「お、お前は誰だっ! なにやってんだっ。まさか、ご、強盗か? こんなことをしてもいいと思ってんのか。警察をよぶぞっ!」
普段ならそんなどうでも良い言葉に耳を貸さない。直ぐにでも排除して儀式に取り掛かる。
けど、わざわざ耳を傾けたのは犬養国司に纏わりついている、モノに気を取られてしまったからだった。
「へぇ。凄いなソレ。そんなモン背負いに背負って、何にも感じへんって。それも狗神の幸運なんかな?」
「な、何を言ってるんだお前っ。訳のわからないことを、いや。今、狗神って言ったかっ!? それにその顔はどこかで……」
「どんだけ、女を喰いモンにしたんや。お前。ベッタリと女の怨霊に取り憑かれてるで。そこまでの数は僕でもあまり見たことないわ。きしょく悪い」
「!?」
犬養は動揺しながら自分の背後などを振り返っていたが、どうやら怨霊は視えないらしい。
この様子じゃ、この家に鎮座ましましてるあの、半透明の狗神の姿も視えてないと思われた。
僕の眼にはハッキリと犬養の体に女の腕や、長い髪が折り重なるようにべったりと絡みつくのが視えていた。まるで大きなムカデがぐるぐると、犬養の体にとぐろを巻いて張り付いているよう。
普通なら命さえも危ういと、思われるほどの怨霊の集合体。
しかし、それも狗神の幸運によって怨霊の力が跳ね除けられているのだろう。
きっと粧子もこの状況に気付けてない。あの大きな狗神も視えてないはず。
多分、日常生活などに悪影響が及ばないように、狗神の力が作用していると思った。
「ほんま。狗神様々やな。その怨霊達の中にららちゃんが居なくて良かったわ」
「──らら。お前、今ららって言ったか!? お前、ららの新しい男か!?」
「そんなん、お前に関係ない。じゃ、さっさと仕事を始めようか。広間にある箪笥を壊さないとアカンから」
あえて広間と箪笥と言う単語を出してやると、犬養は分かりやすくさらに動揺した。
狗神を祀っているのは、広間にある箪笥で間違いないと確信する。
犬養は人としても呪術師としても三流だと思った。狗神の力や粧子がいなければ、ただの雑魚。
「力づくでお前を排除してもいいけど。せっかくやから、その背後の怨霊の力も利用させて貰おうか。すぐに手を貸してくれそうやしな」
パンっと柏手一つ。
大きく深呼吸して。
呪い言葉を紡ぐ。
「──|畏《かしこ》み|畏《かしこ》み申す。
|高天原《たかまのはら》に|神留《かむづま》り|座《ざ》す。|荒八神《あらやがみ》。
|伊邪那岐大神《いざなぎのおほかみ》。|黄泉《よみ》に|座《ざ》す、我が祖に願い|奉《たてまつ》る──」
「ひっ。な、何をするつもりだ、や、やめろ」
明らかに動揺して一歩後ろに下がる犬養。
この言葉は一時的に犬養に影響している狗神の《《呪い》》を祓う言葉。
狗神の関与がなくなると、犬養に取り憑いている怨霊達が暴れ出す。
わざわざ僕が直接手を下さなくてもいい。
犬養は僕の言葉から逃げるように、もつれる足で慌てて家の奥に逃げ込もうとした。
それを追うように玄関から土間。廊下へと土足で上がり。
犬養をゆっくりと追いながら、言葉を紡ぎ続ける。
「|筑紫《つくしの》の|日向《ひむか》の橘《たちばな》の|小戸《をど》の|阿波岐原《あはぎはらに》、|御禊《みそぎ》|祓《はらい》|給《たま》ひし時になり|坐《ま》せる|祓戸《はらへど》の|大神《おほかみ》たち──……」
「お、お前も呪術師なんだなっ!? なんで俺を狙うっ。ふざけんなっ。俺に手を出すと狗神の呪いがお前に降りかかるぞっ。いいのかっ!? 犬神本家筋の縁の狗神だぞ! おいっ、聞いているのかっ!」
