鬼滅の刃の夢小説です。
愛され夢主です。
オリジナル要素を含みます。
楽しんでいただけますように……。
絶体絶命のピンチ
「うまそうな若い女だ!」
「おい!そいつは俺が先に見つけたんだ!!俺に食わせろ! 」
「まあそうケチくさいことを言うな。仲良く3等分すればいい!」
何なのこいつら。
目玉が3個付いてたり腕が4本生えてたり頭が2個あったり。
よだれを垂らしながら追いかけてくるバケモノから必死で逃げる。
わけわかんない。とにかく今自分は奴らに食べられそう?な状況みたいだし、ただひたすら薄暗い山道を走る。
まだ試合の最中だった筈なのに。
弓と矢を持ったまま、 なんで私はこんなところにいるんだろう。
弓道着で、しかも足袋で全力疾走なんてしたことないから足がもつれる。
『はぁっ…はぁっ……ぅあっ!』
地面から飛び出した木の根の一部に足を引っ掛けて転んでしまった。
「やっと追いついたぜ!」
「大人しく食われろ!!」
バケモノたちがすぐ近くまできた。
早く起き上がらなきゃと思うけど、慌てているから袴の裾を踏んだりしてなかなか立ち上がれない。
ああ、もうダメだ………。
死を覚悟してぎゅっと目を瞑った瞬間。
ズバァァァン!!
「ぎゃあああぁぁっ!?」
「ぐわぁぁっっ!!」
ものすごい断末魔が聞こえ、驚いて目を開けると、そこには黒と白の服を着た男の人が立っていて、2匹のバケモノは赤黒い煤のようにボボッと鈍い音を立てて消えていった。
握っているのは刀?くねくねして変わった形だけど……。
「おい、大丈夫か?」
『…あっ、はい、ありがとうございます…!』
その人は黒い学ランのような服に、ストライプの羽織を着ていた。
目は綺麗なオッドアイ。
口元には包帯を巻いて、首には…え、蛇??
『……!そういえば、バケモノは3匹いました!』
「何!?」
その時。
「鬼狩りの柱だな!?貴様を食えばもっと強くなれる!!」
バチィィン!!
「なっ…!?」
三つ目のバケモノが助けてくれた男の人の刀を弾き飛ばし、彼の身体を絞め上げる。
「…ぐっ……!」
「貴様を先に始末してから、そこの女をゆっくり味わうとしよう。若い娘の血肉はうまいんだよなあ〜!」
じゅるりと汚らしい音を立てて舌舐めずりするバケモノ。
しましまさん(仮)の首に巻き付いていた蛇がバケモノに噛み付くけど、相手はびくともしない。
どうしたらいい?
こわい。身体が震える。
でもあの人は私を助けてくれたんだから。
何か考えなきゃ。
何か……あ!!
私は今自分が握り締めていた弓と矢の存在を思い出した。
立ち上がり、体勢を整える。
矢を掛けて、キリキリと弓を引く。
落ち着いて。
私は去年、全国大会で優勝したんだから!
今だって、こんなところに来ちゃったけど、県大会の真っ最中だったんだから。
いつもと違うのは、ここが道場じゃなくて的が生きてるってことだけ。
心を鎮めて。
ビュンッ!
ドスッ!!
「ぎゃぁぁあぁっっ!!」
「!?」
私の放った矢が、バケモノの目玉の1つに命中した。
敵の手が緩んだ一瞬の隙に、しましまさん(仮)が相手を蹴り飛ばして脱出する。
そしてあっという間に再び刀を手に取り、バケモノに斬りかかる。
頸から上を吹っ飛ばされて、バケモノはさっきの2匹のようにボロボロと崩れて消えていった。
「…どこの娘か知らないが、助かった。礼を言う」
『そんな!私のほうこそ助けていただいてありがとうございまし…た……』
「!?おい!」
身体中の力が一気に抜けて、私は膝からその場に崩れ落ち、意識を手放した。
つづく