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少女戦姫

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少女戦姫

16 - 壱章 地下と地上の攻防②

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2024年02月11日

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「なんと……。ミカゲ様がわざわざターゲットを確保しミシマさんに報告を?」

「いや?予め話していた内容と違くて少しお灸を据える為に来たんだよ。」

「裏切りですか?」

「先に裏切ったのは君達の上司だ。僕を責めるのはそれこそお門違いってわけさ。」

「なんにせよ、私達はここの門番を頼まれてます。ミカゲ様と言えど今の理由を聞いてしまった以上通す訳には行かないです。」

「大丈夫僕達は”そのつもり”で来てるから、遠慮せずにやりに来てよ」

その後ミカゲが使ったあの錠剤型の何かを相手も取り出しまたそれを地面に投げると極彩色が辺りを包み、戦姫フィールドが形成されていく。

「さ、やってきなヒマリ」

「はい。」

「いいか、カナ?」

「ん?」

「『覚醒』はこの戦闘では極力使うな」

「な、なんで!?」

「お前の体に負担が大きすぎる。」

「そ、そんなこと……」

「才能開花した時のことを思い出せ。君はあの後ENをほとんど消費して動けなくなったはずだ。アレは諸刃の剣であり、君の最終手段でもある。だからこそ、ここでは使うべきでは無い。」

「だ、だとしてもこの兵装じゃ対等にやり合えるかどうか……」

「いつもの君ならそんな事は口走らない。」

「うぐっ…」

「大丈夫、普段通りただ楽しめばいい。僕らの最終目的であるあのオッサンをやる時……その時には覚醒も使って痛ぶってやれ」

「……了解。確かに、弱気になってたかも私ともあろうお方が、ね?」

「よし!気合い入ったなら行ってこい!」

「ちゃっちゃとぶっ飛ばして終わらせてやるか!」

「よく見ておけヒマリ。彼らがいずれ必ず僕たちの前に立ち塞がる強敵で倒すべき相手だ。」

「そのような新芽なら今ここで摘み取るべきでは?」

「彼らが強くなってもらった方が僕の計画も軌道に乗りやすい。だから大切に育てるんだ。」

「そうですか…」

「それに、彼の発言を聞いて確信に変わったこともある。」

「それは?」

「カナという戦姫はほぼ確定で天使創造計画プロジェクトエンジェルに関係がある戦姫だ。」

「では、確かに生きていてもらわないと困りますね。」

「だからこの大戦はものにするんだ。いいな?」

「はい。」

元いたモール内から一転し戦姫フィールドの草原に立つ両者。もちろん戦姫フィールド内ということもあり、彼女らの武装も解放され臨戦態勢に入る。

今回カナの兵装はオールラウンダーを目指して装備させたものが多い。得意とする格闘戦もいけるが、恐らく今後戦姫大戦をやるにあたって必ず遠距離戦を強いられる場面がある。その為にカナがどんな射撃兵装なら比較的扱いやすいのかそれを知る必要があり今回のオールラウンダーを目指した兵装も、それが一つの目的でもある。そして万が一、こちらが劣勢になった時ように彼女が得意とする格闘戦に持ち込める設計にもなってるが、これは最終手段。可能であれば、オールラウンダーとしてのデータが欲しい。けど、そんな流暢なことは言ってられないだろう。結局僕のやれる事はここまで。あとは、彼女の戦いぶりに賭けるしかない。

「ヒマリって言ったっけ?」

「えぇ。」

「それだけの兵装で相手とやり合うつもり?」

「それ以外何がありますか?」

「いや、刀と弓の二つでなんとかなんのかって思ってね?」

「ご心配ありがとうございます。けれど私は貴女に心配されるほど弱くは無いです。」

「なら、いいわ」

「私からすれば貴女の方が心配です。装備は確かにFの中では取り回しのいいもの達が多いですが、その分火力はないですし……」

「一撃に特化じゃなくて、手数で勝負する兵装なんだよこれは。多分……」

「そうですか。では、やられないようにお気を付けてください。」

「その言葉花でも添えて返してあげる」

「有難く受け取ってあげましょう。」


同時刻、地下ではミナとミライソフトの社員の戦姫との戦姫大戦が行われていた。

「くっ!?ちょこまかと動き回りやがって!!」

「あら?残念な性能なのね貴女の装備。私の使ってるのは既製品だけど、貴女のそれは私まだ見たことないんだぁ。まさか、まだ売り出してないものを使ってて”それ”は無いよね?」

「ば、バカにしてぇぇぇぇ!!」

バックパックの出力を一気にはね上げフォトンブレードを振り下ろす。

「速くても単調なら簡単に避けられるの」

バックステップでアッサリとその攻撃を避け牽制用の腕部ミサイルでダメージを与える。

「きゃぁ!?」

「温室育ちは経験値が足りないのよ。速さって言うのは攻守共に使えるもので、使えないともったいないのよ。分かる?」

「な、なんなのよあんた! 」

「ただのA帯ランカーよ。」

尻もちを着く相手を見下しながら、相手を小馬鹿にするように言い放つ。

「……なら、その速さを活かせなくすればいいだけの話。」

「ほぉ?今の貴女にそれが出来ると?」

「出来るから言ってんのよ凡人が!」

距離を置きバックパックのミサイルポッドと脚部の5連装ミサイル、更に腰部に付けられていた数機の小型ファンネルを展開し一斉掃射を開始する。扇状に展開されたそれは、ミナの行動範囲を狭め少しずつ追い詰めていく。