それがどうした。そんな駄犬怖くも何もない。むしろ、それだけ吠えている間に外に逃げればいいものをと、思ったが。
それはこの家に狗神を祀っているから、犬養は外に逃げれないのだ。
だからこうして僕と対峙するしかない。
犬養でもそれぐらいは分かっていたかのかと、冷笑したくなるのを堪えて構わず言葉を続ける。
そして犬養は慌て過ぎて、その場でどたりとこけた。
そのまま僕を睨みながら。尻もちを着いて、ずるすると後退する。
僕は適切な距離を保ちながら、言葉を続けるだけ。
「もろもろの|禍事《まがごと》・罪、穢れ有らむをば、|祓《はらい》給へ。清め給たまへと。
まをすことを|聞食《きこしめせ》と、|畏《かしこ》み|畏《かしこ》み申す──」
唱え終わり。
パンっとまた柏手を打つと犬養がハッとして、人差し指を僕にさして微かに震えだした。
さした指先は僕の着物。胸の家紋あたりをさしていた。
最初より僕との距離が縮まり。薄暗い廊下でも目が慣れて来たのだろう。
そうして着物の紋──逆さ五芒星に気付き。
ようやく、僕の正体に気が付いたのだと思った。
犬養は目を見開いて大声を上げた。
「まさか、嘘だろ……その逆さ、五芒星……そんな不吉な紋を掲げてる一門は──|蘆屋《あしや》|道満《どうまん》! なんで呪詛の祖。その末裔がここに居る!」
僕の正体に気付き。
そのオーバーリアクションに関しては三文芝居じみていたが、実に三流らしくて悪くない反応だと思った。
|蘆屋《あしや》|道満《どうまん》。
一般的には安倍晴明と敵対した陰陽師。|悪役《ヴィラン》と言う認識だろう。
呪術師にとっては──数々の呪詛、呪法、呪禁を生み出した呪術の祖。畏怖の対象。
レジェンドみたいな存在だが時の権力者、藤原道長に呪詛を掛けたが、安倍晴明に看破されてしまい。蘆屋道満は失脚した。
そう言った経緯もあり、蘆屋道満は……僕の祖先は所詮。日陰ものには間違いない。
安倍晴明という輝かしい存在の影。
しかし、その影は消えることはなく。こんにちまで血脈と数々の呪いを現代に引き継いできた。
それが僕だ。
『青蓮寺霞』と言う名前は偽名。本当の名は──|蘆屋《あしや》|道霞《みちか》。この名前は滅多に口にすることはない。
蘆屋道満のネームバリューは昨今。
呪術師じゃなくても。安倍晴明と比肩はしないが
、一般的にそこそこの認知はあるだろう。
だから犬養如きに。ただ先祖の名前『蘆屋道満』と言われたところで、なんとも思わない。
それよりも、もっと心配することはあるだろうと、脂汗だらけの犬養に声をかける。
「さてと。今、お前の呪いを祓ってやった。どうや、スッキリせぇへんか?」
「は? 呪いを祓うって」
と、犬養がそこまで言葉を吐いた次の瞬間。
犬養の口から悲鳴が上がった。
「う、うわぁぁっ! な、なんだこれはっ。女の手が、髪が。ひいっ。離せっ、離れろ! やめろぉっ」
その場でドタバタと手足を無茶苦茶に動かして、|這々《ほうほう》の|体《てい》で廊下を這いずり出した。
「今やったら、お前にも怨霊がよう視えるやろ? それだけ熱烈に抱きしめられるなんて、モテ男は辛いなぁ?」
声を掛けてやったのに、犬養はその場で暴れるだけ。
それもそのはず。僕が一時的に狗神の力を祓った。狗神本体を倒した訳ではないから、時間が経てば狗神の力は元通りになる。
しかし。それまでの時間は犬養は無防備。
