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第3話:錯乱するインフォメーション
——朝。
目を開けると、昨日とまったく同じ朝が来ていた。
スマホの画面に表示された日付。
「10月25日(金)」
昨日も、確かに同じ日付を見た。
陸は息を呑んだ。
ニュースアプリのトップ。
『都庁南棟火災』の報道が“まだ終わっていない”。
その記事の下に、「清陽高校爆破予告 8:12」とある。
だが時間を見ると、まだ7:10。
昨日の“繰り返し”が始まっていた。
制服を着て外に出る。
通学路の電柱に貼られた張り紙が、昨日と同じように剥がれかけている。
信号待ちの子どもたちも、同じリズムで会話している。
ただ、ひとつだけ違った。
校門の前に、結衣が立っていた。
灰色のパーカー、長い髪、右手首のブレスレット。
陸の視界が滲む。
「……結衣、なのか」
彼女はゆっくり笑った。
でも、目が笑っていなかった。
「りく、止めてって言ったのに」
陸が近づこうとした瞬間、周囲の音が消えた。
人の声も、車の音も、風さえも。
世界が静止画みたいに止まっていた。
結衣が唇を動かす。
「ZEROは、あなたの“記録”を使ってるの」
「あなたが見たもの、撮ったもの、ぜんぶ」
「——もうあなたのじゃない」
その言葉の直後、視界がまた白く弾けた。
そして気づくと、陸は保健室のベッドにいた。