名探偵の工藤新一さんは次回出てきます…
今回は快斗(怪盗キッド)メインです。
「このクラスに明日、とっても美形な転校生が入ってきます!名前は…」
紺野先生の声が教室に響き渡ると、その知らせに生徒達はどっと盛り上がった。それは終礼中の出来事であった。
プロローグ
「快斗ー!例の転校生、噂によると超絶イケメンの有名人らしいよ!」
いつもよりも少し興奮気味に青子が話しかけると、快斗はまるで興味がないと言わんばかりに雑に返事をする。
「イケメンだかなんだか知らねーけど、オレはかわいい女の子にしか興味ねーよ!」
「さすがバ快斗、女たらし!でも名前くらい聞いたことあると思うんだけど、えーっと、工藤…」
“工藤”と聞いた瞬間、普段はポーカーフェイスを保っているはずの快斗の顔が僅かに歪んだ。
「工藤ってもしかしてあの高校生探偵の工藤新一?」
「そう!工藤新一くん!皆騒いでたのに聞いてなかったの?」
んな訳ねーよな、と安心したのも束の間、どうやら勘は当たっていたらしい。
「バーロ。寝てたのに聞いてるわけねーだろ!」
昨日の”仕事”のせいで寝不足なんだよ、とは口が裂けても言えないけれど。
不貞腐れていると、どこからともなく現れた白馬に忠告をされる。
「黒羽くん、工藤新一さんの目をごまかすことは相当苦労すると思いますよ。彼はキッドと並ぶ知能を持っているので。」
「あ?白馬?てかごまかすとかって何の話だよ」
あくまでもシラを切った快斗に対し、白馬は気にせず話を続ける。
「あなたの正体が露見してしまえばあの人はどんな行動をとるか、大抵予想がつくはずです。黒羽くんが…」
(それは俺が一番身を持って理解してるっつーの…)
恐怖にも近いこの感覚をポーカーフェイスで無理矢理押し込み、なんとか言葉を紡ぐ。
「オメーまだ何か勘違いしてねーか?」
「これが杞憂で終われば良いんですけど………なんです?」
「よく分かんねーけど、オメーに心配されるほどオレはやわじゃねーからそう心配すんな」
そんな顔するのやめろ、と赤いバラを顔の前にポンッと差し出すと、白馬は目を見張った。
「オレは不可能を可能にするマジシャンだぜ?」
ニッと笑ってみせると、流石はキッドだと吹っ切れたかのように態度がコロッと変わる。
「どうやら心配は要らなかったようですね」
とだけ快斗に告げ、白馬はこの場を去っていった。
(あいつはこれを伝えるためだけに来たのか。とんだお人好しだな。)
⸺けどよ白馬、名探偵の目をごまかせるとは言ってねえぜ?
実際のところ隠し通せるかは分からない、そもそも既にバレているかもしれないのだ。しかしそれでもやるしかない。己の目的を達成 するまでは。
続く
(続きほしい人いたらストックがあるので出しますが、あくまでも自己満作品です;)