それではどうぞ
どうして…何故、こいつが…。
私が驚くのも無理は無い。
何故なら目の前にいるのは
🇺🇸俺はアメリカ。好きなように呼んでくれ!
もう会う事など無いと思っていた米国だったからだ。
🇯🇵あっ…はいアメリカさん。私は日本といいます。
🇺🇸日本!OK分かった。分からない事があったらいつでも頼ってくれ!
🇯🇵分かりました。
暫くして米国がいなくなったのを確認し、私はイギリスの方を振り返り睨んだ。
何の真似だと。
するとイギリスは手を合わせてすみません。
と合図を送ってくる。
🇯🇵…。
正直今のでイギリスに失望してしまった。
だがもう遅い。入社してしまったのだから、最悪米国に気付かれなければ良い。
私は腹を括った。
🇫🇷…あれ?アメリカどうしたの?何か嬉しい事でもあった?
🇺🇸おっ、丁度良い所に!なあ聞いてくれよ!
…そして入社してから2週間が経った。
今の所私が日帝である事は米国には気づかれていない。
…だが疑問に思う事がある。
それは私が入社してからというもの、私を見るなりしつこく絡んで来るようになったのだ。
🇬🇧アメリカには気付かれていないので大丈夫ですよ。
とイギリスはああ言っていたがそういう問題じゃない。
🇯🇵アメリカさんは何故私にそう絡んで来るんです?
🇺🇸いや…それはだな…。
私がそう問うと、いつも言葉を濁す。
そんな米国に疑問を抱いていたある日。
仕事の合間でフランスからある話を聞いた。
🇫🇷日帝がね…あっ今は日本君だね。日本君があの時アメリカの前から姿を消したあの後ね。アメリカ静かに泣いてたんだよ。
🇯🇵米国がか?
🇫🇷うん。
正直驚いた。あの冷酷な彼奴がだ。私の為に泣いたという事だろうか…?
🇫🇷日本君がこの会社に入社したあの日ね。アメリカめちゃくちゃ嬉しそうに話してくれたよ。日帝に似た子が来てくれたーって。
そう言いフランスは笑った。
🇫🇷まだまだ子供だよね。
🇯🇵…ああ。
カタカタカタ…
🇺🇸おーい日本!これなんだけどさ…。
🇯🇵確かこれはですね…。
🇺🇸助かった有難な!
🇯🇵いえいえ…では私はこれで…。
🇺🇸あっちょっと待て。
🇯🇵…はい?
帰ろうすると呼び止められた。変に会話が長くなるのは嫌いなのだが…。
🇺🇸急なんだけど日本って日帝って奴知ってるか?お前と其奴そっくりでさ。繋がりとかあるのかなって…。
まさかそんな話になるとは…。
🇯🇵いやないですね〜。アメリカさんはその方とどういう関係なんですか?
🇺🇸日帝はな〜、昔俺と睨み合ってた仲なんだ。喧嘩ばっかしてさ、くそ真面目でチビな奴なんだ。
…正直最後の言葉が気に入らない。
🇺🇸でも人思いで優しい奴なんだ。顔も綺麗で透き通った声をしてるんだ。いつしか俺は日帝が好きになっていったんだ。
🇯🇵…そうなんですね。
米国はそう苦笑した。
🇺🇸でもいつだったかな。突然彼奴が俺の前から消えちまったんだ。悲しかった。もう日帝に会えないのかって。
まあ今思えば俺が悪いんだけどな…。
でもそんな時に日帝にそっくりなお前と出会って、少し気持ちが楽になったんだよ。
有難な。
そう言い米国は笑みを溢す。
…此奴は私が日帝だという事に気づいていない。だからといって日帝である事を言うつもりはさらさらないが。
🇯🇵…アメリカさんは今もその方を好きですか?
確かめたかった訳じゃない。
ただ、聞いてみたかったのだ。
🇺🇸好きだぜ。この気持ちは変わらないさ。
私の顔を真っ直ぐに見つめて米国は言った。
🇯🇵…。
その眼は嘘偽りなく、本当の事を言っているのだろう。
🇯🇵…そうですか。
私は米国に帰ると告げ、会社を出た。
帰り道、道端に咲いている一本の花に目が惹かれた。
その花は昔、米国から貰った花と同じ花だった。
🇯🇵…あれからとても年が経つのにまだ私を好いていたのは驚きだな…。
🇯🇵…。
何故か分からない。だが、心の何処かでは嬉しいという気持ちがあった。
私はその花を薬指に括り付けて帰路に戻った。
『続』