んだ爺さんが子供の頃に話してくれただろうが? まあ、そんな時お前は怪獣だか何だかのお人形で遊んでて聞いちゃいなかったか」
「なっ! みっちゃん、あれはちゃんとしたシリーズ物のフィギュアでござるよ! 失礼な!」
「そこかよ…… まあ、それで、上野動物園に現れて化け物と戦ったっていう『大きな人』ってのがよしおの相方、聖女って訳か? ツミコさんの娘なのか?」
なんか、色々バレ|捲《まく》っているようだったので、観念した善悪は正直に答える事とした。
「いやツミコさんじゃなくて、お兄さんのヒロフミさんの長女でござる、ツミコさんからみたら姪に当たるのでござるよ」
「ふーん、あの|出鱈目《でたらめ》な聖女も神器を後進に譲る位の常識は残っていたのか…… じゃなきゃ親父も浮かばれないからな」