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宇津Q
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猫さん
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そして晶子の高校の冬休み。十二月三十日まで塾の講義があり、大晦日と正月三が日だけの、晶子にとって塾通いから解放される時期になった。
気を抜く暇がない受験準備の長い日々があと二か月ちょっとで終わる。だが晶子の憂鬱は募るばかりだった。これまでの模試の判定が、晶子が目指している国立大学に関しては、たいていC、良くてB止まりだったからだ。
その大晦日の夕食が終わった頃、晶子のスマホにカンナから電話がかかって来た。晶子が出ると、カンナの張り切った声が響いた。
「晶子、明日なんか予定あるか?」
いつも元気だなあ、と感心しながら晶子は答えた。
「ううん、別にないけど」
「じゃあ、湯島天神行かねえか。一緒に初詣」
「うん、いいけど。でもどうして湯島天神? けっこう遠いよ」
「晶子の合格祈願に決まってるじゃねえか。あそこは学問の神様とか、そんな神社だろ? 受験生はみんな行くって聞いたぞ」
「ああ、そういう事か。ごめんね、カンナにまで気を遣わせちゃって」
「いいって事よ。あたいも元日は暇だしな。じゃあ、十時に踏切で待ち合わせって事でいいか?」
「分かった。じゃあ明日ね」
そして元旦の午前十時、晶子が分譲マンション地域と公営住宅地域の分かれ目になっている踏切に着くと、既にカンナが来ていて大きく手を振った。元旦にふさわしい快晴の下、風もそれほど冷たくはない日だった。
晶子の、ひざ丈のスカート、セーター、その上にダッフルコートという服装を見て、デニムのミニスカート、スウェット、その上に革ジャンといういで立ちのカンナが残念そうな声で言った。
「何だ、普通の格好だな、晶子。晶子の事だから、振袖でも着て来るんじゃねえかと期待してた」
晶子は苦笑を浮かべながら言った。
「あれ着付けが大変だし、それに受験本番の事考えると浮かれる気分じゃないしね」
「そうか? 晶子の着物姿見てみたかったんだがなあ」
「それにもうひとつ、あんまり凝った服装で行かない方がいい理由があるよ」
「え? 何だよそれ?」
「行けば分かるよ」
晶子とカンナが住んでいる街から湯島天神の最寄り駅までは地下鉄大江戸線一本で行けた。駅を出て湯島天神の近くまでたどり着いたところでカンナが悲鳴のような声を上げた。
「な、何だありゃ?」
湯島天神の境内の外にまで長蛇の列が出来ていた。驚きのあまりポカンとしているカンナの手を取って歩き出しながら晶子が言った。
「三が日の湯島天神ってあれが普通だよ」
手を引っ張られて晶子の後に続きながらカンナが呆れた口調でつぶやいた。
「そりゃ混んでるだろうとは思ったけど、外に並んでる列だけで100メートルはあるじゃねえか。世間にはこんなに受験生がいるのかよ。信じられねえな」
コメント
1件
おつかれさま、ゆめかだよ〜🌸 第87話、めっちゃ良かった!! 晶子の受験前の重い空気と、カンナの軽やかさの対比が自然でつい引き込まれたよ〜😭💕 特に「晶子の合格祈願に決まってるじゃねえか」ってカンナの口調に、あたたかい友情感じた✨ 二人の服装の違いもキャラ立ちしてて好きだったな! 神社の長蛇の列にカンナが驚くラスト、思わず笑っちゃったけど「世間にこんなに受験生がいるのかよ」って台詞、受験生のリアルだよね…。次どうなるか気になる〜!