一歌「………」
さぁ…と風が吹いてきた。寒いはずなのに寒くない。泣きたいのに、泣けない。もう、なにも分からない。助けてほしくない。
一歌「…このまま独りがいい。救われたく、ないって。言ってるのに…」
ミク「一歌。ちょっといい?」
ミクが後ろから私を呼んだ。
一歌「ミク?何?」
ミク「…ごめんね」
一歌「え?」
目をつむり、申し訳無さそうに私の肩を触る。
シャララ~ン
次の瞬間、私はシブヤの公園へと飛ばされた。
一歌「…うそ…」
震えが止まらない。知り合いに見つかったら駄目だからだ。
?「いっちゃん!!」
一歌「ッ!?」
聞き覚えのある声。振り返ると咲希が走ってきた。その後ろには志歩、穂波、司さん、草薙さん、朝比奈先輩、桃井先輩がいた。
一歌「ッあ…」
急いで〈Untitled―壊れかけのセカイへ〉を押す。その瞬間に咲希たちが抱きしめてきた。
シャララ~ン
私はセカイに行った瞬間に走った。
穂波「待って!一歌ちゃん!!」
一歌「ッ聞きたくないの!!来ないで!!」
止まって、叫んだ。精一杯の想いは伝えた。
可不「一歌ちゃん、深呼吸、深呼吸〜」
一歌「可不?」
可不は私を抱きしめた。
可不「はじめまして。咲希ちゃん、志歩ちゃん、穂波ちゃん。他のみんなも」
司「可不…なのか?」
目を丸くして聞いた。
可不「そうだよ。司くん」
一歌「…可不、離して」
私は可不から逃れようとした。
可不「どうして?話を聞いたほうが良いでしょ?」
一歌「聞くことなんて無い。独りがいいの」
怒りが混じった言葉を吐く。そして無理やり離し、走った。
咲希「いっちゃ_」
一歌「…もう、放って置いて」
そう、言い放って
可不視点
可不「…ミクちゃん、いるんでしょ?出てきたら?」
ミク「…はじめまして。私はここ―壊れかけた花のセカイのミク」
無表情で話すミクちゃんは、どこか辛そうだった。
ミク「……………可不ちゃん、話そう」
可不「ッダメだよ!!」
思わず叫んでしまった。咲希ちゃん達も凄く驚いてる。
ミク「…みんなは、さ。一歌のこと、救いたい?」
みんな「コクッ」
真剣な眼差しでミクちゃんを見てる。
ミク「分かった。じゃあ…私と可不ちゃんのことも救ってくれる?」
みんな「!?」
悲しそうに。もう、救われることを諦めたような目で話す。
可不「ミクちゃん…」
ミク「なんでだろうね。もう、救われることは諦めたはずなんだけどなぁ…あなた達さ、マスターに似てるんだろうね」
涙目で話す。辛いことが伝わってくる。他のみんなも黙ってミクちゃんの話を聞いている。
ミク「あなた達のために。一歌のために。歌いたいのかも知れない。だから、歌わせて…救ってくれる?」
可不「…私からもお願いして良い?歌いたいの。心の底から楽しみたい。音楽を」
ミクちゃんも私も頭を下げてお願いする。聞かせてほしい。一歌ちゃんの心を。一歌ちゃんの…想いを。
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