「なるほど。考えたわね…」

「さぁ!小回りが利くんでしょ!?避けて見せてよ!!」

(避けられない訳じゃないが、正直物量的に回避に専念すれば攻撃に回ることは不可になる。けど、避けないと流石にダメージがシャレにならない。攻撃にも転じることが出来て尚且つ回避も兼ねた行動をするとなると……)

「前進あるのみよね!」

弾幕を張られたとして、もしその弾幕の中で安全な場を見つけるならば敵の傍が一番安全となる。ミサイルは曲線を描くため自身の真ん前には基本飛ばせない。ファンネルだって練度がかなり高くないと自分事撃ち抜いてしまう可能性を秘めているため、近づかれるとむやみに扱うことは無い。唯一警戒すべきは相手の射撃武器のみだが、今彼女は利き手にビームサーベルを構えているから射撃が来る心配もない。だからこそ、勇気ある前進という行動をとる。

「……それを待ってたのよ!!」

前進したのも束の間、先程まで取り囲んでいたファンネルが集まって一本の極太レーザーを作り出し、逃げ場のないミナは守る間もなくそのレーザーに飲み込まれる。

「ミナ!!」

「…………はぁ。や、やってくれたわねこのクソアマがぁ…」

「な、何とか立っている状態か………」

「あれを食らってなお立ち上がるのは正直、化け物じみた耐久してると褒めざるを得ないけど、その体じゃまともにはやりあえそうにないけど大丈夫?」

「ふふっ……いいハンデだと思うんだ私。兵装に固執する女と実戦経験を多く積んできてる女。実戦経験がほとんどない温室育ちのお嬢様にはこれくらいしないとなぁ?」

「無理はするな!流石に戦姫フィールドから出たとて疲労感は大きく残る!」

「黙って見てなアキト。私の嫌いな事はあんたが一番理解してるはずだ。」

「だが……」

「やられっぱなしは気に食わない。さらに言えば、こういう調子に乗った奴に負けるのは私のプライドが許さない。そしてなにより、こんなとこでくたばってるようではF帯のカナに馬鹿にされてしまう。それが一番許されない事だ。」

「……プライドだけで生きてんなお前って」

「そんな馬鹿女に付き合ってくれるアキトには感謝してる。」

「なら、もう止めはしない。性にあわないならやれ。ただし条件がある」

「それは?」

「加減なしの完全なる勝利だ。」

「なんだ……。あってないような条件ね」

「最期の挨拶は終わったかしら?終わったならそのまま貴女の戦姫としての人生も幕引きさせてあげる!」

ふらつくミナに先程まで劣勢だった彼女は、容赦なく弾幕を張って粉微塵にしようとする。ミナ目掛けて飛んだミサイルは何発も当たっていき煙幕で何も見えなくなるほど。

「アッハッハッハッハッ!!!やっぱり私は最強なのよ!既製品で満足してる奴なんかより私は何倍も優れてる!!」

「……お喋りな奴だなお前。戦姫大戦やるよりコメディアンとかやってみたら?」

ミサイルの煙幕からそんな罵倒が聞こえたその刹那、一気に煙幕が晴れて何かが彼女目掛けて真っ直ぐに突っ込んでいきその何かが持っていた刃が彼女の腹部を貫く。

「がっ!?」

「あんま舐めんなよ?兵装マニアのお嬢様」

「ば、馬鹿な……あの重体のどこにそんな速さを…………。」

「今回の兵装に合わせて付けてくれたスキルのおかげだ。」

「な、なに……」

「『ウェポンパージ』と『オーバードライブ』の二点。使わない兵装を取り外し身軽にしたことで機動力を上げ、さらに『オーバードライブ』で私の出せる出力の限界点を無理やりあげさせた。結果として、もとよりスピードに特化させてた私は更に速さを手に入れこうして一矢報いてるわけ」

「ば、馬鹿な………」

「これが結果よ。ファンネルを一点に集めてレーザーにする発想は面白かったけど、格上の私にはその出力が足りなくて負けたわけ。実戦経験ちゃんと積んでおくことね。」

「く、クソが…………」

その一撃が決めてとなり、相手の戦姫はパワーダウン、それと同時に戦姫フィールドが解除され元の地下空間に戻されることになる。

「お、俺の戦姫が負け……た?」

「俺の勝ちってことでここで何してたか洗いざらい話してもらってもいいか?」

「素直にそれに従うと?」

「この現場を既に撮影し証拠もある。さらに、先程までの戦姫大戦の会話も録音してある。その状態でお前らに勝ち目があると?」

「くっ……」

「んじゃ洗いざらい話してもらうか。」

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