その隙に犬養に取り憑いていた女の怨霊達は暴れだし。犬養の体に一斉に、髪や腕を食い込ませ始めたのだった。
今の犬養には僕と同じ光景が視えているはず。だから怨霊に襲われているのをはっきりと視認して、恐怖を感じて暴れ倒しているのだろう。
「最悪、そのまま怨霊達に殺されるかもな。けど、そんなの自業自得。それでも許されたかったから誠心誠意。謝れ。お前が踏み躙ったものに詫びをいれろ」
「ひぃっ、あぅ。た、助けてっ、ごめんなさいぃ」
情けない声を出して、のたうち回りながら廊下の右にある部屋、台所に転がり込む犬養。
そしてすぐに、がしゃん。がしゃんと、食器などを倒す音が聞こえてきた。
僕も足をゆっくりとすすめ。
台所の入り口に立つと、台所は食器や調理器具が散乱していた。
犬養はそんな中、冷蔵庫を背にして。包丁をぶるぶると握りしめ。鋭い刃を自らの胸に、突き刺さそうとしているところだった。
「──っ」
その光景に息を呑む。
普通の人なら犬養が今から、自殺をしようとしているように見えるだろう。
しかし、僕の目には犬養の足や胴体に髪が巻き付けられ。その場から動けないように固定されているのが、くっきりと視えた。
さらには犬養の包丁を持つ手には、半透明の手や指たくさん、たくさん添えられており。
犬養の手が包丁の柄を離さないように、固定して。
怨霊達が一丸となって、犬養に刃を向けていると思った。
それに必死に抵抗していると思われる犬養の手は、ずっと細かく震えていた。
しかし、じりじりと胸に刃が迫っていた。
「た、たす、たすけてっ……」
力んでいるせいだろう。犬養は顔を真っ赤にして。血走った目で僕に助けを求めていたが──助ける気などない。かける言葉もない。
ただ、一瞥だけしてその場から離れ。
この家の奥。大広間の狗神を祀っている箪笥を目指した。
犬養の最期など興味がない。
じっくりと犬養の胸に、刃が突き刺さっていく様子を見るほど暇じゃない。
この後犬養が死んだとしてしも、生きていたとしても。警察沙汰になったところで、きっと僕まで捜査の手は及ばないだろう。
「その辺りも全て。狗神を祀っている箪笥を壊したら全部、上手くいく」
それは今までのツケが犬養夫妻を襲うからだ。
犬養が先ほどの怨霊達を躱したところで、もっと酷い目に合うだろう。今、刃で死ぬほうが楽な死にかたかもしれない。
「それでも、犬養が生きている間にサッサと狗神を祀っている箪笥を壊そか」
死んで罪がチャラになるわけじゃない。
今まで踏み躙ったもの達の気持ちを、命ある間に受け止めるべき。
そして彼等の気持ちを慰撫するのは、心からの反省と謝罪と魂への祈り。それだけだと実感したらいい。
そう思いながら足を進めて、たどり着いた大広間の襖の前。その向こう側に妙な気配がする。
ぱしんっと勢い良くあけると、そこにはすっきりとした空間があった。
天井にある立派な欄間。清潔な畳の和室。
左側に障子。障子には外からの夕陽が差し込んでいたので、きっと庭に繋がっていると思った。
右側は木目調の壁。
「広いな。二十畳ぐらいありそうや」
まるで旅館で朝食を食べるような場所。
しかしその奥には──まるで新興宗教じみた祭壇があった。
天井からの仰々しい紫の垂れ布。数々の供物とおぼしき御神酒や蜜柑、林檎にお菓子。
火の付いてない蝋燭。金色の燭台。何かの札。花に榊。流派も宗派もわからぬ無茶苦茶な祭壇。
しかし、祭壇の真ん中にあったのはアンティークと言っても差し支えない。立派な桐箪笥があった。
高さはないが、古典的でどっしりとした横に幅広い箪笥。
