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???・???「雨花・雨花さん!!!!」???「はいはい今度は何でしょな」
ここは、『トウヒガ学園』の廊下。「雨花」に大声で話しかけたのは、「瑠璃人」と「紅蓮先生」だ。
瑠璃人「ヤバいんだ!!」
雨花「あなたたちの頭が?」
紅蓮「違う!!」
雨花「じゃあもしかしてわたしの頭?」
瑠璃人「違う!!!!」
紅蓮「妖怪だよ!!」
雨花「どういうこと?」
紅蓮「実はな……」
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紅蓮「はぁどうしよう……」
ここに、ある事で悩む先生が一人。
瑠璃人「はぁどうしようかっなぁ……」
そして、ここにもある事で悩む生徒が一人。
そんな二人が……
紅蓮「あ」
瑠璃人「あ」
出会った。
そしてそこへ……
「悩み事か?」
ある妖怪が話しかけてきた。
紅蓮「お前は雪女さん?」
瑠璃人「何か用か?」
「お前たちの悩み事わらわは、簡単に見破り、そして解決してみせよう」
紅蓮「マジでか!?お願いします!」
瑠璃人「いやいやどう考えても胡散臭いでしょ!!怪しいって先生!!」
「お主の悩みは、音楽のリコーダーの授業の小テストの穴埋めじゃな。ちなみにこやつの悩みは生徒に美術の授業の出席日数の水増しをしすぎてこのままだと紅葉に怒られる……だったな?」
瑠璃人・紅蓮「何で分かるんだ!?!?」
「(こやつらちょいろな)」
紅蓮先生はもちろんのこと
瑠璃人は
少し真実味のある話をすると
すぐ信じてしまうちょろさがある
そのため……
瑠璃人「どうやったら悩みが消えるんだ?」
このように話に乗っかってしまう。
「お主らの悩みはわらわたちの能力で一目瞭然。雪は天空から舞い降りる。雪は全てを見ている。お主らに悩みの解決なぞ容易いものよ!」
「そこで」
「この雪だるまに手形を押すのじゃ。それさえすれば、悩みは徐々に小さくなるじゃろ」
瑠璃人・紅蓮「イェーイ!!雪ちゃん・さん!!バンザイ!!」
「ゆ、雪ちゃん?」
瑠璃人、紅蓮先生は、雪だるまに手形を押した。
その瞬間、
「ふん!騙されたな」
瑠璃人・紅蓮「へ?」
その瞬間、雪吹雪が起こった。
「これからお主ら人間には不幸が舞い起こるだろう!!ざまぁみろなのじゃ!!」
そして雪女は消えていった。
瑠璃人「オレたち……」
紅蓮「まずいことしちゃったんじゃ……」
✦・┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ・✦
雨花「……それで?」
紅蓮「その後は大変なもんだ!!紅葉には今でかつてない怒りを頂戴され……」
瑠璃人「小テストは失敗の連続でクラスのヤツらに笑われ……」
「「どうすりゃいいんだよ〜〜〜〜!!」」
雨花「これはあれだね。『嘘っぱちのタツオ』と同じ法則だね」.
瑠璃人「た、タツ……?何だそれ」
雨花「あるところにタツオという男の子がいて、ある日、お金を簡単に手に入れるために悪徳商法に騙されて、マグロ漁に駆り出されたり、闇金で借金したりして、色んな人の嘘に騙されたから『嘘っぱちのタツオ』って言われたんだよ。それと全く同じ状況じゃん!面白い〜」
紅蓮「そんな話があるんだな……」
瑠璃人「ていうか『嘘っぱちのタツオ』だと、嘘ついたのがタツオってことになるんじゃ……」
雨花「とにかくタツオみたいにならないようにするには、相手のありのままを受け入れるのと人を疑わないのは全く別物ってことを頭に入れておくこと。ありのままを受け入れるのは、相手の醜い部分もちゃんと知ろうとすること。疑わないのは、醜い部分をみてるふりをして見逃して知るふりをすること。人を疑わないことを受け入れることだと思っているなら、それは理解してるって思ってるただの自己満足だよ。疑うことで自分や相手を守れることもあるんだから。疑えば自分の考えや気持ちを再度考えたりできるしね?まぁつまり何が言いたいって言うと……」
「「ファイト☆」」
瑠璃人・紅蓮「いやぁぁぁぁ!!!!」
雨花「草」
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瑠璃人「頼むよぉ!!雨えもん〜」
紅蓮「どうにかしてくれよ〜雨えもん〜」
