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おどろくさんの言うとおり、俺たちは任務のときは常に二人一組でいるようにした。
今のところ裏切り者は動きを見せていない。
けど…俺たちの中に裏切り者がいるって、凄く辛い…
「……………」
「さもさん浮かない顔してるなー」
凸さんが心配そうに声をかけてきた。
「あ、ご、ごめん…」
「まあでも仕方ないよ、俺たちの中に裏切り者が居るなんて…」
「…………」
「でも今は任務に集中しよう。」
「…そうだね。」
そうだ、今は任務中、集中できなくて失敗するのは駄目だ…
「……………」
「ななっし〜浮かない顔してるね?」
「あ、べるさん…任務は?」
「あふぇさんと行ってきて、さっき帰ってきたんだ。それよりどうしたの?」
「…私たちの中に裏切り者がいるって思うと、複雑で、辛くて…」
私はそう言って俯く。
「…私さ、昔めちゃくちゃ酷い目にあったけど、おどみんに来てからすっごく幸せだった。」
「………」
「でも急にこんなことになって、おどみんでの思い出が、壊れちゃうんじゃないかって不安だったけど、裏切った人も、凄く辛いことがあって、こんなことをしたんじゃないかな…」
『辛い』
それは昔と今の私に当てはまる言葉だった。
「………まあ何が言いたいかって言うと、なんとかなると思う!ってこと!」
「ふふっ、いきなり雑じゃない?」
「いやだって、私だって複雑なんだよー!…疲れたからちょっと寝てくるね。」
べるさんはあくびをしながらリビングを出ていった。
…なんとかなる、かあ…
…確かに、難しく考えすぎたかもしれない。
「…色々考え過ぎて疲れたし、私も寝ようかな。」
そう言って立ち上がろうとすると、リビングの扉が勢いよく開かれた。
見るとおどろくさんが膝に手を付けて、息を整えていた。
「…はぁっ!はぁっ!」
「お、おどろくさんどうしたの?」
「!な、ななっし〜さん、皆をここに集めてきてくれない?」
「え、う、うん!」
私はリビングを飛び出す。
「な、ななっし〜どうしたの!?」
任務から帰ってきたらしいさもくんと凸さんが困惑しながら私を見る。
「お、おどろくさんが皆のこと呼んでって…」
『え…?』
「…私寝ようとしたところだったんだけど?」
べるさんがあくびをしながら不満そうに言った。
帰ってきたばかりの俺も、何がなんだかさっぱりだよ。
「そんな呑気なこと言ってられない…!」
おどろくさんは焦っている様子だった。
「裏切り者から、手紙が来て…」
「え…?」
おどろくさんが開いた手紙を皆で覗き込む。
『おどみんの皆様へ、
明後日の夜、貴方たちが良く知っている海岸で貴方たちと戦わせてください。
これがおどみんとのお別れになると思います。
こめんなさい。
おどみんの最低な裏切り者より。』
『………………』
俺たちは言葉を失った。
裏切り者とは言え、仲間と戦いなんてできない…
「……………行こう。」
おどろくさんの言葉に俺たちは驚く。
「行かないと、私たちは前に進めないと思う…」
おどろくさんが『私』を使うほど真面目だと俺たちには分かった。
俺たちも覚悟を持って頷いた。
………きっと大丈夫。