遠目からでもわかる、ツヤっとしたアメ色。角には黒い金属の飾りフチ。
祭壇の飾りも相まって、箪笥は異彩を放っていた。
そして禍々しい黒い渦が、箪笥を中心に発生しているように見えた。それはもう瘴気を纏っているぐらい、不吉なもの。
肌を逆撫でされているような、気持ち悪さを感じる。
「あの箪笥が狗神を祀っているやつやな。札を早く貼って、全て終わらせたるわ」
目の前の箪笥に意識を集中しながら、畳の上を歩き。欄間の下を潜ったところで懐の奥から札を取り出そうと、立ち止まったところ。後ろから。
くふっ。
と言う、含み笑いと。
とすっ。
と言う、音がした。
その瞬間。背後──腰の少し上あたりに焼きごてを押し付けられたかのような熱さと痛みを感じて、ばっと振り返ると。
犬養が僕の体に包丁を突き立てていたのだった。
「くっ……!」
驚きの声とも、呻き声ともつかぬ声を上げると、僕と視線があった犬養はにやっと笑った。
その手には先ほど犬養が持っていた包丁。犬養の胸には刺さらなかったのは──何故?
疑問で頭が混乱しそうになった瞬間、また背中に激痛を感じ。
咄嗟に歯を食いしばりなら、犬養の手を払いのけ。
振り返る勢いで、柔道の要領で犬養に足払いを掛けた。
「うぐあっ」
犬養は間抜けな声を上げて、その場にまた転ぶ。
犬養が手にしていた切先が赤く濡れた包丁は、その衝撃で犬養の手からすっぽ抜けて。襖がある廊下側に勢いよく滑って行った。
それを見てから痛む背を庇いながら、なんとか障子側へと距離を取った。そして大事な札は懐の奥に戻す。
「はぁっ、はぁっ、痛っ……! 刺すとか。まじか。いや、どうやってあの怨霊達を跳ね除けたんや。そんな力、ないやろ……っ」
すぐに刺された箇所を触ると指さきがヌルつき。見るまでもなく、出血していると思った。
しかし、帯を締めていたそのお陰が、刃がやや外側に逸れて刺されたらしく。主要な内臓などには損傷はないと思った。
しかし、確実に筋肉に刃は到達している。このまま放置しておけるような傷ではない。
早く箪笥を壊さなくてはと思って、動こうとしたら。犬養が笑い声を上げてその場にむくりと立ち上がった。
「く、くふっ。くふふっ。ふ、ふふっ。人を刺すってのは独特な肉の感触だな。犬とは違う。ふふっ。俺はあの蘆屋道満の一族を刺してやることが出来た。俺もやれば出来るんだ! くふ。ふ。おいおい、あの蘆屋道満の子孫の癖に、辛そうな顔しているな。さっきの余裕はどうした? くふふっ」
妙にテンション高く笑う犬養。
僕を刺して、優位に立てたこの状況に興奮しているんだろうと思った。
耳障りな笑い声を聞きながら、さすがにひやりと。背中に冷たい汗を感じた。
笑い声があまりにも耳障りで、犬養の声を遮るように口を開いた。
「刺されて余裕あるヤツの方が怖いやろ」
喋りながら考える。
どうやってこの局面を打破しようかと思考したいのに、痛みのせいで上手く考えが纏まり切れない。
冷静になれと深呼吸しながら自分に言い聞かせる。
場を持たせる為にもう一度、口を開いた。
「ほんま、人を刺したくせに随分、余裕があって羨ましい。よかったらその余裕さで救急車呼んでくれると助かる」
「誰が呼ぶか。ボケが」
やっぱりなと、犬養の言葉にふっと苦笑する。
僕は刺されはしたが、今すぐに命に別状はないと感じた。帯が止血の役割を果たしている。
しかし。痛みと指先に付いた血から、残された時間が多い訳じゃないのはわかる。
さりとて、ららちゃんをスマホでここに呼びせるなどあり得ない。そんなことを流石に見逃すような犬養ではないだろう。