雨花「雨えもんって呼び方……あながち嫌いじゃない……!!……うーん、その子雪女なんでしょ?」
瑠璃人「そうだぜ?」
雨花「それでそんな能力を使えるってことは……多分……そうだなぁ……」
雨花はブツブツと考え事をしている。
雨花「あそこに行ってみるか」
紅蓮「あそこ?」
瑠璃人「どこのことだ?」
雨花「いやね。妖怪同士の力で自身の力を向上させるには限度があるんだよ。そして、相手の思考を読み取り、それを使って不幸を起こす。それは妖怪の力のみで行われる力の向上を超えてる。多分人間の力を借りないとそこまで成長できない。そのための場所があるんだよ」
雨花はその場所へ向かう。瑠璃人、紅蓮先生も付いていく。
紅蓮「ここは……」
「「薬品庫?」」
雨花「この学校は妖怪が住んでる。そして妖怪たちの健康のために様々な薬が用意されてるんです。この中に力を向上させる作用のある薬もあるはず。このことは雫さんに聴いたので、お二方は絶対他言無用なのであしからず」
瑠璃人「何でお前そんなこと知ってるんだよ」
雨花「さぁ?雫さんと少し競ってるものがあるからじゃない?」
紅蓮「競ってるもの?それって……」
雨花「じゃあ入りますよ」
雨花たちが薬品庫に入ると……
瑠璃人「嘘?!ホントにいた!?」
「な!お主らどうしてここに……!」
雪女は、雨花たちが来たことに驚き、腰を抜かしてしまった。
紅蓮「雪さん、何が目的なんだ?」
「ふん!お前ら人間のくせに妖怪と共存したいなどと腑抜けたことを言いおって……だからわらわが直接人間共を支配下に置こうと……」
瑠璃人「まだそういうこと言う奴いたんだ」
紅蓮「まぁまぁ共存するにはこういう妖怪とも渡り合っていかないといけないからな」
「聞こえとるぞ!!!!貴様ら!!!!」
雨花「でも、そっかぁ!うんうん。妖怪らしい考え方だね!良いと想うよ!」
「え?」
雨花は、ニコッと笑う。
雨花「共存したくないって思うのはどうして?」
「そんなのわらわたちの方が優れているからだ。優れているなら上に立つのが道理だろう」
雨花「ふふっ、妖怪らしさと人間らしさって似てるね!」
「は、はぁ?」
雨花「人間らしさは本能だよ。本能が人間らしさなの。感性や知性はあとから付いてくるもの。本能こそが人間らしさ。でも、その人間らしさは世間では認められない。だから、本能より感情に主軸を当てて行動する。本能自体を感情によって支配してるんだから感情も人間らしさと言える。あなたたち妖怪は自分の本能のまま生きてる。だから人間ととても似てるんだよ。だからね……」
「「そのままで良いよ」」
「は?」
雨花は雪女に近づき、しゃがむと今度は小さく微笑む。
雨花「あなたは妖怪らしい妖怪だよ。わたしたちは妖怪たちにも自分らしく生きていて欲しい。そして、共存したい。憎くても、嫌いでも、綺麗事でも、許せなくても良いから、とりあえずを隣に座って、時間の流れだけに身を投じたい。醜い感情も綺麗な感情もどんなものにも分類できない、分類したくない感情も持ったままただ隣にいる。それで良いの。それもしたくないなら、あなたたちのしたいことを一番近くでみさせて。わたしたちはあなたたちとどうにか共存できる道を進みたいから」
「…………」
瑠璃人「あのさ、大丈夫?全然動かないけど」
しばらく沈黙が続くと……
「……ふん!まぁこやつらにかけた能力を解除してやるほどの価値くらいはあったな」
雨花「あは!ありがとう!雪ちゃん」
「その呼び方はやめろ!!」
瑠璃人「や、やったぁ!!!!解除してもらえるんだな!!!!」
紅蓮「イェーイ!!!!じゃあ紅葉からの怒りも撤回してもらえるんだな?」
瑠璃人と紅蓮先生はバンザイしながら喜んでいる。
「単純な奴らじゃ」
雨花「関わると面白いんだよ?あははっ!」
その後の話
雪女の能力が解除された結果、瑠璃人は音楽のリコーダーの授業の再テストを行って貰えたが、あまりにも下手くそだったため、前回と同じようにクラスメイトに笑われ、紅蓮先生は、紅葉先生に近づき、「何か言いたいこととか?あるんじゃ?ないの?」とかウザ絡みをした結果、授業をサボりすぎだと怒りの鉄拳を食らわされたのだった。
「わらわがいてもダメじゃな。こやつらは」
雨花「面白いよね〜」
もうすぐ七月。
開いた窓からまだ少し残る涼しさが雨花たちの体を扇ぐ。
その扇がれた体に息を詰め込み、吐き出す頃には扇いできた涼しさが口の中に広がっていた。