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第5話

「祈り、音に乗せて」


◇Scene 1:静寂の中で響く声

音響市の南側、静かな宗教施設。

柔らかな光がステンドグラス越しに差し込むその空間に、ひとりの少女の歌声が優しく響いていた。

イム(心の声)(自分の声は──誰かに届くだろうか……)

イム「あぁ……ああ〜……あ〜……ぁあ……」

声は風のように、祈りのように揺れる。

教会に集う人々は静かに目を閉じ、耳を澄ませた。

(歌は、願いだ。自分にとって──それがすべて)


◇Scene 2:帰り道、忍び寄る音

夕暮れ。礼拝を終えて、イムは静かに道を歩いていた。

通い慣れた道のはずなのに、今日はどこか空気が重い。

イム(……なんか……変な音がする)

ジリジリ……ジィィ……

イム(足を止める)(ノイズ……まさか、あれが……)

次の瞬間、黒い霧のようなノイズが周囲に渦巻いた。

イムは息を呑むと、すぐに駆け出す。

角を曲がる。走る。走る。

けれど──行き止まり。

イム「……っ……!」

ノイズがじりじりと迫る。

足も、声も、震える。息が詰まりそうになるその時──

ザッパーン!

ノイズの塊に、光の弾が撃ち込まれた。


◇Scene 3:くるくるっと登場

きらきらと光る軌道を描きながら、空中に浮かぶ少女が現れる。

???(くるくる回りながら)「くるくるくーるくる♪ や〜っと見つけたあ〜!」

イム「……え……」

???「あたしはクルル!クリオネ型管理者、No.143っ!……でさ、イムちゃん、歌える?」

イム(目を見開く)「……な、なんで自分の名前を……?」

クルルはくるりと回って、にっこり。

クルル「昨日から、ずっと見てたもん♪」

ノイズが再び集まり始める。

クルル(真剣な目で)「歌って。あんたの声、届くから。」

イムは拳を握る。

足が震えていた。でも──

イム(心の声)(自分には、何ができる……?)

喉を震わせる

「あぁ……ああ〜……あ〜〜あぁ……」

その瞬間──

ノイズが波打ち、白い光の粒へと姿を変えて消えていった。

クルル「やっぱり……声、届いたねっ!」

イム(小さく呟く)「……ありがとう……」


◇Scene 4:教室、昼休み

翌日。

ムノ「ねぇねぇイムちゃん〜!昨日、帰り大丈夫だったぁ?」

イム「……うん。ちょっと……変なものを見ただけ。」

ユユ(じっとイムを見る)「……まさか、歌った?」

イム(小さく頷く)「……あの“ノイズ”ってやつ……自分の声で、消えた気がする」

ムノとユユが目を見合わせる。

ムノ「うわぁ!おそろーい!ムノも歌ったら消えたんだ〜!」

ユユ「じゃあ、君にも管理者が……」

イム(こくんと頷いて)「……クリオネの……クルルっていう子。変な喋り方だった」

ムノ「へぇ〜!クリオネかあ!かわいいね!」

ユユ「(つぶやく)これで……三人目か……」


◇Scene 5:その影で

廃墟の屋上。風がビルの隙間を吹き抜けていく。

クラネイスが静かに塔の方を見ていた。

隣にはセカイが立っている。

セカイ「No.143まで起動したみたい…。……懐かしいね……」

クラネイス(睨むように)「お前……あまり余計なことは言うな」

セカイ(小さく笑って)「別に。言うつもりはない。“あの時”のことも──」

クラネイス「……言うな」

風の中、ふたりの影がゆっくりと揺れた。


To Be Continued…


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