「はい、落ち消えゆく世界ですが」
第二章「外出」
ちょっと図書館までは遠いので自転車で行くことにした。家を出発すると、自分と同じように走っている人影が見えた。
「(え?)」
怖かった。とても速かったし、お化けなんじゃないかと思った。「思い違いだったんだ。」と安心感のない言い聞かせをした。
もう出発してしまったので、学校を見てから図書館に行ってみることにした。
益々に怖くなった。やっぱり人っ子一人いない。何か諦め、ペダルを踏みこむ。
「___ガチ゛ャン_」
チェーンでも外れた?止まって振り返った。「あ」あの自転車。あの人影。あの時のスピードのまま、誰かが逐ってきていた。
とにかく逃げた。どこに行くかなんて、あいつがだれかなんて知らない。逃げた。こんな状況だ。信号も意味をなしていない。
河川敷まで来た。初夏の真昼時。疲れたしお腹もすいた。強盗といわれるかもしれない。いくら何でも盗みたくは無いけど、コンビニ弁当を食べた。店内で
「ピンぽーん___ピンぽーん」
入店音。もうこれで何度目か。一日にして十年分の恐怖を味わった。
「頭痛いのか?大丈夫か?」
うずくまり絶望していると、なんとなく聞いたことのある声。「あえ?」となりのクラスの碓氷君だ。そのとたんマシンガントークの始まり。
自分たち以外はいないのか。なんでこうなったのか。いつから起きたのか。 これからどうしていくのか。
安堵した。だからと言って修学旅行のようにワクワク感はあるわけない。もうすぐ夕暮れ。互いに不安で今日は碓氷君家に泊めてもらうことにした。こんなになったら躊躇いもない。家に入り一目散にテレビをつけた。
「おお??!」
芸能人が出ているではないか。今放送されているではないか。
「…録画だよ。現実で出ている訳ではないさ。」
いつになったら、安心できる時が来るのだろうか。
追記
私事なのですが持病の影響で少しの間休んでいました。これから順次更新していきます。6/16
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