「まだ、依頼が終わってないしな」
受けた依頼は完遂させるのが僕のポリシー。
ブザーを鳴らすべきかと思うが、まだ動ける。
鳴らしてしまうと万が一。来るなと言い聞かせたにも関わらず。
ブザーに反応した、ららちゃんが来るかもしれない。
だから犬養が動けるこの状況では、まだ鳴らせない。
苦笑とは違う笑みが、小さく溢れると犬養がチッと舌打ちした。
「何笑ってんだ。誰が優位かわかってんかよ。くふふっ。今すぐ包丁を取ってきてもう一度、刺してやろうか」
その台詞に、腰に差していた警棒を無言で取り出し。あくまで牽制としてすっと構えた。
それだけで痛みが走るが、そこは我慢した。
犬養はまた舌打ちして「まだ、やる気か」と低い声を出したが、チラチラと包丁を見始めた。
きっと包丁を廊下側に取りに行く間に、僕が箪笥に辿り着くのは同じタイミングだと勘繰っているのだろう。
僕は残りの体力配分をどうするかと考え、背後にある箪笥をチラッと見る。
今すぐに動いて箪笥に近づきたくなるが。
犬養が怨霊達を退けて、どうやってここに来たのか。その理由が分からず、足を動かせずにいた。
犬養が何か思わぬ隠し球を持っていたら。今すぐに、がむしゃらに箪笥を壊すことは躊躇われる──と思ったとき。
ずきりと傷口が傷んで、咄嗟に障子にもたれ掛かってしまった。
すると犬養はハッとしてから、にぃっと笑った。
「そうか……このままでもいいのか。くふっ。おい。お前。なんで俺が生きてんだって、顔をしてんな? いいだろう。その理由を教えてやるよ」
「いきなり、えらい親切やな。最初からそうやって生きてきたら、良かったのにな」
「いや、なに。こうしている間に、お前は出血多量で死ぬだけだろ? 俺はゆっくりと喋っているだけでいいと思ってさ。くふっ」
──コイツ。
ほんまにイヤらしいヤツ。しかし情報は欲しいと思い、犬養の言葉に耳を貸す。
「それに俺は今、気分がいい。くふふっ。ほら。一度言ってみたかったんだよ。冥土の土産ってやつ。ふふっ」
ニタニタと笑う犬養に、何か言い返してやろうかと思った。
なのに、腹に力を入れるとズキリと傷口が痛み、障子の紙をバリッと破いてしまった。
「いやぁ。備えあれば憂いなしってな。お前ならこの札を見たら意味が分かるだろ?」
「札?」
犬養はごそりと、ポケットから一枚の札をずるりと引っ張り出し。
僕に見せびらかすように、見せつけてきた。
その札をじっとみる。
紙幣サイズの紙。朱色の文字が特徴的。
「その札は……災厄を退ける札に見えるな。でもそのベッタリ張り付いている細い糸、違う。それは髪。まさか──贄」
「くふふっ! そう! あたりぃ!」
「!」
「実は札に張り付いているのは粧子の髪なんだよっ! 聞いてくれよ。俺さ、なんか昨日から嫌な予感していたんだよっ。くふふっ。だから念のために札を用意していたんだよ!」
「犬養、お前っ」
「でも、俺の力じゃ頼りないと思っていたから、粧子を贄にした。まさか、本当に役立つとは思わなかった。俺って凄くねぇ!? 才能あるだろっ!」
ばっと手を広げて自慢げに笑う犬養に、ちっとも賛同が出来ない。それどころか嫌悪感が増すばかり。
「自分の嫁を贄にして、その態度──どうしようもないクズがっ!」
傷口に響くにも関わらず、思わず声を張り上げた。
しかし、犬養は意に返さずケタケタと笑うだけだった。
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